小型家電リサイクル法とは?法人の処理・対処方法・対象品目を解説

パソコン・デジタルカメラ・ゲーム機・スマートフォンなどの使用済み小型電子機器の再資源化を目的として施行された「小型家電リサイクル法」。施行から約10年が経過し、一般家庭向けには市町村の回収ボックス設置や家電量販店での回収サービスなど、リサイクルの仕組みが広く浸透しています。
一方で、法人が排出する小型家電については「産業廃棄物に該当するのか」「小型家電リサイクル法の対象になるのか」「マニフェストは必要なのか」など、判断に迷うケースも少なくありません。特に、社用スマホやパソコンの入れ替え時には、情報漏洩対策や法令遵守を含めた適切な処理が求められます。
本記事では、小型家電リサイクル法の基本を整理したうえで、法人が使用済み小型家電を処理する際の正しい対応方法、産業廃棄物との関係、マニフェストの要否、対象となる品目について分かりやすく解説します。小型家電リサイクル法への対応に不安を感じている法人担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
小型家電リサイクル法とは?法人にも関係する法律の基本
小型家電リサイクル法とは、使用済みとなった小型電子機器を適切に回収・再資源化し、限りある資源の有効活用と廃棄物削減を目的とした法律です。正式名称は「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」といい、2013年4月に施行されました。
一般家庭向けの制度というイメージを持たれがちですが、法人が排出する小型家電も同法の対象となる点が重要なポイントです。企業や事業所から排出される小型家電は、廃棄物処理法との関係も踏まえて適切に処理する必要があり、誤った対応は法令違反につながる可能性もあります。ここではまず、小型家電リサイクル法の基本的な考え方と、法人に関係するポイントを整理します。
小型家電リサイクル法の目的と施行背景
小型家電リサイクル法は、パソコンやスマートフォンなどの小型家電に含まれる金・銀・銅・レアメタルといった有用な金属資源を回収・再利用することを目的として制定されました。これらの資源は国内での調達が難しく、使用済み小型家電を「都市鉱山」として活用することが求められてきました。
同法の施行以前は、多くの小型家電が不燃ごみや粗大ごみとして廃棄され、資源として十分に活用されていなかったという課題がありました。こうした背景から、国・自治体・事業者が連携し、使用済み小型家電の回収と再資源化を促進する仕組みとして小型家電リサイクル法が整備されています。
対象となる小型家電の品目一覧
小型家電リサイクル法の対象となるのは、家電リサイクル法で定められている4品目(テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)以外の小型の電子機器等です。
対象品目は大きく28項目に分類されており、代表的なものには以下が含まれます。
- ・パソコン、タブレット端末
- ・スマートフォン、携帯電話
- ・デジタルカメラ、ビデオカメラ
- ・プリンター、ファクシミリ装置
- ・ディスプレイ、電子式卓上計算機
- ・電子レンジ、炊飯器などの小型家電
- ・蛍光灯器具 など
なお、中古品として再使用(リユース)できる状態のものは対象外であり、「使用済み」であることが前提となります。業務で使用していた機器が不要になり、廃棄する場合は、小型家電リサイクル法の対象に該当するかを確認することが重要です。
法人が排出する小型家電も対象になる理由
小型家電リサイクル法は、排出者を「一般家庭」に限定しているわけではありません。そのため、法人が事業活動に伴って排出する小型家電も、対象品目であれば同法の対象となります。
ただし、法人の場合は処理方法に注意が必要です。一般家庭のように市町村が設置する小型家電回収ボックスを利用することはできず、排出される小型家電は「産業廃棄物」として扱われるのが原則です。そのため、廃棄物処理法に基づき、許可を受けた業者へ処理を委託し、「委託契約書」や「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」の交付が求められます。
また、小型家電リサイクル法第7条では、「使用済小型電子機器等は、再資源化を適正に実施し得る者に引き渡すよう努めなければならない」と事業者の責務が規定されています。つまり、法人が小型家電を産業廃棄物として処理する場合であっても、単なる廃棄ではなく、再資源化を前提とした適正処理が求められているのです。
(※参考:環境省「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」)
法人が小型家電を処理する際に押さえるべきポイント
法人が排出する小型家電は、小型家電リサイクル法だけでなく、廃棄物処理法の規制も受ける点が大きな特徴です。家庭と同じ感覚で処理してしまうと、法令違反となるおそれがあるため、法人特有のルールや実務上の注意点を正しく理解することが不可欠です。ここでは、法人が小型家電を処理する際に必ず押さえておきたい基本ポイントを整理します。
家庭と法人で処理方法が異なる点
小型家電リサイクル法は、家庭から排出される使用済み小型家電の回収・再資源化を主な対象として制度設計されています。そのため、一般家庭の場合は、市町村が実施する分別回収や回収ボックスを利用することで、比較的簡単に処理が可能です。
一方で、法人が事業活動に伴って排出する小型家電は「産業廃棄物」として扱われるのが原則です。たとえ家庭用と同じ種類のパソコンやスマートフォンであっても、排出主体が法人である以上、処理方法は大きく異なります。この違いを理解せずに処分すると、廃棄物処理法違反に該当する可能性があります。
法人は小型家電回収ボックスを利用できない
市町村や公共施設、家電量販店などに設置されている「小型家電回収ボックス」は、一般家庭から排出される使用済み小型家電を対象とした仕組みです。そのため、法人がこれらの回収ボックスを利用して小型家電を処分することはできません。
例えば、社用スマートフォンや業務用パソコン、プリンターなどを回収ボックスへ投入した場合、排出ルール違反となる可能性があります。法人の場合は、小型家電リサイクル法の趣旨を踏まえつつ、専門の回収・処理業者へ依頼することが必要です。情報漏洩防止やデータ消去の観点からも、法人向けの回収サービスを利用することが望ましいといえます。
廃棄物処理法に基づく基本的な対応(委託契約・マニフェスト)
法人が小型家電を処理する際は、小型家電リサイクル法に加え、廃棄物処理法に基づいた対応が必須となります。具体的には、以下のような手続きが求められます。
- ・産業廃棄物の収集運搬・処分について、許可を受けた業者と委託契約書を締結する
- ・処理を委託する際に、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付・管理する
小型家電リサイクル法では再資源化が求められているため、単に「廃棄する」のではなく、適正なリサイクルが行われる体制であるかを排出事業者が確認する責任があります。マニフェストは、処理が適正に完了したことを確認する重要な書類であり、法人にとって欠かせない管理項目です。
法人のスマホ・タブレット回収で特に注意すべき理由
スマートフォンやタブレットは、小型家電リサイクル法の対象となる代表的な機器であり、法人においても入れ替えや退職時などで定期的に排出されます。しかし、これらの機器は他の小型家電と比べて情報セキュリティ面のリスクが極めて高いという特徴があります。法人がスマホ・タブレットを回収・廃棄する際は、法令対応だけでなく、情報管理の観点からも慎重な対応が求められます。
スマホ・タブレットは情報漏洩リスクが高い機器
法人が使用するスマホやタブレットには、以下のような情報が保存されているケースが少なくありません。
- ・取引先情報や顧客データ
- ・社内メール、チャット履歴
- ・業務アプリのログイン情報
- ・写真・資料・位置情報 など
これらの情報が第三者に流出した場合、企業の信用失墜や損害賠償につながる可能性もあります。そのため、法人のスマホ回収は単なる「小型家電の廃棄」ではなく、情報漏洩対策を前提とした重要な管理業務として位置づける必要があります。
初期化だけでは不十分なケースとは
スマホやタブレットの処理にあたって、「初期化すれば問題ない」と考えられがちですが、初期化だけではデータが完全に消去されないケースも存在します。専門的な知識やツールを用いれば、初期化後の端末からデータを復元できる可能性があるためです。
特に法人の場合、OSや機種の違い、MDM(モバイルデバイス管理)の有無などによって適切な消去方法が異なります。そのため、データ消去証明書の発行や物理破壊に対応した専門業者へ回収を委託することが安全策といえます。小型家電リサイクル法への対応と同時に、情報セキュリティ対策を両立させることが重要です。
台数増加による管理・処理負担の問題
近年は、テレワークや業務のデジタル化により、1社あたりのスマホ・タブレット保有台数が増加傾向にあります。その結果、機種変更や契約終了時にまとめて廃棄・回収が必要となり、管理や処理の負担が大きくなっています。
台数が増えるほど、回収漏れや紛失、データ消去状況の管理不足、マニフェストや委託契約の管理負担といったリスクも高まります。
法人がスマホ・タブレットを適正に回収するためには、個別対応ではなく、回収からデータ消去、リサイクルまでを一括で任せられる体制を構築することが、実務面・法令面の双方で有効です。
法人が小型家電を委託できる主な回収・処理先
法人が使用済み小型家電を排出する場合、自社で処理することはできず、法令に基づき適切な回収・処理先へ委託する必要があります。
小型家電リサイクル法および廃棄物処理法の観点から、主な委託先は大きく分けて以下の2種類があり、さらに認定事業者が再委託するケースも存在します。それぞれの特徴と注意点を理解しておくことが重要です。
産業廃棄物許可業者へ依頼する場合
産業廃棄物許可業者とは、産業廃棄物の収集・運搬・処分を業として行い、廃棄物処理法に基づき都道府県知事の許可を受けた事業者のことです。法人が排出する小型家電は原則として産業廃棄物に該当するため、このような産業廃棄物許可業者へ委託する方法が一般的です。
この場合、排出事業者である法人は、産業廃棄物処理に関する委託契約書の締結と産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付・管理を行う必要があります。
他の産業廃棄物とまとめて処理できる点はメリットですが、小型家電リサイクル法の趣旨である再資源化が適正に行われているかを確認する努力義務がある点には注意が必要です。
小型家電リサイクル法の認定事業者とは
小型家電リサイクル法に基づき、環境大臣が認定した事業者のことを「認定事業者」といいます。認定事業者は、使用済み小型家電の回収から再資源化までを一貫して行う体制を整えており、情報漏洩対策や適正なリサイクルに配慮している点が特徴です。
2025年9月時点では、全国で60社以上の事業者が認定を受けており、認定事業者のみが「小型家電認定事業者マーク」を使用することができます。
(※参考:環境省「認定事業者および連絡先一覧」)
法人が認定事業者へ委託する場合であっても、廃棄物処理法は適用されるため、委託契約書や産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付は原則として必要となります。特に、スマホやパソコンなど情報機器を多く排出する法人にとっては、法令対応と情報セキュリティの両立がしやすい委託先といえるでしょう。
認定事業者が再委託するケースの注意点
小型家電リサイクル法の認定事業者が、回収や処理の一部を別の業者へ再委託(下請)するケースもあります。この場合、排出事業者である法人が再委託先と直接契約することはありませんが、注意すべき点があります。
具体的には、委託契約書・マニフェストに加え、再委託に関する書類の整備や再委託先が適正な許可・体制を有しているかの確認が必要となります。
小型家電リサイクル法では、最終的に適正な再資源化が行われることが重要視されており、その責任は排出事業者にも及ぶためです。認定事業者へ任せきりにせず、処理フロー全体を把握しておくことが、法令遵守の観点からも重要です。
法人の小型家電処理は認定事業者を選ぶべき理由
法人が小型家電を処理する際、産業廃棄物許可業者と小型家電リサイクル法の認定事業者のいずれかを選択することになります。どちらも法令上は委託可能ですが、再資源化の確実性や情報セキュリティ、社内コンプライアンスの観点から見ると、認定事業者を選ぶメリットは大きいといえます。ここでは、法人が認定事業者を選ぶべき主な理由を整理します。
適正な再資源化につながる
小型家電リサイクル法では、使用済み小型家電を単に廃棄するのではなく、有用金属などを回収し、適正に再資源化することが求められています。認定事業者は、この法律の趣旨に基づき、回収から中間処理、再資源化までの体制が整っていることを前提に、環境大臣の認定を受けています。
そのため、法人が認定事業者へ委託することで、小型家電リサイクル法に沿った適正な再資源化が行われる可能性が高くなり、排出事業者としての責務を果たしやすくなります。再資源化状況の説明を求められた場合でも、認定事業者であれば根拠を示しやすい点も利点です。
情報セキュリティ対策が講じられている
スマホやタブレット、パソコンなどの小型家電には、業務データや個人情報が含まれていることが多く、情報漏洩対策は法人にとって重要な課題です。認定事業者は、情報機器を扱うことを前提に、データ消去や物理破壊などの情報セキュリティ対策を講じた回収・処理体制を整えています。
初期化だけに頼らず、専門的な消去方法やデータ消去証明書の発行に対応している事業者も多いため、万が一のトラブルを未然に防ぐことができます。小型家電リサイクル法への対応と同時に、情報管理リスクを低減できる点は、認定事業者を選ぶ大きなメリットです。
社内コンプライアンス・監査対応の観点
近年、企業においてはコンプライアンス意識の高まりにより、廃棄物処理やリサイクルに関する社内監査・外部監査が実施されるケースも増えています。その際、小型家電の処理について「どの法律に基づき、どの事業者へ委託しているのか」を説明できる体制が求められます。
認定事業者は、国の認定を受けているという客観的な根拠があるため、委託先選定の妥当性
や再資源化への配慮、マニフェスト管理を含めた法令遵守状況を説明しやすく、社内外への説明責任を果たしやすいという利点があります。小型家電を「産業廃棄物として適正に処理している」だけでなく、「小型家電リサイクル法の趣旨にも配慮している」点を示せることは、企業評価の面でもプラスに働きます。
法人のスマホ回収・小型家電の一括処理におすすめの方法
法人において、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの小型家電は、業務に欠かせない一方で、廃棄・入れ替え時の管理や処理が大きな負担になりやすい機器でもあります。小型家電リサイクル法や廃棄物処理法への対応、情報漏洩対策を個別に行うのが難しい場合は、一括で任せられる外部サービスの活用も有効な選択肢です。
社内に分散したスマホ・PCをまとめて処理する課題
近年、テレワークや業務のデジタル化により、社用スマホやノートパソコン、タブレットの利用はますます増えています。その結果、以下のような課題を抱える法人も少なくありません。
- ・部署ごと・拠点ごとに端末が分散している
- ・機種・OS・利用状況がバラバラで管理が煩雑
- ・SIMカードの有無やシリアル番号の把握ができていない
- ・小型家電リサイクル法やマニフェスト対応まで手が回らない
スマートフォンやタブレットは重要な企業情報を含む機密機器であるため、パソコン同様、適切な回収・処理を行わなければ情報漏洩やコンプライアンス違反につながるリスクがあります。こうした課題を解決する方法として、法人向けの機密処理サービスを活用するケースが増えています。
日本パープルの機密処理サービスの特徴
日本パープルの機密処理サービスは、パソコンをはじめ、スマートフォンやタブレットなどの小型家電を対象に、回収から機密処理、再資源化までを一括で対応できる法人向けサービスです。国内のサービス業として初めて国際環境基準「ISO14001」の認定を取得しており、情報保護と環境保全の両立に配慮した体制が特徴です。
スマートフォン・タブレットの処理においても、以下のような点で安心して利用できます。
- ・全端末のSIMカード有無やシリアルナンバーを確認し、リスト化
- ・端末本体を完全破砕処理することで、情報漏洩リスクを限りなくゼロに
- ・処理後には、シリアルナンバーを記載した機密処理証明書を発行
- ・回収した機器から金属原料を取り出し、再資源化を実施
- ・スマホ・タブレットだけでなく、パソコンなど他の小型家電もまとめて依頼可能
小型家電リサイクル法の趣旨である再資源化への配慮に加え、法人が重視すべき情報セキュリティや管理負担の軽減にも対応できる点は、スマホ回収や小型家電の一括処理を検討する企業にとって非常におすすめです。
【お客様導入事例】パソコン廃棄の情報漏えいリスクを「機密データ抹消」で解消!
以前はデータ消去サービス付きの買い取りを利用していたものの、再販後の追跡が難しく、情報漏えいリスクの観点で不安が残っていた企業様。
導入前の課題(パソコン廃棄とデータ消去)
データ消去サービス付きの買い取りを活用していた一方で、再販された機器の「その後」を追跡できず、万一の情報漏えいにつながらないかが課題。
機密データ抹消サービス導入後の変化
ハードディスクなどの記録媒体を粉砕処理する運用に切り替えたことで、追跡の必要がなくなり、情報漏えいリスクに対する不安が大幅に軽減。
リモートワークの広がりで端末の持ち出し機会が増える中、故障・廃棄端末が増えても「確実に抹消できる」安心感が支えに。
▼「追跡の手間削減」と「情報漏えい対策」をどう両立した?
まとめ|小型家電リサイクル法を理解し、法人として適切に対応しよう

小型家電リサイクル法は、一般家庭だけでなく、法人が排出する小型家電にも関係する重要な法律です。パソコンやスマートフォン、タブレットなど、企業活動で日常的に使用される機器の多くが対象となり、廃棄の際には廃棄物処理法に基づく対応も求められます。
また、小型家電リサイクル法では再資源化が重視されており、排出事業者にも適正処理に努める責務があります。
特にスマホやタブレットなどの情報機器は、情報漏洩リスクが高く、初期化だけでは不十分なケースもあるため、データ消去や物理破壊まで含めた対応が不可欠です。台数が増えるほど管理負担やリスクも高まるため、回収から処理、再資源化までを一括で任せられる体制づくりが重要となります。
こうした背景から、法人の小型家電処理においては、小型家電リサイクル法の認定事業者を選ぶことが、再資源化・情報セキュリティ・コンプライアンスの面で最善といえるでしょう。国の認定を受けた事業者へ委託することで、社内外への説明責任や監査対応もしやすくなります。
小型家電の廃棄は「単なる処分」ではなく、企業の姿勢が問われるコンプライアンス業務の一つです。小型家電リサイクル法を正しく理解し、自社に合った処理方法・委託先を選定することで、法令遵守とリスク低減、そして持続可能な企業活動につなげていきましょう。





















