リーガルテックとは?メリットやサービスの種類・導入時の注意点を解説
昨今、日本で市場規模を拡大しているリーガルテック。企業のDXが進む一方で「導入すべきか迷う」「何から手を付ければいいかわからない」と悩む担当者も少なくありません。リーガルテックは種類が幅広いため、まず全体像と代表的なサービス領域を押さえるだけでも、検討のスピードが上がります。
この記事では、リーガルテックの意味から、導入メリット、注意点、選び方までを実務目線でまとめます。
リーガルテックとは?意味と注目される背景

リーガルテックとは、法律に関する業務の効率や精度を高めるためのITサービスやツールを指します。電子契約や契約書管理、AIによるレビュー支援などが代表例です。
人手不足や働き方の変化も重なり、法務の進め方を見直す企業が増えています。まずは言葉の意味と、導入が進む背景を押さえると判断しやすくなります。
リーガルテックを一言で整理
リーガルテックは、契約や文書の作成・確認・保管・共有といった法務業務を、デジタルの仕組みで支える考え方です。紙やメール中心の運用では、最新版が埋もれたり、必要な条文を探すだけで時間がかかったりしがちです。
ツールとルールを合わせて整えることで、担当者の経験だけに頼らない運用へ近づきます。結果として、作業時間の短縮に加えて、確認漏れの予防や説明のしやすさにもつながり、社内外とのやり取りが落ち着きやすくなります。
法務DX・働き方の変化で導入が進む理由
押印や原本管理が前提の運用は、リモートワークや複数拠点の体制と相性がよいとは言えません。電子契約やクラウド管理を取り入れると、場所を問わず確認・承認を回しやすくなり、業務の停滞も減らせます。取引数が増えるほど契約書が積み上がり、管理が属人化しやすい点も課題です。
こうした状況を放置すると、探す時間や更新漏れの不安が積み重なるため、法務業務を仕組みで整える動きとしてリーガルテックが選ばれやすくなっています。
リーガルテックの導入を検討しやすい企業の目安
契約書が紙とPDFで散らばり、更新時期や最新版の把握に不安がある企業は特に相性がよいです。法務が少人数で、確認や管理が特定の担当者に集中している場合も候補になります。
監査や内部統制の観点で「いつ、誰が、どの資料を参照し、どのように承認したか」を説明できる状態を作りたい企業にも向きます。課題がはっきりしているほど、導入後の効果が見えやすくなり、関係部署との合意形成も進めやすくなります。
リーガルテックの種類|自社課題から選べるように整理
リーガルテックは領域が広く、一覧で眺めるだけでは選びにくくなります。検討の起点としては「締結を楽にする」「契約書を管理する」「確認を支える」「社内文書を整える」の4つに分けると理解しやすいです。
自社の困りごとに近い種類から当てはめると、必要な機能が絞れて比較もしやすくなります。
電子契約・電子署名|締結の手間とコストを減らす
電子契約は、契約書の作成から締結までをオンラインで進める仕組みです。印刷や郵送、押印のための回覧が減るため、締結までの時間を短縮しやすくなります。在宅勤務でも手続きを進められるようになり、承認の停滞が起きにくい点も魅力です。
一方で、契約の種類や相手先の運用、社内規程の扱いによっては紙の原本が求められる場合があります。導入前に対象契約を洗い出し、例外処理のルールも決めておくと、現場が迷いにくくなります。
契約書管理|期限・更新・検索を一元化する
契約書管理は、締結後の契約書を「探せる」「更新を見落としにくい」状態に整える領域です。紙の原本、PDF、電子契約のデータが混在すると、最新版の確認や条文の参照に時間がかかり、問い合わせ対応も増えがちです。
台帳化、期限通知、権限設定などを組み合わせることで、必要な情報へ早くたどり着けます。更新漏れの予防や、担当交代時の引き継ぎ負担の軽減にもつながるため、導入効果が見えやすい分野と言えます。
契約書レビュー(AI)|チェックの効率化を支援
契約書レビュー支援は、条文チェックや抜け漏れ確認を補助する領域です。AIを活用すると、確認ポイントの抽出や注意すべき表現の検出を手助けでき、レビューの初動を速めやすくなります。経験の浅い担当者でも、一定の観点で見直しやすくなる点は安心材料です。
ただし、AIの判断は常に正しいとは限りません。社内ルールや取引の前提に照らして最終的に確認するのは人の役割になります。役割分担を決めて使うことで、便利さと安全性の両立がしやすくなります。
文書管理・情報共有|規程や証憑の運用を整える
文書管理は、契約書以外の規程、稟議、各種申請書類などを、一定のルールで保管・共有するための仕組みです。ファイル名や保存先が人によって違うと、必要な資料が見つからず確認に時間がかかります。
権限を分けて保存し、検索しやすい状態にしておくと、引き継ぎや監査対応も落ち着いて進めやすくなりますし、確認の往復も減りやすいです。契約書管理と合わせると、社内文書の扱いが整い、関係部署との連携もスムーズになりやすくなります。
その他の領域|法令調査、知財、登記など(必要に応じて)
リーガルテックには、法令や判例の調査を助けるサービス、知的財産の管理、登記や手続きに関する支援などもあります。ただし、最初から広げすぎると比較が難しくなり、導入の判断が止まりがちです。
導入の第一歩としては、契約締結や契約書管理など、日常業務で発生頻度が高い領域から着手した方が効果を感じやすいです。まず運用を安定させてから、次の課題に合わせて範囲を広げると、負担を増やさずに進められます。必要な範囲から積み重ねる姿勢が、定着につながります。
リーガルテック導入のメリット
リーガルテックの良さは、単に作業が早くなるだけではありません。手順が整うことで、ミスが起こりにくい流れを作れます。現場の負担を減らしながら、取引の安心感を高めたい企業にとって、導入を検討する価値のある選択肢と言えます。
メリットを理解すると、費用対効果の見立ても立てやすくなります。
業務効率化|作業時間と手戻りを減らしやすい
文書の作成、確認、保管、共有の流れをデジタル化すると、探す時間や転記の手間が減りやすくなります。例えば電子契約なら、印刷して発送し、押印済みの書類を回収する工程が不要になります。
契約書管理なら、必要な契約をすぐ参照できるため、確認待ちの時間も短縮しやすいです。手作業が減ることで修正の往復や入力ミスも起こりにくくなり、結果として全体の工数が軽くなります。忙しい時期ほど差が出やすいメリットです。
リモートワーク対応|場所に依存しない法務運用へ
法務業務は、押印や原本確認が絡むと出社が前提になりがちです。リーガルテックを取り入れることで、承認や確認をオンラインで進めやすくなり、在宅や出張中でも対応できる場面が増えます。拠点が複数ある企業でも、同じ画面・同じルールで進められるため、連絡の行き違いが減るのもメリットです。
担当者が不在でも作業が止まりにくくなるため、繁忙期のストレスも抑えやすくなります。働き方が多様になるほど、場所に縛られない運用の価値は高まります。
品質の均一化|属人化を減らし、ミスを防ぐ
手作業中心だと、担当者によってチェックの観点がずれたり、表記がぶれたりしやすくなります。ツールに沿って手順を統一すると、確認の抜け漏れが起こりにくくなり、誰が対応しても一定の品質を保ちやすくなります。レビュー支援やテンプレート管理が整うと、急ぎの案件でも落ち着いて進められる場面が増えます。
結果として、取引先との認識違いを防ぎやすくなり、社内の安心感にもつながります。品質が安定すると、再確認の回数も減りやすくなります。
コスト削減|紙・郵送・保管だけでなく人件費にも波及
契約書や文書が電子化されると、印刷費、郵送費、保管スペースなどの直接コストが減りやすくなります。加えて、探す時間や転記作業が減れば、人手の負担も軽くなります。目に見えにくい部分ですが、工数が減るほど別の業務へ時間を回せるため、実質的なコスト改善につながります。
費用対効果を考える際は、料金だけでなく「削減できる作業時間」も合わせて見積もるのがポイントです。
リーガルテック導入時の注意点|法務・運用・セキュリティ

便利な反面、導入の進め方を間違えると「使われない」「運用が混乱する」といった事態も起こります。法務の観点では適法性、運用の観点では責任分担、セキュリティの観点では情報の扱いが大切になります。
導入前に注意点を押さえておくと、トラブルを避けやすくなり、安心して運用しやすくなります。
電子契約にできない契約がある|事前確認の観点
電子契約は便利ですが、すべての契約が同じ条件で対応できるとは限りません。契約の種類や相手先の運用、社内規程の扱いによって、紙の原本が必要になるケースもあります。
導入前に、どの契約を電子化するかを洗い出し、例外が出る場面を想定しておくことが大切です。例外処理が曖昧だと現場が迷い、確認の往復が増えやすくなります。最初は対象を絞って始め、運用に慣れてから範囲を広げるとスムーズです。
弁護士法第72条との関係|ガイドラインも踏まえて検討
リーガルテックの中でも、AIを使った契約書チェックの領域は、提供範囲と運用の仕方が重要になります。弁護士法第72条は、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことを禁止する規定です。
サービス提供側がどの範囲まで機能を提供し、利用者側がどのように使うかによって、注意すべき点が変わる可能性があります。関連情報も確認しながら、社内の判断と確認の流れを整えて導入する姿勢が、安心につながります。
AIの出力は最終確認が必要|責任分界点を決める
AIによる抽出や提案は、作業を助ける一方で、誤りが混ざる可能性があります。法律に関する業務は小さな誤解が取引トラブルにつながるため、最終的な判断と確認は人が担う前提で運用することが大切です。
例えば、AIが抽出した条文や項目は一次確認の材料として使い、承認者が目視で確実に確認する流れにすると安心です。誰がどこまで責任を持つかを決めておくことで、現場が迷いにくくなり、AIの良さも活かしやすくなります。
セキュリティと権限設計|機密情報の扱いを前提に見る
契約書や規程には、取引条件や個人情報など、機密性の高い情報が含まれます。そのため、誰が何を閲覧・編集できるかを細かく設計し、権限の付け方を運用として定める必要があります。アクセス制御やログの取得、データの保管方法なども、社内のルールや取引先要件と合わせて確認したいポイントです。導入を急ぎすぎると、便利さを優先して権限が緩くなりがちです。安心して使い続けるためにも、最初に基準を決めて運用へ落とし込むことが大切です。
障害・トラブル時の対応|バックアップと運用ルール
クラウドサービスは便利ですが、通信障害や設定ミスなどで一時的に使えない可能性があります。万一のときに「誰が対応し、どこへ連絡し、どの方法で業務を継続するか」を決めておくと、現場の混乱を抑えやすくなります。責任の範囲や復旧時の手順、バックアップの考え方も、契約条件と合わせて確認しておきたいところです。備えがあることで導入後の不安が小さくなり、継続利用もしやすくなります。迷ったときの判断材料も残しておくと安心です。
リーガルテックの選び方と導入手順|失敗を減らすポイント
リーガルテックは「良さそう」で選ぶと、運用が回らずに形だけ残ることがあります。目的と対象業務を絞り、比較の観点をそろえ、試してから定着まで設計する流れが大切です。関係部署の負担を増やしすぎない進め方にすると、導入効果も実感しやすくなります。
目的と対象業務を絞る|どこから効かせるか決める
最初に決めたいのは、リーガルテックで何を改善したいかです。例えば「契約書が見つからない」「更新漏れが不安」「レビューが滞る」など、課題を言葉にすると選択肢が絞れます。対象業務を広げすぎると関係者が増え、調整が難しくなるため、まずは効果が出やすい領域から始めるのがおすすめです。目的が明確になることで、必要な機能と不要な機能が見えやすくなり、費用の判断もしやすくなります。合意形成も進みやすくなります。
比較軸を決める|機能・運用・連携・セキュリティ
比較するときは、機能の多さだけでなく「運用に乗るか」を中心に見ると失敗を減らしやすくなります。確認したいポイントは次のような観点です。
- ・必要な機能がそろうか(検索、期限管理、台帳化、権限など)
- ・運用が続けやすいか(画面の分かりやすさ、入力負担、承認の流れ)
- ・既存の仕組みとつながるか(電子契約、社内ストレージ、認証など)
- ・情報管理が安心できるか(権限、ログ、保管方法、管理体制)
比較軸をそろえることで、関係者の見方が揃いやすくなり、導入後の「想定と違った」も減らせます。見積りの取り方や運用サポートの範囲も確認すると、導入後の不安が小さくなります。
トライアルで確認する|現場が使えるかを見極める
資料だけで決めると、現場の負担や例外処理が見えにくくなります。トライアルが可能なら、実際の契約書や運用に近い形で試し、入力の手間や検索のしやすさ、権限の設定方法などを確認すると安心です。運用担当者だけでなく、利用頻度が高い部署にも触ってもらうと、定着の障害が早めに見つかります。小さく試して改善点を洗い出すことで、本導入がスムーズになり、結果として導入効果も出やすくなります。
定着まで設計する|ルール整備と教育で形にする
導入後に差が出るのは、運用ルールと教育の整い方です。例えば、登録の担当、命名ルール、更新時の手順、例外契約の扱いなどを決めておくと、迷いが減って定着しやすくなります。ルールは細かすぎると続かないため、最初は最低限から始め、運用しながら調整する形が現実的です。社内で相談先が明確になることで、困ったときに止まらず進められるようになります。小さな成功体験を積むほど、社内の協力も得やすくなります。
契約書管理サービス「ConPass」
リーガルテックの中でも、成果が見えやすい領域の1つが契約書管理です。紙・PDF・電子契約が混在する状態だと、探す手間や更新漏れの不安が積み重なります。ConPassは契約書を一元管理し、必要な情報へたどり着きやすい運用づくりを支えるサービスとして活用できます。
契約書管理で起きがちな課題と、解決の方向性
契約書管理でよくある悩みは「どこにあるかわからない」「最新版が不明」「更新期限の見落としが怖い」といった点です。担当者の経験に頼る運用だと、引き継ぎのたびに混乱しやすくなり、確認のたびに人を探す状態にもなりがちです。
契約書を集約し、検索と台帳化のルールを揃えることで、問い合わせ対応や確認作業が落ち着きやすくなります。期限管理まで整うと、更新漏れの予防にもつながります。日常の小さな手間が減るため、法務だけでなく関係部署の負担軽減にもなりやすいです。
ConPassの活用イメージ|まずは課題の洗い出しから相談
ConPassでは、契約書を一元管理し、検索や期限管理を組み合わせて「探す手間」と「更新漏れの不安」を減らせるように運用を整えていきます。契約書の登録や台帳化に手間がかかる場合でも、社内の実態に合わせて進め方を検討できると導入が進みやすくなります。導入時に大切なのは、ツールを入れることよりも、社内の運用を無理なく回すことです。課題の洗い出しから始めて優先順位を付け、スモールスタートで形にしていくと、効果が見えやすくなります。
【お客様導入事例】ConPassで契約書管理の属人化を解消し、検索と更新管理を効率化
契約書を紙とPDFで管理しており、保管場所が分散していた企業様。
導入前の課題(契約書管理)
契約書は紙の原本と電子データが混在しており、「どこに何があるのか分からない」状態が常態化。
更新期限や契約条件を把握するには、担当者が個別にファイルを確認する必要があった。
ConPass導入後の変化
ConPassの導入により、契約書を一元管理できるようになり、必要な契約書を検索ですぐに確認できる環境が整った。
契約内容や期限情報が整理されたことで、更新漏れへの不安が軽減し、担当者への問い合わせも減少。契約書管理にかかる時間が短縮され、法務・総務双方の業務負担が軽減。
▼ 契約書管理の属人化をどのように解消した?
まとめ|リーガルテックで法務業務の品質とスピードを両立する
リーガルテックは、法務業務をデジタルの仕組みで支え、効率と品質を高める選択肢です。種類は電子契約、契約書管理、AIレビュー支援、文書管理などに分けて考えると、自社の課題と結びつけやすくなります。導入時は、電子化の適用可否、AIの最終確認、権限設計、障害時の対応などの注意点も押さえることが大切です。
目的と対象業務を絞り、比較軸をそろえて試しながら定着を進めることで、無理のない導入につながります。契約書管理の負担が大きい場合は、ConPassのようなサービスを起点に検討すると、効果を実感しやすくなります。
関連記事|電子契約・文書管理・契約書管理
関連テーマも合わせて読むと、リーガルテック全体の検討が進めやすくなります。




















