法人スマホを安全に廃棄処分するには?注意点やおすすめの方法を解説

企業が使用したスマートフォンや携帯電話は、業務データや個人情報などの機密情報が詰まった重要な機器です。パソコン同様、法人スマホの処分方法を誤ると、情報漏洩やコンプライアンス違反といった重大なリスクにつながる恐れがあります。
特に、大量処分や機種変更に伴う一括廃棄の際は、信頼できる方法・業者の選定が重要です。
本記事では、法人向けスマホ・携帯電話の安全かつ効率的な処分方法や注意点、おすすめの処分サービスをわかりやすく解説します。
法人スマホを処分する際の注意点

社用スマートフォンを処分する際には、個人利用とは異なり、業務データの取り扱いや法令遵守、環境への配慮、社内規定への対応といった高度な管理体制が求められます。情報漏洩やコンプライアンス違反といったリスクを回避するためにも、慎重な対応が必要です。
スマホは小型家電リサイクル法の対象
法人で使用されたスマホは、2013年4月から施行された「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」の対象品目です。この法律は、使用済み小型電子機器に利用されている金属等廃棄物の適正な処理と再資源化の促進を目的としています。対象となる品目は、パソコン本体、携帯電話、ゲーム機、デジタルカメラ、DVDプレイヤー、電子レンジなど約400品目あり、家庭・法人のどちらも対象です。
ただし、この法律は努力義務であるため、企業は不要になった小型家電は「廃棄物処理法」に従い産業廃棄物として処分することも可能です。
しかし、最近ではSDGsやサステナビリティの観点から、再資源化やリユースに取り組む企業も増えています。スマホに含まれるレアメタルや貴重な素材の有効活用のためにも、信頼できるリサイクルルートを選ぶことが求められています。
情報漏洩
社用スマホには、社員の個人情報や社外秘の業務データ、取引先の情報など、多くの機密情報が保存されています。適切な手順を踏まずに廃棄した場合、情報漏洩による損害賠償や社会的信用の失墜といった深刻なリスクにつながる恐れがあります。
特に、近年は内部不正や中古端末からの情報流出も問題視されており、物理的な破壊やデータ消去証明の取得など、専門業者による安全な処分プロセスが重要です。
処分前に初期化をする
処分を業者に委託する場合でも、最低限のセキュリティ対策として、社内での初期化(工場出荷状態へのリセット)は必ず実施しましょう。これにより、端末内に残された個人アカウント情報や業務データの漏洩リスクを軽減できます。
なお、端末によっては「初期化だけでは完全にデータが消去されない」ケースもあるため、専門業者によるデータ完全消去や破壊処理を依頼するのが望ましいです。消去証明書を発行してくれる業者であれば、社内報告や監査対応もスムーズに進みます。
法人携帯を処分する方法

法人のスマホや携帯電話を安全・適正に処分する方法は複数あります。ここでは、主な5つの方法を紹介します。それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、自社の目的や処分量に応じて適切な手段を選びましょう。
廃棄・処分サービス
法人向けにスマホやパソコンの廃棄処分を請け負っているIT資産処分(ITAD)業者を利用する方法です。
これらの業者は、データ消去・物理破壊・回収・リサイクル証明書の発行まで一括対応してくれるため、セキュリティ面やコンプライアンス上も安心です。
大量処分や拠点が複数ある企業にも対応できる業者を選べば、処分の手間やコストも最小限に抑えられます。
自治体
自治体によっては、小型家電リサイクル法に基づき、法人からの回収にも応じているケースがあります。ただし、基本的には家庭向けが中心であり、法人対応していない自治体も多いため、事前に問い合わせが必要です。
また、情報漏洩対策や証明書発行など、法人特有のニーズには対応していないことがほとんどです。
家電量販店
一部の家電量販店では、使用済みスマホの店頭回収を行っています。
ただし、これは基本的に個人向けのサービスであり、法人名義のスマホや大量処分には対応していない店舗も多いため、利用前に確認が必要です。
なお、家電量販店での回収は、データ消去の有無や処分後のトレーサビリティ(追跡可能性)に関する情報が提供されない場合が多く、「誰が・いつ・どのように処分したのか」が証明できません。法人にとっては、情報漏洩リスクや社内監査・外部監査への対応が求められるため、こうした不透明な処分方法は適切とはいえないでしょう。
携帯キャリア
主要な携帯キャリアでは、不要になったスマホの回収・リサイクルを行っています。
キャリアショップに端末を持ち込むことで、無料で引き取ってもらえるケースもあり、コストを抑えたい企業には一定のメリットがあります。
ただし、こちらも個人向けが中心であり、法人向けには対応外の場合もあります。法人契約の場合は、契約時の書類に記載されている担当部署または法人窓口に問い合わせることで、対応可否や手続き方法を確認できます。担当者が不明な場合は、キャリア公式サイトの法人向け問い合わせフォームやチャット窓口から相談できます。
リサイクル業者・買取業者
再利用可能なスマホ端末は、中古買取業者やリユース専門業者に売却・委託することも可能です。機種や状態によっては、一定のリターンが期待でき、コスト削減にもつながります。
この場合も、データ消去や証明書の有無を確認し、企業の情報資産保護が担保される業者を選ぶことが重要です。
法人スマホを処分する際のポイント

法人スマホの処分では、「処理業者の選定」「情報漏洩の防止」「環境への配慮」の3点を押さえることが重要です。
以下に、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
認定事業者
法人スマホの処分を業者に委託する際は、まず依頼先が環境省によって認定された「認定事業者」であるかどうかを確認することが重要です。認定事業者は、小型家電リサイクル法に基づき、回収からリサイクルまでの処理を適正に行うことが求められており、安全性と信頼性の面でも安心できます。
処分の流れとしては、業者に見積もりを依頼し、委託契約を結んだうえで、スマホを発送または回収してもらい、処理を行ってもらうのが一般的です。この際、産業廃棄物として扱われる場合には「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」の交付が必要になります。マニフェストは、処理の流れを記録・管理するための書類で、不法投棄などを防ぐ目的で旧厚生省(現環境省)によって定められた制度です。
処分が完了すると、業者から「廃棄証明書」が発行されます。これにより、スマートフォンが適切に処理されたことを社内で証明でき、コンプライアンスや監査対応にも役立ちます。契約書、マニフェスト、廃棄証明書の3つを適切に保管することで、法人としての責任を果たすことができるのです。
セキュリティ面
スマホは特に個人情報の宝庫です。業者選びでは、データを完全に消去できる体制が整っているかどうか、また端末の取り扱いが厳重なセキュリティ下で行われているかといった点を確認しましょう。
特に、復元不可能なレベルまでデータ消去を行っているかどうかは重要な判断材料です。加えて、作業場に監視カメラや入退室管理が導入されているなど、物理的なセキュリティ対策が講じられている業者であれば、より安心です。また、プライバシーマークやISMS(ISO27001)といった第三者機関による認証を取得しているかどうかも、信頼性を測る一つの目安になります。
スマホを業者に渡す前に、社内で初期化(工場出荷状態へのリセット)を行うことも忘れずに行いましょう。たとえ業者がデータ消去を行う場合であっても、事前に社内で初期化しておくことで、情報漏洩のリスクを二重に防ぐことができます。セキュリティ対策は、企業の信用に関わる極めて重要な要素です。
リユース・リサイクル・環境保護
スマートフォンをただ廃棄するだけでなく、再利用や再資源化の観点を持つことも、現代の企業に求められる姿勢です。まだ使用可能な状態のスマートフォンであれば、社内の他部署や別拠点で再利用することによって、調達コストの削減や資源の有効活用につながります。特に入れ替えサイクルの早い企業では、こうした社内リユースによって環境負荷を大きく軽減できるケースもあります。
一方、再利用が難しい端末でも、適切にリサイクルを行うことで、端末に含まれるリチウムや金属などの貴重な資源を再生可能です。小型家電リサイクル法の対象であるスマホは、都市鉱山とも呼ばれるほど多くの金属資源を含んでおり、廃棄せずに資源として回収することは、社会全体の持続可能性にも貢献します。
また、SDGsやESGに取り組んでいる企業であれば、リユース・リサイクルは環境保護の実践として社外へのアピールにもなります。こうした姿勢は、投資家や取引先からの評価にもつながり、結果として企業価値を高める要素にもなり得ます。
法人向けのおすすめのスマホ処分・廃棄サービス事業者

ここでは、法人におすすめのスマホ処分・廃棄サービス事業者を4社ご紹介します。いずれもセキュリティ対策やリユース・リサイクルに積極的に取り組んでおり、安心して依頼できる信頼性の高いサービスです。自社のニーズに合った事業者を比較・検討する際の参考にしてみてください。
公式URL:https://www.mamoru-kun.com/page/pc-disposal/
高度な情報セキュリティと環境配慮を両立した、法人向けのスマホやPCの廃棄サービスを展開しています。物理破壊と磁気消去を組み合わせた厳格なデータ抹消処理や、現金輸送レベルのセキュリティ輸送など、情報漏洩対策に特化した体制が整っており、大手企業や官公庁との取引実績も豊富です。
安全・確実なデータ抹消処理
日本パープルでは、情報保護を最優先に掲げ、専門教育を受けたスタッフによる機密機器の回収を実施しています。輸送には現金輸送と同等レベルのセキュリティ体制を採用しています。データ消去には、米国国防総省のセキュリティ基準を満たす装置を使用し、磁気によるデータ破壊と物理的な破砕を組み合わせた二重の抹消プロセスを行います。これにより、万一の情報漏洩リスクにも万全の備えがされています。
証明書の発行
処理後は、スマホやHDDなど対象機器のシリアル番号を含む内容証明書を発行しています。これにより、廃棄プロセスの透明性が確保され、監査対応や内部報告にも活用できます。証明書の発行が標準対応となっている点は、法人にとって安心できるポイントです。
資源リサイクル
使用済み端末から回収される金・銀・コバルトなどの有用資源は、部品単位で分解・回収され、再資源化のルートへと送られます。単なる廃棄処理にとどまらず、循環型社会への貢献を意識したリサイクル体制も日本パープルの大きな強みです。
inversenet
公式URL:https://www.inversenet.co.jpbuy_b/
スマホやパソコンなどのIT機器を対象に、買取からデータ消去、リユース・リサイクルまでを自社で一貫対応する処分サービスを展開しています。IISMS認証取得済みで、国際基準に準拠したセキュリティ管理が強みです。
買取可能な商品は高額で買取
Inversenetでは、状態の良い法人スマホやPCを高価買取対象として取り扱っています。再販価値がある機器は積極的にリユースへ回されるため、処理費用の圧縮につながるケースもあります。単なる廃棄ではなく、「資産活用」という視点でも評価されるサービスです。
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を認証取得
国際的な情報保護の基準であるISMS(ISO/IEC 27001)を取得しており、情報管理体制の厳格さは業界でも高水準です。データ消去はこの規格に準拠して実施されており、企業の内部統制やコンプライアンス強化にもつながります。
自社工場で適正処理
回収からデータ消去、リユース・リサイクルまでの処理は、自社工場で一貫して対応しています。外部委託を排除することで、情報漏洩リスクや違法な海外流出などを根本から防ぎ、処理の透明性と責任の所在を明確にしています。
リネット
公式URL:https://www.renet.jp/data/mobile/
国の認定を受けた小型家電リサイクル業者として、法人向けに高セキュリティなデータ消去・リサイクル処理サービスを展開しています。世界的に評価される技術を活用し、物理的破壊による安全性も確保しています。
100か国以上で政府機関・大企業が使用する完全消去ソフト「blancco」使用
リネットでは、世界中の公的機関や大手企業が信頼を置く完全データ消去ソフト「blancco」を使用しています。スマホの内蔵メモリ(ユーザー領域)にある全データを上書きすることで、復元を不可能にします。blanccoは世界15以上の評価機関で認証されており、法人スマホの機密保護にも最適です。
専用機で情報機器を細かく粉砕し物理的に破壊
データ消去ができない端末に対しては、欧州保安破砕基準のBレベル以上を満たす強力な二重破砕システムを搭載した業務用専用機を用いて物理的に粉砕処理します。端末は原形をとどめないほど細かくされ、情報漏洩の懸念は完全に排除されます。粉砕作業の様子は動画で記録され、必要に応じて証拠として提出可能です。
データ消去完了後に、消去証明書を発行
処理が完了した端末には、回収日や作業日時、対象機器の詳細を記載した消去証明書が発行されます。証明書は法務・会計・総務部門でも利用しやすく、廃棄後の情報管理、社内監査・法令対応にも活用できます。
TD mobile
公式URL:https://biz.tdmobile.co.jp/disposal
法人向けに無料のスマホ・タブレット回収サービスを提供しています。端末の査定・売却も可能で、コストをかけずにセキュリティと環境配慮を実現したい企業におすすめです。
廃棄費用は0円
TDモバイルでは、スマホ・タブレットなどの法人端末を無料で回収・処分するサービスを提供しています。さらに、端末の状態によっては買取査定が行われ、売却によって実質的に収益化も可能です。コストゼロで安全な処分が行える点で、多くの法人にとって魅力的な選択肢です。
信頼できる業者によるソフト面での処理、もしくは物理的な破壊により完全に削除
データの削除については、信頼できる外部業者との連携による専用ソフトウェアでの消去または物理破壊のいずれかを選択できる体制を整備しています。法人側のセキュリティポリシーや機器の状態に応じて、最適な消去方法を選択可能です。完了後は、データ削除証明書やカーボンオフセット証明書の発行にも対応しています。
素材レベルで再資源化
回収した端末は、そのまま廃棄されるのではなく、使用されているプラスチックや金属素材を分解・分別した上で再資源化を徹底しています。資源循環型の処理体制を採用することで、地球環境への配慮と企業のSDGsへの取り組み支援を両立しています。
スマホを処分する際はパソコンと同等レベルの注意が必要
小さいながらもスマホは、社内外の連絡先や業務データ、ログイン情報など、パソコンと同等、あるいはそれ以上の機密情報を含んでいることも少なくありません。そのため、処分時には情報漏洩リスクを十分に認識し、適切な方法で廃棄・リサイクルすることが不可欠です。
また、近年ではSDGsやESGの観点からも、リユース・リサイクルに積極的に取り組む姿勢が企業に求められています。ただ単に廃棄するのではなく、環境負荷を抑えた処理や再資源化への配慮も重要なポイントとなります。
このような背景を踏まえると、セキュリティ面の体制が整い、リサイクルや証明書発行にも対応している信頼できる業者を選ぶことが、法人にとっての最適なスマホ処分の第一歩と言えるでしょう。
本記事で紹介した各サービスは、いずれもそうしたニーズに応える体制を備えた事業者です。コストや処理方法、証明書の有無などを比較し、自社の運用に最適なサービスを選ぶ参考にしてみてください。




















