2017年9月15日お役立ち情報
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卵子凍結補助や同性婚・事実婚を認可。サニーサイドアップの多様性を認め合う福利厚生制度を紹介!

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社内の福利厚生制度を作るとき、皆さんはどのような軸で内容を考えていますか。

「社員のためになるもの」という軸は、当然出てくるでしょう。しかし、それ以外の軸はあるでしょうか。

今回は、32個もの社内制度を導入している株式会社サニーサイドアップを取材しました。制度の内容もさることながら、制度が生まれた背景や軸も参考になるものが多いはず。社内制度を導入する立場にいる方は、ぜひこれから紹介するお話を参考にしてみてください。

株式会社サニーサイドアップってどんな会社?

株式会社サニーサイドアップは、「たのしいさわぎをおこしたい」というスローガンのもと、PR事業からプロモーション事業、スポーツ選手のマネジメントを含むスポーツマーケティング事業、さらに世界の食のトレンドを牽引するオールデイカジュアルダイニング「bills」の展開など、PRノウハウを活かして幅広い領域でムーブメントを起こしている総合PR会社。

同じやるなら「誰もやったことのない方法でチャレンジしてみたい」「誰かを幸せな気分にしたい」「世の中を驚かせてみたい」「誰よりも自分がそれをいち早く見たい」といった想いで仕事を続けてきたことが、「たのしいさわぎをおこしたい」という現在のDNAを形作っているといいます。

そんな同社にたくさんの福利厚生制度が生まれた経緯を、まずは紐解いてみましょう。

社員の声からプロジェクト発足。本当に社員のためになる制度をみんなで考えた

IMG_0580▲バイスプレジデントの松本理永さん。株式会社サニーサイドアップの創業メンバーだ。

ー御社には全部で32個もの福利厚生制度があります。なぜこれだけ多くの制度が誕生したのか、きっかけを教えていただけますか。

松本:最初に話が挙がったのは2011年のことです。社員数がかなり増えてきたタイミングで、「会社にやってほしいこと」を社員に聞くと、「福利厚生制度を充実させたい」という声が多くなってきたんです。もちろん会社として最低限のものは備えていたのですが、本当に社員みんなに必要なものは社員みんなで考えたほうがいいだろうということで、社長の次原を筆頭に有志10名くらいと私でプロジェクトチームを作りました。

ーそこから、どのように制度を決めていったのですか。

松本:まずは社員に「どんな制度があったら嬉しいか」をアンケートしました。そうすると、大小さまざまな要望がたくさん集まるんです。集まった要望から制度にするものを決めていくにあたって、「本当に社員みんなのためになるのは何か」という考えのもと、「サニーサイドアップらしさを大切にする」という視点でいくつかの軸を作ったんです。

例えば、「たのしいさわぎを創るためにはインプットも必要」とか「一緒に働いている人をよく知ることが重要」とか「個々のスキルアップにつながるものがいい」とか。

続いて、設けた軸に1つひとつ挙がった意見を照らし合わせて、「◯◯の軸に当てはまるね」「果たして制度として適切なのか」などと話し合いながら固めていきました。また、会社として社員に発信したい内容も、この機会にいくつか制度化しました。

プロジェクト開始から半年くらいで29個くらいの制度が決まったのですが、せっかく「サニーサイドアップ」の「サニー」が「32」と語呂が一緒なので、32個まで枠を設けておいて、いい意見が出たら採用できるようにしたんです。

こうしてその後いくつかの新しい制度が追加されて、現在の32個の制度が誕生しました。

ユニークなものから社会性のあるものまで!サニーサイドアップの社内制度を紹介!

続いては、同社が導入している福利厚生制度を紹介します。ピックアップした5つの注目制度については松本さんのコメントもいただいているので、どのような想いで制度が生まれたのか、ぜひご覧になってください。

今注目の5つの制度

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1.「英語ペラペラ」制度
社内でプライベートレッスンが受けられる制度。グローバルな仕事も増えてきたので、英語スキル向上をはかる社員が増加中。

<松本さんのコメント>
会社で契約した英語の先生に週3日〜4日社内にいていただき、自分の都合の良い時間に1時間1000円でレッスンが受けられる制度です。もちろん就業時間中でもOK。

特筆すべきなのは、レッスン内容が完全に個々にカスタマイズできるということです。「この教科書を使って勉強したい」と言えば教科書を使って教えてくれますし、自分の仕事を英語でプレゼンできるようになりたいと言えば、そのように進めてくれます。

公私共に英語を使う機会は増えているので、社員からも好評の制度ですね。

2.「幸せは歩いてこない」制度
目指せ、月間平均1万歩!!毎月、月間平均で1万歩を歩いた社員に健康奨励金「3,200円」を支給。 歩くだけで健康と報奨金「3,200円」を両方手に入れることができるいいこと尽くしのWチャンス。

<松本さんのコメント>
社員に支給している社有携帯(スマートフォン)についているヘルスケアアプリを使って歩数を毎月申告してもらっているんです。

達成者は毎月20〜30名程度いて、中には毎月3200円をもらっている常連社員もいます。社員が健康であることが創造性や生産性の向上に繋がり、私たちのスローガンである“たのしいさわぎ”の原動力となると思っていますので、そのための環境づくりには力を入れています。

他にも、自主的なDOスポーツの機会を後押しする「クラブ活動支援」制度などがあり、こうした取り組みが評価され、「スポーツ推進企業」に認定されました。私達の主要ビジネスの中にスポーツマーケティングがあるので、会社としても体を動かして健康になることを推奨しています。

3.「サニーベイビー支援」制度
サニーサイドアップ、グループ会社の社員同士で結婚し、2人目以降の子供が産まれたら、都度100万円を支給する制度。(出産時在籍の社員のみ)

<松本さんのコメント>
サニーサイドアップがなければ、2人が出会うことも結婚することもなかったかもしれません。そう考えたら、会社があることによって産まれた子供がいるって、すごく素敵なことですよね。

私達はそういう子供を「サニーベイビー」と呼んで、できる限り支援をしたいと思っています。

4.「Dear WOMAN」制度
働き方だけではなく女性の生き方に寄り添いたいという想いからうまれた制度「Dear WOMAN」制度。その中で、日本企業としていち早く「卵子凍結から保存までの費用助成」をスタート。また、妊娠出産に関することだけでなく、女性特有の病気や症状を含め「女性のカラダ」全般についての勉強会を開くなど、社員ひとり一人が自分らしい生き方をできるようにバックアップしていきます。

<松本さんのコメント>
卵子凍結を推奨しているとか、子どもを産むべきだと言っているわけではなく、社員に自分の生き方や働き方を考える一助にしてほしいという想いで制度化しました。

弊社は代表の次原も私も女性。これまでも公私共に働く女性をたくさん見てきましたが、一生懸命働いてきて、ふと気づくと出産適齢期を迎えていた、又は過ぎているというケースは少なくないです。テレビなどで高齢出産されている方が取り上げられることもあり「まだ産める」と思っている方も多いと思いますが、妊娠・出産にはやはり適齢期があり、そこを過ぎるとぐっと妊娠の確立が低くなるのは事実です。

実際そうした事実に直面して「もっと早く知っていれば違う道を選択したのに」という女性達もいました。なので、この制度では、卵子凍結補助だけでなく、妊娠・出産に関すること、婦人科系の病気のことなど、「女性のカラダ」について知ってもらうため、専門医をお呼びし、勉強会も開いています。

卵子凍結は賛否両論ありますが、社員には、性別にかかわらず「世の中にそうした動きがあるのはなぜか」といったことを考えるきっかけにしてほしいんです。会社がこうして制度にしている背景にどのような想いがあるのか、汲み取ってもらえたら嬉しいです。

5.「パートナーシップ」制度
社員の多様性を認め合い、尊重し合うダイバーシティの理念に基づいた新しい時代の就業規則。異性婚のみではなく、同性婚・事実婚に関しても、結婚・出産祝金、結婚休暇は同じです。

<松本さんのコメント>
弊社では昔から年齢・性別・国籍に関係なく、個性を認め合う「多様性」を大事にしていました。

数年前からCSRの一環でLGBTのイベント「東京レインボープライド」のPRサポートを行っていることもあり、2015年、渋谷区が日本で初めて同性カップルを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ証明書」を発行したことをきっかけに会社の制度もそれに合わせたものにしようということで導入しました。

もともとの想いは「結婚おめでとう」ということなので、婚姻届がどうとか、男女がどうとかはどうでもいいんです。その社員がよきパートナーに出会い、共に歩もうと決めたことを、よかったねとお祝いし応援するだけです。

サニーサイドアップの他の制度一覧(27個)

ssuweb_eggs_DSC9103▲社名でもあるサニーサイドアップ(目玉焼き)のグッズがたくさん並ぶ。

■「たのしいさわぎ創造支援」制度
音楽、映画、演劇、落語、イベント、スポーツ、アートなど、今世の中で起きているさまざまな“LIVE”に触れる体験に対し、会社が費用を一部支給する制度。

■「スキルアップ支援」制度
社員に日々成長し変化を遂げ、どんな球も打ち返せる幅の広さを持ってもらうため、資格取得やセミナー参加などスキルアップのためにかかる費用を会社が支給する制度。また、承認されれば長期休暇の取得も可能。

■「サニー文庫」制度
「読書を廃す、これ自殺なり」by 国木田独歩。日々勉強、日々インプットをする社員の書籍代を補助する制度。仕事に関係する本や今話題の本など、購入者の一文感想とともに全員で共有。

■「Happy Sunny Days」制度
会社にこもらず、フィールドワークで知見を養い、色々な人とコミュニケーションをとってもらうため、月に1日、外出、直行、直帰を奨励する制度。

■「MVT(most valuable たのしいさわぎ)表彰」制度
サニーサイドアップの企業理念である「たのしいさわぎをおこしたい」を体現してくれる社員を表彰する制度。

■「アワード獲得表彰」制度
詳細は、社外非公開。

■「目立ったもん勝ち」制度
たのしいさわぎを身をもって実践し、世の中で目立った社員を褒め称える制度。目標を申請でき社長が認めれば達成時に褒章が。 五輪出場、ノーベル賞獲得、ギネス認定、グラビア登場、など。

■「これからもヨロシクね」制度
長期勤続した社員に休暇と報奨金を贈る制度。連続取得すれば休暇手当も出るので、休めば休むほど報奨金が増える!サニーサイドアップのスローガンである「たのしいさわぎ」をおこし続け、SSUカルチャーを継承してきた功績を称え表彰。

■「クラブ活動支援」制度
アウトドアからインドアまでジャンルを問わず、社員のクラブ活動を支援する制度。

■「会社内全員が飲み友達!飲活(ノミカツ)奨励」制度
忘新年会、歓迎会等での飲み代を援助する制度。部署内はもちろん、部署を超え全社横断的に親睦を深めるため、同じ干支同士で語り合う「干支会」、同郷の人が集まる「お国飲み」なども実施。

■「オトコドアップ」制度
月に1度の全社朝礼で抽選に当選した社員が、普段話す機会が少ない社長に好きな食事をリクエストでき、一緒にランチできる制度。(社長の家で手作りデザートを食べた社員もいるとか・・・)。

※SSUではダイバーシティを推進しており、オトコドアップ制度、オンナドアップ制度、どちらの制度に応募するかは自己申告です。

■「オンナドアップ」制度
サニーサイドアップの社員として、しなやかに美しく生きてもらうため、月に1回の全社朝礼で抽選に当選した社員が、当社契約の美容系サロンで施術を受けられる制度。

※SSUではダイバーシティを推進しており、オトコドアップ制度、オンナドアップ制度、どちらの制度に応募するかは自己申告です。

■「シエスタ」制度
堂々と昼寝ができる制度(会社が推奨)。12時~15時の間の30分は公式睡眠タイム取得可。ただしシエスタ中とわかるようにアピールすること。会社からパジャマ、ネグリジェ、枕、布団、ハンモック等をレンタルすることもできる。ハンモックを吊るす場所は自分で探さなければならない。

■「ソーシャル活動支援」制度
世界の様々な課題に目をむけ、その解決に取り組もうとする社員を応援するための制度。1年間で5日間「ソーシャル活動休暇」を取得可能。その経験は、全社にシェアすることが約束。

■「地球にやさしいSSU」制度
未来の地球のために役立つ手立てを全社で講じる制度。2011年8月の毎週金曜日はオフィスをクローズし在宅勤務を奨励。夏場にはハイパークールビズ、冬場にはハイパーウォームビズを適用するなど、随時実施。

■「たのきん」制度
毎月月末金曜日は就業時間を10時~15時に変更。(通常10時~19時まで)2017年2月から全国でスタートした「プレミアムフライデー」をもっと楽しむための制度。”たの”しい“きん”ようびは自分たちで創っていく。略して「たのきん」!

■「社内ビジネス立候補」制度
ビジネスプロジェクトを随時募集し、選考に通ったプロジェクトに対して会社は立ち上げ支援を行う制度。発案者はプロジェクトリーダーを務めると同時に、社内外スタッフを任意で招集可能!

■「ファミリーホリデー」制度
旅行や子供の誕生日など、ファミリーイベント時に休暇を取得できる制度。普段仕事を頑張ることができるのは、家族や支えてくれる人がいるからこそ。

■「誕生日休暇」制度
誕生日に休暇を取得できる制度。会社にいる人にはチームメンバーからケーキが贈呈される場合も。

■「恋愛勝負休暇」制度
独身社員の恋愛を応援する制度。大好きな人に告白したい、勝負デートの準備をしたい、プロポーズの準備をしたい、などの「勝負日」に休暇取得が可能。先輩社員にアドバイスを求めることもできる。

■「失恋休暇」制度
失恋したら会社を休んでも許される制度。会社に出られなくなる程の失恋は、人生の中でよい経験になると思う、という社長の意向で実現したらしい・・・。

■「結婚記念日休暇」制度
結婚記念日に休暇取得できる制度。いつも仕事に集中できるのは、支えてくれている相手がいるから。そんな大事な人を幸せにしてほしい、という願いが込められている制度。※事実婚でも申請可能。

■「離婚休暇」制度
離婚した場合、1日のみ休暇取得が可能になる制度。離婚に伴う必要な事務手続きなどに使えるという、現実的な制度。

■「Thanks, Colleague!」制度
取締役が「勤労感謝」の日に日頃の感謝をこめて、社員に朝ごはんをふるまう制度。朝ごはんを手作りする場合もあるらしい。

■「サニ得」制度
最先端の情報を扱うサニーサイドアップの社員ならではの割引が受けられる制度。新発売の商品や、特別招待チケット、ファミリーセールの招待状などが社員に配布されることも多々あるとか(中田英寿さんのお古をもらえることもあるらしい)。

■「エイプリルランチフリー」制度(新入社員懇親支援制度)
新卒新入社員限定! 会社の雰囲気に慣れ親しむ近道として、会社の偉い人を指名してランチをご馳走してもらえる権利を進呈。この時ばかりはもちろん無礼講です!

■「目指せ!A身体」制度
貰え、健康ボーナス!! 健康診断で総合「A」判定を獲得した健康社員は「32,000円」を、肥満気味の社員は翌年、基準値をクリアすれば「10,000円」をGETなのだ!

お金の出処は、いつも「社員みんなが頑張って稼いだお金」

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ー今後作っていきたい制度がありましたら、教えていただきたいです。

松本:制度としてはかなり網羅できているのではないかと思っています。でも一方で、子供が保育園になかなか入れずに、職場復帰をしたくてもできない人や、親御さんの介護で時短勤務をしなければならない人には、一人ひとりの社員と上長がじっくり話し合って、どのような働き方をするべきか話し合っています。

そういうものは制度に関わらず今後も個々に対応していきたいと思っています。そして時代とともに社員も社会も変わっていくので、そろそろ新たに制度を募集してみてもいいかもしれません。

ー最後に、社内制度に対する松本さんのお考えを伺いたいです。社内制度は、会社においてどのような役割を果たしていると思いますか。

松本:制度を導入すると当然お金がかかるわけですが、お金の出処はいつも「みんなが頑張って稼いだお金」です。それを自己満足的に会社が使って、社員が喜べないような状況には絶対にしたくありません。できるだけみんなが平等に喜べるような内容を制度にすることを心がけています。

あとは、「Dear WOMAN」制度に代表されるように、会社として社員に発信したいという意図を持っている場合もあります。

もしかすると、今この瞬間は自分には関係ないと思っても、大きな目で見たときにみんなのためになるものであり、サニーサイドアップらしさという視点で会社が発信したい内容でもある。今後もこうした考えのもと、制度を運営していきたいと考えています。

「社員に発信した内容を伝える」手段としての社内制度

社内制度を導入するとき、「社員のためになるもの」という軸で考えることはあっても、「社員に発信したい想い」という軸で考えることはあまりないのではないでしょうか。

しかし、「卵子凍結補助」や「同性婚・事実婚」など、世の中で話題や課題になっていることについての会社の考えや想いを社員に知ってもらうことはとても重要なことです。社内制度を新たに作ろうと考えている企業の方は、ぜひこの軸でも制度の内容を考えてみてはいかがでしょうか。

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