2019年8月28日働き方改革

企業の持続的な成長に欠かせない従業員満足度とは?考え方や事例を紹介

従業員満足度
2019年4月1日に働き方改革が施行されて以降、業務効率化や生産性の向上を目的とした各企業の取り組みに注目が集まっています。しかし、「周りがやっているから」という理由で、明確な目的がないまま「働き方改革をすること」で満足してしまっている企業も多いのではないでしょうか。
働き方改革の本質は、ユニークな取り組みの導入ではなく、従業員の働きやすい環境や制度を整え、企業が継続的に成長をすることになります。そのための指標となるのが「従業員満足度」です。
今回は企業が働き方改革を進める上で欠かせない従業員満足度について、意識するメリットや抑えるべきポイント、企業の事例も含め紹介します。

従業員満足度(ES)とは

従業員満足度はES(Employee Satisfaction)とも呼ばれ、社内の人間関係・業務内容・オフィス環境などの幅広い面において、従業員が感じている満足度を表しています。一般的に、従業員満足度の高い企業は生産性が高く離職率は低いとされています。近年、少子高齢化による労働人口の減少から、人材不足と従業員一人ひとりの生産性向上が求められています。そのため、従業員が長く勤続し、働きがいの創出に直結する従業員満足度に注目が集まっているのです。

顧客満足度との関係

これまでは、従業員満足度と対比の概念である顧客満足度(CS: Consumer Satisfaction)を高めることが、企業の業績向上につながると考えられていました。しかし、顧客を第一に考え最適な提案を行うには、従業員の自社製品やサービスに対する理解が欠かせません。そのため従業員満足度を通じたモチベーションの向上が、従業員の自社理解を進め、組織のパフォーマンスを最大化し、結果的に顧客満足度につながる、という考え方が一般的になっています。

従業員満足度を高めるメリット

従業員満足度のメリット
従業員満足度の向上は、企業にとって多くのメリットがあります。主に「生産性」「採用力」「離職率」の視点で解説します。

生産性と業績の向上

従業員満足度が高くなれば、モチベーションが向上し、従業員に主体性や積極性が生まれます。業務や組織の目標達成に向けた自発的な姿勢が、生産性の向上につながるのです。企業への信頼が従業員の意欲を高め、従業員自らが顧客へのサービス向上を考え行動するようになります。そのような意欲・意識が全社的に浸透すれば、組織内コミュニケーションの活性化が図れ、新規事業の提案や企業課題の解決など、業績の向上が期待できるのです。

働きがいと採用力の向上

多様な働き方やワークライフバランスを充実させ、心身ともにリフレッシュした健康的な職場環境が整えば、仕事へのやりがいと働きがいが生まれます。また今後の企業を支える「ミレニアル世代」や「ゆとり世代」は、企業に対して給与や地位よりも「働きやすさ」を求める傾向にあるため、働きがいの創出は採用力の拡大につながります。

離職率の低下と定着率の向上

従業員の主な離職原因は、企業に対する不満です。「休みが取れない」「福利厚生がない」など、企業へのストレスや仕事への疲労は、従業員のモチベーションを下げます。離職率が高ければ、その分採用コストも高くなってしまい、教育や研修にかかる時間も多くなってしまうのです。従業員の不満を解消するための、ワークライフバランスや給与・福利厚生、社風などの課題に対する改善が、結果的に従業員満足度を高めます。つまり、従業員満足度を高めることが、離職率を低下させ、定着率の増加に直結するのです。

従業員満足度を向上させるポイント

従業員満足度を高めるポイント
では具体的に、従業員満足度を向上させるにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは4つのポイントを紹介します。

ビジョンや理念への共感

企業にとってのビジョンや理念は、働く上での方向性や目標・目的を意味します。自分たちの仕事が社会に対してどのように貢献しているのか、組織全体が一丸となったビジョンや理念の意識が「働きがい」の創出につながるのです。そのため、企業は自社のビジョンや理念を従業員に発信・浸透させ、従業員の理解を得ることで、より強固な組織構築が可能になります。

充実したマネジメント

従業員満足度に直接関係するのが上司からのマネジメントです。自身の業務に対する目標や課題を上司がしっかり把握し、目標達成や課題解決へと導くことで、従業員のモチベーション向上につながります。定期的なコミュニケーションやフィードバックから、上司との信頼関係を構築し、従業員満足度の向上を目指しましょう。

社会への参画度

社内での自分の成果や成長が実感できれば、モチベーションの向上につながります。中には総務や人事などの管理部門・間接部門といった達成感が得られにくい職種もあるため、経営層からの明確な目標・評価制度の設定が重要です。従業員の成果を全社的に共有することも、互いへの意識関心や従業員満足度を高める要因となります。

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快適な風土、働きやすい職場環境の構築

テレワークやフレックスタイムなど、多様な働き方の実現に向けた取り組みはさまざまです。IT技術の進歩により、技術面での業務効率化や、働き方改革を助ける施策の実現は進みました。ただ、従業員満足度を高めるためには、対人コミュニケーションによる人間関係構築といった定性面も重要になってきます。そのため職場環境の改善を行う際には、従業員同士の柔軟なコミュニケーションが可能なフリーアドレスの導入や、文化・風土の構築を心がけましょう。

従業員満足度向上を実現している企業事例

従業員満足度 事例
ここでは、実際に従業員満足度の向上を目的とした取り組みを行っている企業の事例を紹介します。

「日本一楽しいスーパー」佐竹食品グループ

リンクアンドモチベーション株式会社が実施している「ベストモチベーションカンパニーアワード2019」にて、昨年に続き1位を受賞した佐竹食品グループ。2年に1度、全店舗を休業にして全従業員が参加する「ありがとう総会」では、企業理念の共有と従業員同士の積極的な交流を実現しています。また年に2回、モチベーションの高さによって部門・店舗を表彰する「ALLA AWARD」は、企業の成長と強固な組織作りにつながっているようです。

「高め合う文化」株式会社コンカー

株式会社働きがいのある会社研究所が実施した「働きがいのある会社」ランキングの中規模部門(従業員100-999)にて、1位を受賞した株式会社コンカー。「高め合う文化」という企業カルチャーをもとに、従業員同士がフィードバックし合う機会を定期的に設定。在宅勤務や育児時短勤務、ジェンダーフリー採用など、多様な働き方に対応した施策を積極的に導入しています。役職や部署を超えた交流を目的に、社内環境の改善・構築に取り組んでいます。

従業員満足度の向上が働き方改革を進める

持続性のある働き方改革には、従業員のモチベーション、働きがいを創出する従業員満足度の向上が欠かせません。業務効率化や生産性の向上が目的の取り組みや制度を導入しても、思うような成果がでていない企業は、今回紹介した従業員満足度を高めるポイントを意識してみてください。従業員満足度が高まれば、必然的に企業の業績も伸びるでしょう。

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