大量の書類の保管方法は?効率的な保管方法や手順を解説
日々の業務で発生する書類や、過去の契約書・帳簿・顧客データなど長年にわたって保管してきた資料が、気づけば「大量に溜まってしまった…」という経験はありませんか?
オフィスや家庭のスペースを圧迫していく書類を、効率よく安全に保管するには、正しい方法とちょっとした工夫が必要です。
本記事では、大量の書類をスッキリと整理・保管するための方法や手順をわかりやすく解説します。
本記事で解説する主な内容は以下になります。
- ・大量の書類を保管する必要性
- ・大量の書類の保管方法
- ・書類整理の事前準備
- ・大量の書類の保管の流れ
- ・大量の書類を保管するときの注意点
- ・大量の書類を外部に保管するメリット
物理的な保管はもちろん、デジタル化による管理法についてもご紹介するので、「どこに何があるかわからない」「探すのに時間がかかる」といった悩みを抱える方は必見です。
大量の書類を保管する必要性とは
業務が長期化するほど、契約書、請求書、報告書などの書類は自然と増えていきます。これらをただ積み上げているだけでは、業務の効率や法的なリスク管理に大きな影響を及ぼしかねません。
大量の書類を適切に保管しないと起きる可能性があるリスクとして以下が挙げられます。
- ・保管スペース不足がもたらす業務効率の低下
- ・法令遵守とコンプライアンスの観点
- ・情報資産としてのリスクとコスト
それぞれ、順番に解説していきます。
保管スペース不足がもたらす業務効率の低下
書類が整理されずに山積みのままだと、必要な書類を探すのに時間がかかり、業務の生産性が著しく低下します。さらに、机や共用スペースが物理的に圧迫され、働きやすさにも悪影響を及ぼします。
法令遵守とコンプライアンスの観点
会社や事業を運営していると、契約書や会計書類などを一定期間保管する必要があります。これは税務調査や法的トラブルに備えるためでもあり、関連する法律によって保存期間が定められています。これを怠ると罰則の対象になることもあります。コンプライアンスを遵守するためにも、計画的な書類保管は欠かせません。
情報資産としてのリスクとコスト
紙の書類には機密情報や顧客情報が含まれていることが多く、紛失や盗難、劣化による情報漏えいのリスクがあります。もし情報管理が甘く、漏えいが発生すると、信用失墜による取引停止や損害賠償、さらには法的な罰則など、多額の費用が発生する可能性があります。また、これらの対応にかかる人件費や機会損失といった形でコスト増加を招くことも少なくありません。
大量の書類の保管方法
大量の書類を管理・保管するには、状況に応じた方法を選ぶことが重要です。
書類の主な保管方法としては以下の3つが挙げられます。
- ・紙での保管
- ・電子化での保管
- ・書類保管サービスの利用
- 1.不要書類の仕分けと破棄
- 2.カテゴリ分けとラベリングのコツ
- 3.適切な保管場所の選定と準備
- ・オフィスのスペースの確保
- ・保管コストの最適化と業務負担の軽減
- ・保管のセキュリティの強化
それぞれの保管方法を比較しながら解説していきます。
紙での保管
紙での保管は、原本の提出が必要な契約書や帳簿類など、法的な保管義務がある文書に対して不可欠な方法です。
保管する際は、保存期間ごとに分類し、ファイルやキャビネット、書類ボックスを活用して整理しながらまとめることが基本です。また、書類の劣化を防ぐためには、直射日光や湿気を避けた保管環境を整えることも重要です。温湿度管理や定期的な点検など、書類を長期間安全に保つための環境づくりが求められます。
さらに、書類ごとに「保管開始日」「保存期限」「廃棄予定日」などを明記し、スケジュール管理を徹底することで、無駄な保管を防ぎ、定期的な廃棄の判断もしやすくなります。
電子化での保管
書類の電子化は、省スペース化や検索性の向上、複数人での共有といった点で、多くの企業にとって効率的な保管方法です。特に、日々の報告書や申請書類など、頻繁に閲覧・更新される書類は、電子化による管理が適しています。
電子化の基本は、スキャナーや複合機を使って紙書類をPDFなどのデータ形式に変換し、クラウドストレージや社内ファイルサーバーに格納することです。保存する際には、ファイル名のルールや保存先の階層構造を整備し、誰が見てもすぐにアクセスできる状態を保つことが重要です。
一方で、電子化にはセキュリティ対策やバックアップ体制の整備が不可欠です。万が一のデータ消失や外部からの不正アクセスに備えて、アクセス権の制御や暗号化、定期的なバックアップなど、適切な情報管理体制を整える必要があります。
書類保管サービスの利用
社内での保管や管理が難しい、または一定期間を過ぎた書類を安全に保管しておきたいという場合には、外部の書類保管サービスを活用するという選択肢もあります。保管から廃棄までを一括で依頼できるため、管理の手間を大幅に削減できるのが大きなメリットです。
こうしたサービスでは、専用の保管施設で温湿度管理やセキュリティ対策が行われており、長期保存にも適しています。また、必要な書類を取り出す際にも、オンライン上での依頼や配送手配が可能な場合が多く、業務を止めずに対応できます。
注意点としては、外部委託に伴う情報管理責任の所在や、利用コストを事前に明確にしておくことが挙げられます。社内で管理すべき機密情報と、外部に預けられる書類の線引きを事前に行い、自社のリスク管理方針に合った形で活用することが重要です。
書類整理の事前準備
書類の整理を始める前に、まず必要なのは現在の状況の把握と整理の方向性の明確化です。準備が不十分なまま進めてしまうと、かえって時間と労力が無駄になりかねません。
ここからは、3つのステップに分けて、書類整理をスムーズに進めるための基礎的な準備方法を解説します。
ステップ1.現在の状況を把握
最初に行うべきなのは、社内にどのような書類がどれくらい書類が存在し、どこに、どのような状態で保管されているかを確認することです。
たとえば、「部署別」「保管年数別」「使用頻度別」などの視点から分類し、書類の量や種類、重複の有無を把握しておくと、後の整理や移行作業が効率的に進められます。
また、保管義務のある書類と不要な書類の境界を整理するために、法定の保存期間を一覧化しておくと整理の優先順位や必要なリソースも把握でき、実務上非常に便利です。
ステップ2.整理の目標を明確に設定
書類整理のゴールを曖昧にしたまま作業を始めると、途中で迷いが生じやすく、判断や作業のスピードも落ちてしまいます。
たとえば「来月末までに過去5年分の経理書類を電子化する」「倉庫スペースを30%削減する」など、具体的かつ測定可能な目標を設定することで、チーム全体の認識も揃い、スムーズに取り組めます。
作業を複数人で行う場合は、タスクごとに担当者やスケジュールを事前に決めておくことで、抜け漏れや進捗の遅れを防ぐことができます。
ステップ3.書類整理のルール決め
整理作業に入る前に、あらかじめ書類の分類ルールや処分ルールをしっかりと定めておくことが重要です。これにより、誰が担当してもブレのない作業が可能になります。
分類の基準は、「書類の種類」「業務の種類」「保存期間」などに加え、「機密度」や「使用頻度」も考慮すると、より実務に沿った運用が可能になります。
また、「書類にラベルを貼る位置やラベルの色」「ファイル名の命名規則や日付表記の統一」「廃棄対象の判断基準」など、細かい運用ルールも明文化しておくと、今後の保管管理の一貫性と継続性が確保されます。
大量の書類の保管の流れ
書類の整理や保管は、単に物を移動する作業ではなく、情報管理の精度や業務効率にも直結します。計画的な手順に沿って進めることで、業務を止めずに、安全かつ効率的な保管体制を構築できます。
代表的な進め方として、以下の流れがあります。
それぞれのステップごとに解説していきます。
ステップ1.不要書類の仕分けと破棄
最初のステップは、すべての書類を一度棚卸しし、「今後も保管すべきもの」と「処分可能なもの」を分ける作業です。
具体的には、法定保存期間が満了した書類や、内容が重複している書類、更新済みの旧版資料などが破棄対象になります。
廃棄処理については、情報漏えい防止の観点から、シュレッダーまたは溶解処理など、内容が復元できない方法で安全に処理することを推奨します。
ステップ2.カテゴリ分けとラベリングのコツ
次に行うのが、保管対象となった書類の分類とラベリングです。
書類の種類や用途、部署ごとなど、自社の業務フローに即した分類方法を設け、保管ボックスやファイルに明確なラベルを貼付します。
例えば、「部門コード+文書種別+保存年限(例:経理_請求書_2022_7年)」のようにルールを統一しておくと、誰が見ても一目で内容がわかり、取り出しや棚卸しの効率が大幅に向上します。
また、ラベルには「保管開始日」「保存期限」「担当者名」などを併記すると、廃棄判断や責任の所在も明確になり、管理の質を高めることができます。
ステップ3.適切な保管場所の選定と準備
最後に、書類の性質や保存期間に応じて、適切な保管場所を決定します。
たとえば、頻繁に使用する書類は手元に、使用頻度が低く長期保存が必要なものは書庫や倉庫へといった具合に、アクセス頻度と保管効率のバランスを考慮することがポイントです。
保管場所を決めたら、棚の強度、湿気対策、施錠設備などの環境面もチェックしておきましょう。特に長期保存する書類については、温湿度管理や災害対策なども検討し、物理的な保護体制を整えておく必要があります。
大量の書類を保管するときの注意点
書類をただ保管するだけでは、十分な管理とは言えません。保管環境の管理やセキュリティ対策が不十分だと、書類の劣化や情報漏えいなど、重大なトラブルにつながるリスクがあります。
ここでは、大量の書類を保管する際に押さえておきたい重要なポイントを解説します。
湿気や災害対策をどう行うか
紙の書類は湿度や温度の影響を受けやすく、カビの発生や劣化を招くことがあります。保管場所には、高温多湿を避け、風通しのよい環境を確保することが基本です。特に地下室や外部倉庫を利用する場合は、除湿機や湿度センサーの設置を検討すると安心です。
また、地震・火災・水害などの自然災害に備えて、耐震性のある書庫を選ぶ、床上数十cmの高さに設置する、防火・防水機能付きのキャビネットを使用するなど、物理的なリスクへの対策も必要です。防災マニュアルやバックアップ手順とあわせて、書類の保護体制を整備しましょう。
セキュリティ面の強化と情報漏えい対策
書類の中には、取引先との契約書や人事・経理関連の個人情報など、外部に漏れてはならない情報が多数含まれていると思います。社内で保管する場合でも、保管場所には鍵をかける、入退室記録を取る、閲覧権限を明確にするといった対策が欠かせません。
特に複数人が出入りする倉庫などでは、誰がどの書類にアクセスできるのかを記録し、管理責任者を明確にしておくことがトラブル防止につながります。
また、廃棄処理の際も要注意です。通常のごみとして処分することはせず、シュレッダーや溶解処理を用いて、機密情報が復元されることのないよう徹底する必要があります。専門業者に処理を委託するという場合も、契約内容や実施体制を確認し、情報管理の責任を明確にするようにしましょう。
大量の書類を外部に保管するメリット
社内での保管が限界に達している、もしくは管理の手間やリスクを減らしたいといった場合、外部の書類保管サービスを活用することで、多くのメリットが得られます。
主なメリットとして以下が挙げられます。
特に中長期的に保管が必要な文書を効率的に管理するには、外部保管は非常に有効な選択肢です。
それぞれのメリットについて、順番に解説していきます。
オフィスのスペースの確保
書類を社内に保管し続けると、キャビネットや書庫が増え、作業スペースや会議室、備品置き場などを圧迫することがあります。不要不急の書類を外部に移すことで、オフィス内をすっきりと保ち、生産性の高いレイアウトや用途にスペースを有効活用することが可能になります。
特に都心部ではオフィス賃料が高く、限られたスペースをいかに有効に使うかが経営課題となる場面も少なくありません。書類のために場所を占有し続けるよりも、必要に応じて外部に保管することで、コスト効率のよい空間活用が図れます。
また、オフィスの移転やレイアウト変更のタイミングでは、保管書類を一時的に外部に預けることで、作業の円滑化やコスト削減につながるケースも多く見られます。
保管コストの最適化と業務負担の軽減
社内保管では、書庫の管理や整理、定期的な廃棄作業などに人的コストがかかります。加えて、書類の増加に伴う収納アイテムの購入やスペースの増床といったわずかながら徐々に積み重なるコストも無視できません。
一方、外部保管サービスを活用すれば、保管・出庫・廃棄といった一連の業務を外部委託でき、管理にかかる社内負担を大幅に軽減できます。特に総務や庶務部門が兼務で対応している企業にとっては、業務効率の面で大きなメリットがあります。
保管のセキュリティの強化
書類専用の外部保管施設は、入退室管理や監視カメラ、温湿度管理などが徹底されており、社内保管よりも高いセキュリティレベルで管理されているケースが多くあります。
また、情報漏えいリスクが高まる廃棄時にも、確実に内容が判別できない方法(溶解・密封処理など)で処理が行われることが一般的であり、社内での手作業よりも安心感があります。
重要なのは、単に「預ける」ことではなく、自社の管理ポリシーと照らし合わせて、何を社内に残し、何を外部に出すかを明確に判断する運用ルールを持つことです。
大量の書類を効率的かつ安全に保管・管理することは、業務効率の向上や法令順守、リスク管理の観点からも、企業にとって非常に重要な取り組みです。また、紙での保管、電子化、外部保管といった方法にはそれぞれ特性があり、自社の業務内容や実態、保管方針に合わせた使い分けが大切です。
書類を整理する際には、事前のルール作り、保管環境の整備も不可欠であり、それぞれ計画的なステップを踏むことが、継続的な文書管理体制の確立につながります。
こうした中、専門スタッフによる運搬・配送、必要に応じた文書のデータ入力や電子化、保存期間終了後の廃棄・抹消処理まで、文書管理の工程を一括でサポートしてくれる外部サービスを活用すれば、書類管理にかかる手間やコストを軽減しながら、セキュリティや法令対応の水準を維持することが可能です。
日々の業務に集中できる環境を整えるためにも、より便利で最適な保管方法を検討し、効率的かつ安全な文書管理を実現していきましょう。