2025年7月30日文書管理

契約書を紛失したら?対処法や確認すべき点・対策・再発防止策を解説

契約書を紛失したら?対処法や確認すべき点・対策・再発防止策を解説
契約書は、ビジネスの基本とも言える重要な書類です。
契約の内容や権利関係、義務などが記載されており、いざというときの証拠にもなります。
その重要な契約書を机の引き出しやキャビネットの中で見失い、更新期限が迫る中で焦りを感じたことはありませんか。
紛失は機密情報の漏洩や訴訟時の証拠不足につながり、企業の信用を一瞬で揺るがします。しかし、紛失に気付いた直後の確認手順や再発行の進め方、そして防止策を正しく理解すれば、被害とコストを最小限に抑えられます。
この記事では、契約書を紛失した際に起こり得るリスクや確認すべきポイント、対処法、さらには今後の再発防止の鍵となる閲覧・持ち出しルールの徹底方法や、電子契約を導入する際に確認すべき点までを詳しく解説します。
重要な契約書を適切に管理し、トラブルを未然に防ぐための一助になれば幸いです。

契約書を紛失してしまったときの心構えと初動

契約書を紛失してしまったときの心構えと初動
会社の重要な書類を紛失してしまった場合、たとえ悪意がなかったとしても、結果として責任が問われることがあります。信頼を取り戻すためには、誠実な対応が何よりも重要です。
まずは直属の上司や関係部署にすぐに報告しましょう。その際は、事実を正確に伝えるとともに、誠意あるお詫びの気持ちも一緒に伝えるとよいでしょう。場合によっては始末書の提出を求められたり、再発防止策の報告書を作成することもあります。
責任を取ることが目的ではなく、同じミスを繰り返さないための機会と捉え、前向きに対応していくことが、信頼の回復につながります。

契約書の紛失で起こりうること

「契約書を失くしてしまったかもしれない…」
そんなとき、焦りや不安を感じるのは当然のことです。まずは深呼吸して、冷静に状況を確認していきましょう。とはいえ、契約書は大切な書類ですので、見つからないままにしておくと、後々トラブルにつながる可能性もあります。
ここでは、契約書を紛失した場合に考えられるリスクについて、できるだけわかりやすくお伝えします。必要以上に不安にならず、正しく対処できるよう、まずは状況を整理するところから始めましょう。

機密情報の漏洩

契約書には、取引条件や個人情報、価格など、外部に漏れてはならない情報が記載されていることが一般的です。紛失によって第三者の手に渡ると、機密情報の漏洩や、不正利用などの重大なリスクが生じる可能性があります。
例えば、社外秘の価格条件がライバル企業に知られてしまった場合、自社の競争力を大きく損なう事態にもなりかねません。紙媒体の契約書は持ち運びも容易である反面、盗難や置き忘れのリスクもあるため、取り扱いには十分な注意が必要です。

トラブル時の対応が困難になる

契約に関するトラブルが発生した際、原本の契約書がなければ、どちらの主張が正しいかを判断する材料がなくなってしまいます。たとえば、支払い条件や納期、契約解除条項などについての解釈が対立した際、証拠となる契約書がないと話し合いが平行線をたどる恐れがあります。
場合によっては裁判に発展することもあり、その際に契約書を提出できないとなると、自社にとって不利な判断が下される可能性もあります。

更新や必要な情報がわからなくなる

契約書には契約期間や自動更新の有無、解約通知期限など、継続的な取引における重要な情報が含まれています。契約書が見つからなければ、こうした情報を正確に把握できず、更新手続きの漏れや不要な契約の継続など、無駄なコストが発生するリスクもあります。

契約書を紛失した際に確認する点

契約書の紛失時の対策・再発防止策
万が一、契約書を紛失したことに気づいたら、まずは慌てずに以下の点を順番に確認しましょう。紛失ではなく、単なる所在不明である可能性もあります。

本当に紛失かの確認

まずは契約書が「本当に紛失したのか」冷静に確認してみましょう。
オフィスの共有棚、担当者のデスク、保管用のキャビネットなど、書類を保管しそうな場所を一つひとつ丁寧に探します。また、郵送中や移動時の置き忘れの可能性も考慮し、心当たりのある場所にも確認の連絡を入れましょう。

社内への共有

契約書の所在が不明な場合は、社内の関係者に速やかに共有することが重要です。自分だけで抱え込まず、上司や法務部、総務部など関連部署に報告し、会社全体で情報を集める体制をとりましょう。別の部署で保管されていたり、関係者が別途コピーを保有している可能性もあります。

スキャンデータ(PDF)がないか確認

近年では、契約書をPDFなどでスキャンし、クラウドやファイルサーバーで保管する企業も増えています。過去にスキャンされていた記録が残っていないか、共有フォルダや契約書管理システムを確認してみましょう。
原本でなくとも、PDFのデータがあれば内容の確認や再発行手続きがスムーズになります。

契約書のコピーの有無を確認

コピーでも内容の確認には十分に役立ちます。紙のコピーやメール添付で送ったPDFデータなど、相手先に渡した記録が残っていないかを確認しましょう。取引先に問い合わせれば、再発行に応じてもらえる場合もあります。

契約書を紛失した際の対処法

諸々の確認を尽くしても見つからなかった場合は、速やかに対処に移る必要があります。以下は、実務上よく取られる対応方法です。

契約書の再発行

契約書が完全に失われた場合、最も現実的なのは取引先に依頼して再発行してもらうことです。同じ契約内容で再度契約を締結するか、写しをもらって管理し直す対応になります。

契約書再発行時の注意点

再発行の際には、旧契約と同一内容かを慎重に確認する必要があります。また、再締結する場合には日付や有効期間などが更新されるため、意図せぬ変更が発生しないように、法務担当者のチェックを必ず入れましょう。

コピーを保管する

コピーが残っている場合は、失った原本に代えてしばらくそのコピーで対応するという手もあります。ただし、契約書によっては「原本のみ有効」と明記されていることもあるため、その場合は取引先と相談して正式な取り扱いを確認しましょう。

認証のある謄本を作成して保管する

公証役場などで契約書に認証を受けた「謄本」を保管しておくことで、紛失時にも一定の証明力が保てます。特に重要な契約書については、こうした対策を事前に講じておくことも有効です。

契約書紛失時の対策・再発防止策

契約書紛失時の対策・再発防止策
契約書を紛失してから対応するのではなく、日頃からの管理体制やルール作りが何より重要です。
ここでは、再発防止のために企業が講じるべき対策を紹介します。

契約書の一元管理

契約書が社内のあちこちに分散していると、紛失のリスクが高まります。物理的な保管場所を統一するほか、電子化して契約書を一元的に管理する体制づくりが効果的です。担当部署や管理責任者を明確にし、常に所在が把握できる状態を保つことが重要です。

契約書の閲覧・持ち出しのルールの徹底

社内の誰でも契約書にアクセスできる環境では、紛失や情報漏洩のリスクが高まります。閲覧権限の管理、持ち出しの申請制、ログの記録など、契約書の取り扱いに関するルールを明文化し、社員に徹底しましょう。定期的な研修も有効です。

電子契約・契約書管理システムの活用

紙の契約書は紛失や劣化のリスクがありますが、電子契約や契約書管理システムを導入すれば、クラウド上で安全に管理できます。アクセス制限、検索機能、バックアップ体制などを備えたシステムにより、紛失や情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

契約書を紛失した際に求められるお詫びと再発防止策の提出

契約書の紛失が明らかになった場合、関係部署や当事者は、社内の正式な手続きとして「始末書」や「再発防止策の報告書」の提出を求められることがあります。こうした対応は、誰かを責めるためのものではなく、会社として再発を防ぎ、同じミスを繰り返さない体制をつくるために行われるものです。
まず大切なのは、紛失に気づいた時点で速やかに上司や法務部門などの関係者に事実を報告することです。その際、経緯を正確に伝えるとともに、心からの謝意を示すことが信頼回復への第一歩となります。感情的になったり、自己判断で隠そうとすることは、問題を大きくしてしまう原因になるため注意が必要です。
その後、報告書や始末書に記載すべき内容としては、「なぜ紛失が起こったのか」「どこに改善の余地があるのか」「自分自身が今後どのように対応するか」といった点について、率直に整理した内容を提出します。曖昧な表現を避け、再発を防ぐためにできることを明確にすることが重要です。
例えば、社内ルールがあいまいだったことが原因であれば、文書管理ルールの見直しを提案するなど、建設的な姿勢が求められます。お詫びと改善の意思を丁寧に伝えることが、社内での信頼を取り戻す第一歩となるでしょう。

電子契約・契約書管理システムを選ぶ際のポイント

電子契約・契約書管理システムを選ぶ際のポイント
契約書の紛失を防ぐためにも、契約書管理を効率化できるシステムの導入が有効です。
では、実際にシステムを選ぶ際にはどのようなポイントに注目すべきでしょうか?
ここからは、電子契約・契約書管理システムを選ぶ際のポイントを3点解説していきます。

紙の契約書に対応しているか

電子契約に対応しているだけでなく、過去に取り交わした紙の契約書もスキャンして取り込み・保管できるかが重要です。スキャナ連携やOCR(文字認識)機能を備えたシステムであれば、紙の契約書もデジタル管理でき、紛失のリスクを低減できます。また、紙と電子の両方の契約を一元的に管理できる仕組みがあると、管理負担も軽減されます。

セキュリティの確認

契約書には機密情報が含まれるため、システムのセキュリティレベルは非常に重要です。
通信の暗号化、アクセス権限の管理、操作ログの記録、定期的なバックアップ体制などが整っているかを確認しましょう。ISMSなどの認証を取得しているサービスであれば、より安心です。

操作方法が複雑でないか

せっかく導入しても、現場の担当者が使いこなせなければ意味がありません。操作画面がわかりやすく、簡単に契約書を検索・保存できるなど、現場目線での使いやすさもシステム選定の重要な要素です。できるだけ事前に操作感の確認も行いましょう。

契約書の紛失時の対応のまとめ


契約書を紛失してしまった場合、さまざまなリスクが生じます。しかし、冷静に確認作業と対応を行えば、大きなトラブルを避けることも可能です。そして、何より重要なのは再発防止の体制を整えること。契約書を一元的に管理し、電子契約や契約書管理システムを活用することで、紛失リスクを最小限に抑えられます。
特に紙の契約書を多く扱っている企業では、電子化と併用できるシステムを導入することで、管理効率と安全性を大きく向上させることができます。契約書管理は、企業の信用とビジネスの安定に直結する重要な業務です。今一度、自社の体制を見直してみてはいかがでしょうか。

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