科学的エビデンスと最適なデザイン。オフィス緑化サービス「COMORE BIZ」の秘訣に迫る

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働き方改革を背景に、従業員の生産性向上と組織活性化のための、ストレスフリーなオフィス環境を検討している総務・人事担当者の方は多いかと思います。
そこで今回は、オフィス緑化で従業員のストレスを軽減させるサービス「コモレビズ」を提供する、パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社様にお話を伺いました。
前半はパナソニックのもつ最先端技術が可能とした、PCのカメラから疲労度合いを測定レポートする「ストレスの見える化」からわかるオフィス緑化の効果や開発背景を、後半では実際にコモレビズを導入した三菱地所レジデンス様の事例も紹介します。

◯岩月隆一氏
パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社 代表取締役副社長

◯鈴木章太郎氏
パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社 事業推進・支援本部 企画部 事業開発チーム マネージャー

◯笛木海紗氏
三菱地所レジデンス株式会社 Reビル事業部 Reビルグループ兼PM推進グループ

最適なオフィス環境とは。コモレビズ誕生の経緯

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(パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社 代表取締役副社長の岩月隆一氏)
―:オフィスの緑化に目を向けた背景を教えてください。
岩月氏:弊社では総務BPOソリューションとして、企業のファシリティマネジメントをサポートしています。中でもオフィス環境の最適化は、今年4月より施行された「働き方改革」を進める上で重要なポイントとなっています。
働き方の改善には多くの施策があげられますが、中でも我々が注目したのが「ウェルビーイング」という概念です。ウェルビーイングとは「健康な状態」を指し、ここでの健康は身体的に、精神的に、社会的にも良好な状態をいいます。
そのためには、働く時間を短くするだけでなく、常に従業員が気持ちよく健康に働けるようなオフィス環境が必要だと考えました。そして、我々のウィルビーイングの答えがオフィス緑化を中心としたバイオフィリックデザインソリューション「コモレビズ」なんです。

―:なぜオフィスの緑化が従業員の健康につながるのでしょうか?
岩月氏:ウェルビーイングに近づけるためには、ストレスを「見える化」し緩和すること。その結果、生産性を向上させ、健康経営に寄与させようというのが弊社のメッセージになっています。オフィス緑化の目的は、ワークプレース(職場環境)をライトプレース(人間に最適な自然環境)に変えることです。人は何もないところに投げ出されたとき、サバンナのような緑や自然がある場所に本能でいくという「バイオフィリア理論」があります。その本能に基づいたライトプレース(人間に最適な自然環境)を作ってしまおうという取り組みがコモレビズです。バイオフィリアを具現化するバイオフィリックデザインとは、人が自然に溶け込むことで、健康と幸福度を向上させる空間デザインを言いますが、コモレビズでは科学的なエビデンスに基づいた緑化によるストレス軽減効果と幸福度の向上を提供しています。

―:科学的なエビデンスとは何を指すのでしょうか?
岩月氏:コモレビズでは、アカデミックな研究と実証実験による2つのエビデンスを基にしています。1つ目が「緑視率」。豊橋技術科学大学院松本博名誉教授らによる実証実験から、緑視率(視界に占める緑の割合)の増加が心理的リラックス効果を高め、ストレス軽減につながることがわかっています。オフィスに導入する際には、緑視率の最適解である10~15%というエビデンスを基に植物を配置していきます。2つ目がコモレビズ独自の観葉植物のデータベース。植物の種類によってストレス軽減効果には差があるため、日々データベースを更新しながら、最適な植物の組み合わせをエビデンス化しています。

オフィス緑化のメリットや効果とは

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(パソナ・パナソニック ビジネスサービス株式会社 企画部 事業開発チーム マネージャーの鈴木章太郎氏)

―:「オフィスの緑化」がもたらすメリットや効果について教えてください。
鈴木氏:コモレビズの導入は、出勤しながらも体調不良やストレスによって生産性が低下する「プレゼンティーズム」を解消します。また、今後を担うミレニアム世代へのアンケートで、就職したい企業に求める要素として最も多かったのが「働きやすい環境」でした。コモレビズは心地よく効率のよさにつながるオフィス空間を実現できるため、リクルート効果や離職率の低下、求職者に対するブランディングが期待できます。

―:実際に緑化によるストレスの軽減が、生産性向上につながっているのですか。
鈴木氏:会社全体として、いくら儲かっているかというデータはまだありません。ただ、我々が提供するコモレビズの恩恵を受けるのは、企業でなく従業員一人一人です。もちろん緑化サービスの効果には個人差があります。しかし、ストレス状態を自覚できていない方がいるのも事実。まずは企業がそのような人たちを認識し、長期的に従業員を大切にすることで、人が集まり、離職率の低下につながると考えます。我々は、そのプラスのスパイラルをサポートしている認識です。

―:他社様が提供しているオフィス緑化サービスと比較し、「COMORE BIZ」の特徴について教えてください。
鈴木氏:エビデンス・デザイン・見える化の3点セットが極めてユニークであり、他社様にはない価値となっています。科学的なエビデンスをサービス化し、最適なデザインに落とし込む。導入の後押しと、効果測定もできるストレスの「見える化」によるサービスの透明性。導入後のメンテナンスまで提供するのがコモレビズです。導入して初めてスタートラインに立ち、企業の方と我々がともに進んでいくことが目的となっていきます。働き方改革に伴い、生産性を上げたい、おしゃれにしたい、リクルーティングを上げたいなど、お客様の希望や課題に寄り添いながら、我々が提供できる3点セットをうまく使って解決していくのが大きなポイントです。お客様の声を反映させながら、持続的に歩んでいきたいと考えています。

―:働き方改革を「すること」が目的ではなく、その後の「持続性」が大切なんですね。
鈴木氏:はい。やはり働き方改革の本質は従業員のエンゲージメントを高め、生産性をあげることです。経営資源の中でも、一番大事なのはヒューマンキャピタル「人材」だと思っています。どこの企業も理屈では理解しているかと思いますが、現在その人材が採用しにくくなっています。彼らが満足する、いいパフォーマンスを発揮する、会社を好きになる、家族も幸せになる。僕らはたまたまコモレビズというサービスを提供していますが、それ以外にも従業員が喜ぶオフィス環境づくりはあると思います。さまざまな働き方改革を進める施策がある中で、経営者としては従業員を大事にしなければならないし、従業員の方もきっと意識していると思います。

―:人手不足の現代、企業は従業員・求職者に「選ばれる」立場にあるといえます。企業数の多い中小企業は特に、その立場を理解して他社との差別化が必要ですね。

三菱地所レジデンスに聞く、コモレビズ導入の最新事例「TENNOZ Rim」

三菱地所レジデンス株式会社は、2019年6月20日にコモレビズを導入したコワーキングスペース、「TENNOZ Rim」をグランドオープンしました。もともとパナソニックが保有する老朽化したビルをリノベーションしたTENNOZ Rim。既存ビルの先進リノベーション事業を展開している三菱地所レジデンス様ですが、どのような経緯でコモレビズを導入したのでしょうか。TENNOZ Rimの特徴と、その実態をお聞きしました。
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(三菱地所レジデンス株式会社 Reビル事業部 Reビルグループ兼PM推進グループの笛木海紗氏)
―:どのような経緯でコモレビズを導入したのですか。
笛木氏:三菱地所グループは、常に新しい技術や考え方を取り入れながらオフィスを供給してきました。2018年には三菱地所の本社でも大幅な移転を行い、パナソニック社と提携した位置情報システム、指紋認証による入退室管理システムなどを導入しています。私が所属する三菱地所レジデンスのReビル事業部では、リノベーションオフィスを提供しています。基本的にはビル一棟・本棟を何もない状態で提供しますが、テレワークの普及など働き方の多様化が進む中で、何もないオフィスだけを提供するのに危機感を感じていました。そんな中、もともとパナソニック社が借りていたこの建物をリノベーションするにあたり、コモレビズによるバイオフィリックデザインの快適性を知り導入を決めました。

―:三菱地所レジデンス様のノウハウと、パナソニック様がもつ技術の融合ですね。そんなTENNOZ Rimのコンセプトや特徴を教えてください。
笛木氏:「快適性を追求しつつ、クリエイティブで新しいもの好きな人が集まる場、ビルリノベーションによる地域活性化のモデルケースとなる場」をコンセプトにしています。大きな特徴としては、パナソニック社の最先端技術と、快適性を高めるコモレビズのバイオフィリックデザインを掛け合わせたこれまでにないワークスペースです。

【映像×コモレビズ】
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パナソニック社のスポットライト型プロジェクターを用いて、室内にある植物や水什器に映像を投影します。風で揺れる葉や水面に広がる波紋、小鳥などを表現することで、まるで自然の中にいるような環境を作り出しています。

【音×コモレビズ】
パナソニック様の音響機器と空間音響設定技術によって、ワークスペースでは小鳥のさえずりや木々のさざめきがハイレゾ音で流れています。コモレビズのバイオフィリックデザイン空間に自然音が重なることで、より自然環境に近づき、ストレス軽減効果も実証されています。

【照明×コモレビズ】
室内の明るさを自然光のように時間帯によって変化させることで、適切な照明環境が実現できています。ワークスペース利用者の室内での位置情報を把握し、スポットで照明を当てられるので、エコにもつながります。また植物に対する安定的な照明の供給は、植物の成長を助けます。

―:利用者からはどのようなお声を聞いていますか。
笛木氏:目に見える緑や照明、音響が合わさった1つの空間として高評価をいただいています。中でも一番評価が高かったのが音響技術です。やはり自然音を不快に思う方は少ないようで、耳に疲労感を与えないように作られた鳥の鳴き声が特徴的です。自然の中にいるようなコモレビズの緑化デザインと、パナソニック社の最先端技術による評価だといえます。実際に、オフィスに取り入れたいという企業の方もいらっしゃいました。

企業とともに歩み成長していく緑化サービス

―:今後緑化サービスに期待することは何ですか。
笛木氏:今はここが最新の導入事例となっていますが、さらにバリューアップさせ、ここを起点に展開していくのもいいと思います。我々の事業としても、コワーキングがここだけでなく、将来的には横展開を考えています。今回パソナ・パナソニック ビジネスサービス社のコモレビズと組む中で、様々な実験を行い、まとまったデータを別のところに持ち込んで展開するのも面白いと考えてます。

―:企業によって抱える悩みや課題は異なります。まずはTENNOZ Rimでオフィス緑化サービスを体験し、検討するのもいいですね。
笛木氏:大手・中小も含む近隣の企業さんや、この近くに打ち合わせ場所がある企業さんからも、サテライトオフィスとしてここを契約したいというお声をいただいています。緑・照明・音響はすべて五感で感じるものなので、実際に利用していただくことで、効果を実感できるかと思います。

―:役員や総務の方自らが実行すれば、より従業員の目線で最適なオフィス環境を考えられますね。本日は貴重なお話を教えていただき、ありがとうございました。