「公文書管理検定」は持っていると役立つ資格! 受験方法や合格基準などを紹介

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最近何かと世間を騒がせている公文書の管理。実は公文書管理にもその技能を問う検定試験があります。公文書の管理は国や自治体だけではなく、民間企業においてもその重要性は変わりません。今回は、「公文書管理検定」の概要と国が創設を目指している公文書管理に関する新たな資格についてご紹介します。

「公文書管理検定」とは

最初に公文書管理検定の概要について見ていきましょう。

公文書管理検定とは、公文書を適切に記録管理する人材の育成を目的に行われる検定試験です。一般社団法人日本経営協会によって運営されている民間資格で、受験にあたって必要となる資格は特にありません。

近年では、内部統制の一環として、情報管理やドキュメント管理の重要性が高まっています。公文書管理検定は、文書管理の技能を効率よく身につけられるという意味でも役立つ資格といえます。

公文書管理検定は2科目。全国のテストセンターで受験可能

公文書管理検定は、「マネジメント編」と「実務編」の2科目に分かれています。マネジメント編では「戦略的に公文書管理の立案及び管理できる知識・技能」、実務編では「公文書を通常の業務の中で維持・管理できる知識・技能」が問われます。

テストは基本的に選択方式で行われますが、マネジメント編では文字入力があります。また、マネジメント編には実務編の学習範囲も含まれるため、実務編から受験するとスムーズにマネジメント編の学習も可能です。

受験料は「マネジメント編」が8640円で「実務編」が6480円。試験時間は順に90分と60分です。試験方法は、すべてCBT(Computer Based Test)方式で行われ、全国のテストセンター(約170会場)で受験ができます。

2019年の試験は7月1日から7月31日の1カ月を予定。年に2回の開催となるため、冬季にもう一度行われます。また、受験の際には事前の申し込みが必要となります。

公文書管理検定合格の目安は正答率70%!勉強方法も確立されている

検定合格の目安は「マネジメント編」と「実務編」ともに正答率70%以上となっています。どちらの試験にも、試験対策のための通信講座や公式テキストが用意されているため、勉強方法に迷うことはありません。また、試験の難易度自体もそれほど高くないので気軽に受験できます。

公文書管理検定が活かせるのは公文書に関わるすべての職種・職業

公文書管理検定は、公文書を直接扱う官公庁・自治体職員のみならず、公共機関と取引を行うすべての業種・職種で活用できます。

公文書はその性質上、長年に渡って管理していかなければならないものです。そのなかには、営業許可証といった事業を行う上で欠かせない文書もあるため、官公庁に勤めていなくとも公文書管理を慎重に行う必要性が出てきます。

また、長年にわたって事業を行っていると、紛失・破棄をしてはならない文書を含めた公文書が蓄積されていくため、公文書を取捨選択して管理できる能力は重宝されます。公文書管理検定は、民間企業においても持っていると便利な資格といえるでしょう。

国立公文書館が公文書管理の新資格を検討している

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公文書管理については、今回ご紹介している公文書管理検定の他にも、国の公文書を管理する国立公文書館が新しい公的資格の創設を検討しています。

時事通信によると、2026年度の新館開館を見据えて、諸外国に比べて遅れている専門人材の育成を後押しする狙いがあり、今年の11月までに制度案を固め、20年度中に第一号認定を目指すとのこと。[注1]

すでにフランスや中国・韓国などの諸外国では、公文書管理の専門課程が大学院などに用意されており、公文書管理を専門とする人材の育成が行われています。

ちなみに公文書管理については、以前から公文書管理の専門職「アーキビスト」の創設が検討されていました。アーキビストは、公文書管理に加えて公文書利用者への助言も担う職種です。2008年には、日本学術会議がアーキビストに関する提言を行っています。

提言では、

公文書については、膨大な量の行政・立法・司法の文書のなかから後世に残すべき文書をどのように選別し、整理・保存・公開していくかを検討し、これらに関連する事柄やその周辺の歴史的諸事情などを研究していくことが極めて重要である。

引用元:日本学術会議 史学委員会 歴史・考古史資料の情報管理・公開に関する分科会「公文書館法とアーキビスト養成」

とし、

文書館専門職員(アーキビスト)の養成および専門職員養成制度とそれに対応した資格制度を確立すること

引用元:日本学術会議 史学委員会 歴史・考古史資料の情報管理・公開に関する分科会「公文書館法とアーキビスト養成」

を提言しています。

アーキビストについては、国立公文書館が「アーキビストの職務基準書(平成29年12月版)」等を公開し、創設の準備が加速しています。

政府が取り扱う公文書の適切な管理は、民主主義社会を健全に維持・運営していく上で基本となる事柄です。公正な政治を実現していくうえでも、公文書の管理は非常に重要な課題となっています。

[注1]公文書管理に公的資格=20年度スタート目指す(時事ドットコム)

公文書管理検定を受けて適切な公文書の管理方法を学ぼう

今回は公文書管理検定と国が創設を目指している公的資格の情報について見てきました。公文書管理の管理は、国や企業を問わず、適切な組織の運営を行う上で欠かせないものです。公文書管理検定の勉強をすることで、公文書管理に最適な方法論を学ぶことができます。公文書に関わるビジネスパーソンはぜひ受験してみてはいかがでしょうか。