契約書を廃棄するタイミングは?保存期間・安全な処分方法・廃棄記録を解説

契約書を廃棄するタイミング
契約期間が終了し、法定保存期間も過ぎた契約書は、すぐに廃棄してもよいのでしょうか。書庫に古い契約書が増えているものの、取引先とのトラブルや監査で必要になることを考えると、処分をためらう担当者もいるでしょう。
契約書は、法定保存期間が満了していても、契約上の義務や紛争、監査への対応などを踏まえて廃棄の可否を判断する必要があります。また、取引条件や個人情報が記載された書類を適切に処理しなければ、情報漏えいにつながるおそれもあるため、社内で廃棄対象を確定する手順が重要です。
この記事では、契約書の保存期間と廃棄時期の考え方、処分を見送るべきケース、廃棄対象の承認手順を解説します。さらに、安全な処分方法や廃棄記録・証明書の残し方、法人向け機密文書処理サービスの選び方も紹介します。契約書を適切に整理し、安全な廃棄体制を整えたい方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事でわかること

  • 契約書の法定保存期間と廃棄時期の考え方
  • 保存期間後も契約書を残すべきケース
  • 契約書の廃棄承認と安全な処分方法
  • 廃棄記録・証明書の残し方と外部委託先の選び方

契約書の廃棄時期と保存期間

契約書を廃棄する際は、契約が終わった日だけで判断せず、法令で求められる保存期間を満了しているかを調べます。保存年数は契約書の性質や適用される法律によって異なり、複数の保存義務が関係することもあります。長年保管している書類でも、年数の数え方を間違えると保存義務のある書類まで処分してしまうため、保存期間と起算日を分けて考えましょう。

契約書に適用される主な保存期間

法人が取引に関して作成・受領した契約書は、法人税法上の保存対象となる書類です。保存期間は原則7年間ですが、青色申告書を提出した事業年度に青色繰越欠損金が生じた場合や、青色申告書を提出していない事業年度に災害損失金額が生じた場合などは10年間となります。なお、2018年4月1日より前に開始した事業年度では、該当する場合の期間は9年間となる点にも注意してください。
一方、会社法第432条第2項は、株式会社の会計帳簿と事業に関する重要な資料について10年間の保存を求めています。すべての契約書が一律に10年保存となるわけではなく、書類がどの規定に該当するかによって扱いが変わります。

根拠となる法令主な保存期間対象と注意点
法人税法関係原則7年、一定の場合は10年取引に関する契約書など。古い事業年度には9年の規定も適用
会社法第432条第2項10年株式会社の会計帳簿と事業に関する重要な資料

参考:国税庁「帳簿書類等の保存期間」
契約書以外の書類の保存期間は、「書類(法定保存文書)の保存期間一覧」も参考にしてください。

保存期間の起算日と満了時期

保存期間を数え始める日は、契約締結日や契約終了日とは限りません。法人税法関係の帳簿書類は、対象となる事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から数えます。会社法第432条第2項が定める10年間は、会計帳簿の閉鎖時が起点です。契約書に書かれた日付だけで保存期限を判断するのは避けましょう。
例えば、契約がすでに終了していても、該当事業年度の税務上の保存期間が続いていれば廃棄できません。管理台帳には契約終了日とは別に、適用法令、保存期間、起算日、満了日を記録しましょう。複数の保存義務がある場合は、それぞれの期限を満たした日以降を廃棄候補とします。

保存期間後も契約書を残すべきケース

保存期間後も契約書を残すべきケース
法定保存期間を満了していても、契約内容を後から証明する必要が残っていれば、廃棄を見送るのが適切です。法律上の保存義務と、取引や業務で原本を使う必要性は分けて考えましょう。特に判断が分かれやすいのは、契約終了後の権利義務、紛争や訴訟、監査や調査への対応です。関係部署と相談しながら、処分して問題ないかを見極めましょう。

契約終了後も残る権利義務

契約期間が終了しても、秘密保持義務や保証、知的財産の利用条件、損害賠償に関する取り決めなどが続く場合があります。例えば「契約終了後3年間は秘密を保持する」と定めている契約なら、契約書を後から参照する場面が考えられます。覚書や追加合意書がある場合も、元の契約書と併せて検討してください。
終了後も効力が続く条項や変更契約との関係を踏まえ、保存の必要性を判断してください。解釈が難しい契約については、法務担当者や顧問弁護士への相談が適切です。

紛争・訴訟への対応が必要な契約

代金の支払いや納品物の品質、契約違反などをめぐって取引先と争いがある場合、契約書は当時の合意内容を示す資料になります。訴訟・調停が進行中のものだけでなく、相手方から請求や異議が出ている契約も、通常の廃棄対象から外しておきましょう。基本契約書を処分してしまうと、注文書やメールが残っていても、取引条件の説明が難しくなることがあります。
契約書をスキャンしてPDF化していても、署名・押印の真正性などが争われる際に紙の原本が必要になる場合があります。一方、税務上は電子帳簿保存法の要件を満たすスキャナ保存によって紙原本を廃棄できる場合もあるため、税務上の保存と訴訟への備えを分けて判断しましょう。

監査・調査での提出が必要な契約

税務調査や会計監査、内部監査では、取引の内容や経緯を示すために過去の契約書を求められることがあります。保存期間が満了していても、進行中の監査や調査で必要な資料は処分せずに残します。助成金・補助金に関連する契約書なども、交付条件に保存の定めがあれば対象から外してください。
廃棄前には経理部門や監査対応の担当者に、提出予定や未解決の照会がないかを問い合わせてください。追加保管を決めた書類は、理由と次回の見直し時期を残しておくと、必要以上に保管し続ける状態も防げます。調査終了後は、改めて廃棄の可否を判断しましょう。

契約書の廃棄対象を決める手順

保存期限と継続保管の必要性を調べたら、処分する契約書を社内で正式に決めます。担当者が書庫から取り出した書類をその場で廃棄すると、必要な契約書まで処分しかねません。誤廃棄を防ぐには、候補の一覧を作り、契約を所管する部署と責任者の判断を経ることが大切です。書類を回収ボックスへ入れる前に、対象と承認状況が分かる状態を整えておきましょう。

管理台帳と原本による廃棄候補の抽出

契約書管理台帳から保存期限を迎えた書類を抽出し、書庫に保管されている原本と照合します。契約先、契約書名、管理番号、保管場所を手掛かりに、台帳と現物が一致するかを調べてください。基本契約書と覚書が別の場所にある場合や、複数の原本がある場合は、関連書類の所在まで一覧に含めましょう。
照合した書類は「廃棄候補」「継続保管」「判断保留」に分け、一覧に理由を記入します。この段階では処分を実行せず、担当部署に承認を求める対象を確定します。台帳の記載に誤りがある、原本が見つからないといった不一致があれば、原因を調べてから手続きを進めましょう。

担当部署・責任者による廃棄承認

候補一覧ができたら、契約を所管する部署に回し、現在の取引状況を踏まえて廃棄の可否を判断してもらいます。重要な契約や判断の分かれる書類は、必要に応じて法務部門にも相談してください。そのうえで、社内規程で定めた責任者が廃棄対象と処理予定日を承認します。紙の承認書や社内システムの履歴など、後から経緯が分かる方法で記録を残しましょう。
一度投入すると書類を取り出せない機密文書回収ボックスもあるため、承認前の契約書を先に投入してはいけません。承認後に対象を追加する場合も、追加分について改めて判断を受けます。口頭の指示だけで処分せず、確定した一覧に沿って作業することが重要です。

紙の契約書を安全に廃棄する方法

処分する契約書が確定したら、取引条件や個人情報を第三者に読まれないよう、適切な方法で処理します。通常のごみ箱や古紙回収へそのまま出さず、社内で裁断する方法か、専門業者に機密処理を依頼する方法を検討しましょう。少量なら社内処理で対応できることもありますが、大量の契約書では作業時間も無視できません。書類の機密性や量に合わせて、処理方法を選ぶことが大切です。

社内シュレッダーによる裁断処理

社内シュレッダーは、少量の契約書を社内で処分したい場合に使える方法です。ただし、裁断片が大きい機種では文字が残ったり、断片から内容を推測されたりするおそれがあります。機密性の高い書類には十分に細かく裁断できる機器を選び、裁断くずの回収・保管方法にも配慮してください。
投入前には、使用する機種がホチキスやクリップ、厚い表紙などに対応しているかを調べましょう。対応していないものを入れると紙詰まりや故障の原因になります。処理量が多いときは、連続運転時間の制限や裁断くずの片付けなども考慮し、従業員の作業負担を見積もってください。社内シュレッダー運用の課題は、「社内シュレッダー運用の課題は?」で詳しく解説しています。

溶解処理・破砕処理の特徴

専門業者が行う機密処理には、紙を水中で繊維状にする溶解処理や、専用設備で細かく砕く破砕処理があります。専用箱を開けずに溶解する方式もあれば、工場で破砕した後に溶解し、紙資源として再生する方式もあります。同じ「機密文書処理」でも工程は異なるため、依頼前に処理方法と対象となる紙の種類を確認してください。

処理方法特徴利用に向いている場面
社内シュレッダー社内で裁断する。機器の管理と作業時間が必要少量の書類を都度処分する場合
溶解処理紙を繊維状にし、内容を読めない状態にする箱単位などでまとまった量を処分する場合
破砕処理専用設備で紙を細かく砕く。破砕後に再生処理する方式もある専門施設でまとめて機密処理したい場合

契約書の廃棄記録と証明書の残し方

契約書の廃棄記録と証明書の残し方
契約書を処分した後は、何を、誰の判断で、いつ廃棄したのか説明できる記録を残しておきましょう。廃棄した事実を示す記録は、契約内容を証明する原本の代わりにはなりませんが、誤廃棄や紛失との区別、社内監査への対応に役立ちます。自社で作成する廃棄台帳と、処理業者から受け取る証明書では役割が異なるため、必要な情報を分けて管理することが大切です。

廃棄台帳に記録する項目

廃棄台帳には、対象となった契約書を特定できる情報と、廃棄の判断から処理完了までの経緯を記録します。後日、担当者が代わっても処分の理由や承認者を追えるよう、契約書の管理番号と廃棄対象一覧を対応付けておきましょう。記録の様式は会社の文書管理規程に合わせて構いませんが、少なくとも対象、承認、実施結果を残しておくことが重要です。

区分主な記録項目
廃棄する書類契約書名、契約先、管理番号、保管箱番号、数量
廃棄の判断保存期限、廃棄理由、承認者、承認日
処理の実績処理日、処理方法、実施担当者、委託先

廃棄台帳には取引先名などの情報が含まれるため、閲覧できる担当者も適切に限定します。保管期間は社内規程や監査上の必要性に合わせて定め、処分済み契約書の情報を無制限に残さないようにしましょう。

廃棄証明書の受領と保管

外部業者へ廃棄を委託する場合は、処理後に廃棄証明書や機密抹消処理証明書を受け取れるかを事前に調べましょう。証明書に処理日、処理方式、処理事業者、対象の箱数・数量などが記載されていると、社内の廃棄実績と照合する際に役立ちます。ただし、証明書の名称や記載内容は事業者によって異なります。
また、証明書が箱単位で発行される場合、箱の中の契約書を1件ずつ特定できるとは限りません。契約書単位の履歴が必要なら、社内の対象一覧と箱番号、処理記録を対応付けて保管してください。一般の紙契約書の廃棄に証明書の発行が一律に義務付けられているわけではありませんが、個別の契約や監査基準で求められる場合には、その条件を満たす必要があります。Webで発行される証明書は、閲覧期限にも注意して保存しましょう。証明書の確認ポイントは、「機密文書の廃棄証明書とは?」でも解説しています。

契約書の廃棄を外部委託する場合

大量の契約書をまとめて処分したい場合や、日常的に機密文書が発生する企業では、専門業者への委託も検討してみましょう。ただし、料金だけで業者を決めるのは避けたいところです。廃棄予定の書類には取引条件や個人情報が含まれるため、回収した後の管理体制と利用条件の両方が重要になります。自社の廃棄量や拠点の状況に合うサービスを選べるよう、比較のポイントを押さえましょう。

回収・運搬・処理の安全管理体制

外部委託先は、回収時の受け渡し方法、運搬中の施錠・追跡体制、処理施設の入退室管理などを基準に選びます。機密文書が処理されるまでに、誰がどのように書類を扱うのかを把握できることが重要です。回収業者と処理業者が異なる場合は、再委託先や処理施設の管理状況も調べましょう。万が一の紛失や事故が起きた場合の連絡体制についても、契約前に取り決めておくと安心です。
個人データを含む契約書の処理を委託する場合には、委託元にも委託先を必要かつ適切に監督する責任があります。個人情報保護委員会のガイドラインを参考に、選定時の安全管理措置だけでなく、委託後の取扱状況を把握する方法も決めておきましょう。委託の流れや事前準備は、「機密文書の廃棄を委託するには?」も参考にしてください。

回収形態・料金・対応エリア

機密文書処理サービスには、段ボール箱に詰めて都度回収を依頼する方式と、社内に専用の回収ボックスを設置する方式があります。年に数回なら箱単位、日常的に廃棄するなら常設ボックスなど、発生頻度に合う方式を選びましょう。複数拠点から回収する場合は、対応エリアと拠点ごとの申込条件も重要です。
費用を比較する際は、月額料金や箱単価に加えて、初期費用、臨時回収費、最低利用期間なども見積もりに含めます。回収可能な箱のサイズや重量、投入できないものの種類も事前に調べてください。これらの条件によって、社内で必要となる箱詰めや分別の手間が変わります。

機密文書回収ボックス 保護くん(まもるくん)の活用

契約書を日常的に、または大量に処分する企業には、当社の機密文書回収ボックス 保護くんをご活用いただけます。施錠式の専用ボックスは一度投入すると取り出せない構造で、交換時もボックスごと回収します。回収から運搬、処理までを当社が再委託せずに一社で完結させるため、委託先の監督を一元化できます。
回収した書類は、GPSを搭載した自社専用車両で運搬し、厳しい入退室管理を行う自社の処理施設で破砕した後、紙資源としてリサイクルします。回収から処理完了までを追跡するシステムを備え、処理は3営業日以内に行います。自社で処理するため、処理日を明記した機密抹消処理証明書を処理完了後に発行します。
書庫の整理などで大量の契約書をまとめて処分する場合は、段ボールごと処分できるキャビネットタイプの回収ツールもご用意しています。なお、CD・DVD・USBメモリなどの記録媒体は、別の機密抹消サービスで処理できます。

契約書の廃棄に関するよくある質問

契約書の廃棄を進める際は、書類の付属品の扱いや、マイナンバーが記載された書類、電子データで保存している契約書の処分方法について迷うこともあるでしょう。本文で触れていない疑問を中心に、よくある3つの質問に回答します。

製本テープで袋とじされた分厚い契約書やホチキスやクリップがついたままの契約書でも廃棄できますか?

対応は、使用するシュレッダーや機密処理サービスによって異なります。外部のサービスでも、ホチキスのみ可とするもの、付属品の分別が必要なものなど条件はさまざまなため、依頼前に確認しましょう。
保護くんでは、製本された状態、ホチキスやクリップ、クリアファイル、バインダーが付いたままでも投入できます。大量の契約書を処分する際も、付属品を外す手間をかけずに作業を進められます。

マイナンバーが記載された書類はどう扱いますか?

個人番号(マイナンバー)が記載された書類は、通常の契約書より厳格な取扱いが必要です。個人情報保護委員会のガイドラインでは、所管法令で定められた保存期間を経過した個人番号は、できるだけ速やかに廃棄または削除することとされています。
廃棄・削除した場合は、その記録を保存することも求められます。保存期間後も長く残さないよう廃棄予定を管理し、復元できない方法で処理しましょう。

PDFなど電子データの契約書はどう削除すればよいですか?

電子契約書やスキャンしたPDFも、廃棄の判断は紙の契約書と同じです。法定保存期間や継続保管の必要性を確認し、承認を経てから削除します。電子取引で授受した契約書は、保存期間中は電子帳簿保存法に従ってデータのまま保存する必要があります。
削除する際は、共有フォルダやクラウド上のファイルだけでなく、バックアップや複製にデータが残っていないかも確かめましょう。削除した日、対象、承認者を記録しておけば、後から経緯を説明できます。

まとめ:契約書は保存期間と必要性を踏まえて廃棄

契約書を廃棄するときは、契約終了日だけで判断せず、適用される法定保存期間と起算日を調べることが重要です。期間が満了していても、契約終了後に続く義務や紛争、監査への対応が必要なら、保管を続けるべき場合があります。まずは廃棄してよい契約書を選び、必要な書類を誤って処分しない体制を整えましょう。
廃棄対象を確定したら、管理台帳と原本を照合し、担当部署と責任者の承認を得て処理します。少量なら社内シュレッダーも選択肢ですが、まとまった量の契約書は専門業者への委託も検討できます。処分後は廃棄台帳を更新し、必要に応じて処理証明書も受領して、後から廃棄の経緯を説明できる状態にしておきましょう。
当社の保護くんは、再委託せずに回収から自社施設での破砕処理、機密抹消処理証明書の発行まで一社で対応しています。契約書をはじめとする紙の機密文書の廃棄ルールや回収方法を見直したい企業の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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