2025年6月16日文書管理

契約書の保管方法は?保管のポイントや保管期間・保管方法別の注意点

契約書は、取引の内容や権利義務を証明する重要な書類です。万が一トラブルが発生した場合にも、契約書が適切に保管されていれば、法的な証拠として大きな力を発揮します。しかし、「どのくらいの期間保管すればいいの?」「紙とデジタル、どちらが望ましい?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、契約書の基本的な保管方法から、保管期間の目安、紙・電子それぞれの保管時の注意点まで、わかりやすく解説します。
今回、解説していく主な内容は以下の通りです。

  • ・契約書の保管方法が重要な理由
  • ・契約書の保管の法律上の注意点
  • ・契約書の主な保管方法
  • ・契約書保管の際のトラブル/対処法

大切な契約書を安全・確実に管理するために、ぜひ参考にしてください。

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契約書の保管方法が重要な理由


契約書は「締結して終わり」ではありません。実際には、その後の保管体制こそが企業の信頼性やリスク管理に直結します。適切な方法で保管されていないと、必要なときにすぐに取り出せないばかりか、紛失や情報漏洩、法的トラブルの原因にもつながりかねません。
また、契約書が増えるにつれて、保管スペースの確保や整理整頓にも工夫が求められます。
契約書の保管方法が重要な主な理由として、以下の点が挙げられます。

  • ・ビジネスリスクを軽減する
  • ・業務効率を向上させる

それぞれ順番に解説していきます。
 

ビジネスリスクを軽減する

契約書は、取引条件や責任範囲などの重要な情報を記録した法的文書です。
たとえば、過去の契約条件を確認したいときに書類が行方不明になっているようなことがあれば、交渉やトラブル対応に支障をきたすだけでなく、法的な証拠としても機能しません。特に長期間にわたる取引や複数部署をまたぐプロジェクトでは、契約書の所在が曖昧になることで、責任の所在や対応方針が不明確になり、リスクが顕在化します。

また、災害や事故による物理的損失を防ぐためには、保管スペース自体の安全性も重要な要素です。防火・防湿だけでなく、アクセス管理が徹底された保管環境の整備は、リスク管理の一環として欠かせません。

適切な保管によって、こうしたビジネスリスクを最小限に抑えることができます。
 

業務効率を向上させる

契約書を整理整頓し、すぐに取り出せる状態で保管しておくことは、業務効率の向上にもつながります。
必要な契約書が見つからずに探す時間がかかると、生産性が下がるだけでなく、顧客対応にも影響を及ぼします。紙の契約書を大量に保管する場合は物理的なスペースが必要になり、オフィスの圧迫要因となることも。一方で、電子化すれば省スペース化が可能となり、検索性も高まります。自社の業務フローや保管体制に応じて、紙とデジタルの使い分けを検討することが重要です。

契約書の保管の法律上の注意点

契約書の保管には、企業や個人が法律に基づいた対応を行うことが求められます。
特に法人と個人事業主では求められる対応や保存期間が異なるケースもあるため、注意が必要です。
 

法人が押さえておきたい点

法人が契約書を保管する場合、単に「後から確認できればよい」という感覚では不十分です。契約書には、取引の証拠としての役割に加え、税務調査や監査対応など、法的・制度的な要請に応じた管理が求められます。特に保管期間や保管方法については、複数の法律に基づいてルールが定められており、それらを正しく理解し遵守することが、コンプライアンス体制の基本です。
  

保管期間

法人が契約書を保管する期間は、契約の種類や取引の内容に応じて異なりますが、税務署や監査機関から求められる期間をベースに対応する必要があります。
法人の場合、契約書を含む重要書類の保存期間は「会社法」や「法人税法」「消費税法」など複数の法律で定められています。
たとえば、法人税法上では契約書などの取引関係書類について7年間の保存義務があり、会社法に基づく会計帳簿や決算書類などについては、10年間の保存が求められます。

これらの保存期間は最低限の基準であり、実際には契約内容や業種によっては、契約終了後もしばらくの間、法的効力が続くケースや確認の必要が生じることがあります。そのため、トラブルを未然に防ぐ観点から、いずれの場合も10年間の保存を実施することが、実務上は望ましいとされています。
  

保管方法

法人では紙での保存に加え、スキャナ保存や電子契約サービスによる電子データでの保存も進んでいます。ただし、電子保存には「電子帳簿保存法」などの要件を満たす必要があります。特に検索性の確保、真実性の担保、改ざん防止措置などの技術的・運用的対応が不可欠です。
 

個人事業主の場合の注意点

個人事業主であっても、税法上の義務として契約書などの取引書類を一定期間保管する必要があります。
特に青色申告を行っている場合には、契約書や請求書といった取引関係書類を7年間保存しなければなりません。一方で、白色申告の場合は5年間の保存が求められています。

保管方法については法人に比べて柔軟ではありますが、紙・電子のいずれの場合であっても、税務調査などに備えて確実に管理しておくことが重要です。
近年では、クラウドストレージを活用することで物理的な保管スペースを節約しつつ、効率的に契約書を管理する方法が一般的になってきています。

契約書の主な保管方法とメリット・デメリット

契約書の保管方法には主に「紙で保管」と「電子データでの保管」の2つがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、契約書の性質や自社の運用体制に応じて適切に使い分けることが大切です。
 

紙で保管する場合

契約書を紙のままで保管する方法は、現在でも多くの企業や個人事業主が採用している伝統的な手法です。特に書面で交わされた契約や、押印・署名が必要な文書などは、原本として紙での保管が求められる場面も多く、信頼性という面で根強い支持があります。
  

メリット

紙での保管は、原本としての物理的な存在があるため、証拠力の高さが大きなメリットです。特に裁判などで証拠提出が必要になった場合でも、紙の契約書であればその信頼性が問われることはほとんどありません。また、閲覧や確認の際に特別な機器を必要とせず、誰でもすぐに中身を確認できるという扱いやすさもあります。さらに、電子化に不慣れな取引先とのやりとりにおいては、紙の契約書のほうがスムーズに合意形成が進むこともあります。
  

デメリット

一方で、紙での保管にはいくつかの実務的な課題も存在します。まず挙げられるのが、物理的な保管スペースの確保が必要になることです。契約書が年々増加していく中で、キャビネットや倉庫を圧迫していき、オフィス環境に影響を及ぼすケースも少なくありません。
また、書類の劣化や破損、火災・水害といった災害リスクにも常に晒されているため、管理には相応のコストや手間がかかります。さらに、検索性が低く、必要な契約書を探し出すのに時間がかかるという点も、管理が属人的になりやすく、業務効率の面ではマイナスになりがちです。
 

電子化して保管する場合

近年では、契約書の電子化が急速に進んでおり、特にテレワークや業務効率化の流れを受けて、多くの企業が導入を進めています。スキャナで紙の契約書をデータ化したり、電子契約サービスを利用して最初から電子的に締結する方法など、その形式はさまざまです。電子化には多くのメリットがありますが、一方で法律上の要件やシステム管理などの課題も存在します。
  

メリット

契約書を電子化して保管する最大のメリットは、物理的な保管スペースを必要としない点です。書類によって執務スペースが圧迫されていくようなことがないので、オフィスの整理整頓につながります。
また、ファイル名やキーワードでデータを検索することができるため、必要な契約書に迅速にアクセスできるという利便性も大きな魅力です。さらに、クラウドストレージを活用すれば、外出先や他拠点からでも安全に閲覧・共有が可能となり、業務のスピードや柔軟性が向上します。加えて、閲覧履歴の記録やアクセス制限など、セキュリティ対策が強化しやすい点も評価されています。
  

デメリット

一方で、電子化にはいくつかの注意点もあります。
まず、電子データとして契約書を保存する場合には、電子帳簿保存法などの法令に沿った形式で管理しなければ、税務上の証拠として認められない恐れがあります。特に、タイムスタンプの付与や改ざん防止措置、検索性の確保など、運用ルールやシステム設定に関する理解と整備が必要です。また、システム障害やデータ消失といった技術的リスクにも備える必要があり、適切なバックアップ体制を整えておくことが前提となります。導入当初はツールやクラウドの選定・社内の教育に時間やコストがかかるため、運用定着にはある程度の準備が必要です。運用定着後も保存システムの維持管理コストが発生します。

契約書保管の際に起こりがちなトラブルと対処法

契約書保管では、以下のようなトラブルがよく発生します。

  • ・保管場所の不足や紛失リスク
  • ・保管期間切れによるトラブル
  • ・情報漏洩対策の必要性

あらかじめリスクを把握し、対策を講じておくことが重要です。
それぞれ順番に解説していきます。
 

保管場所の不足や紛失リスク

契約書が年々増えていく中で、保管スペースが足りなくなることは珍しくありません。また、整理されていないと、必要な書類がすぐに見つからない、紛失するなどのリスクも高まります。書類管理ソフトの導入や、クラウドストレージでの一元管理が有効な対策です。
 

保管期間切れによるトラブル

保管期限を過ぎた契約書を廃棄してしまうと、のちのちトラブルが発生したときに契約内容を証明できないことがあります。廃棄ルールとチェックフローを整備し、必要に応じて保存期間を延長する対応も検討しましょう。
 

情報漏洩対策の必要性

契約書には取引先情報や金額など、機密性の高い情報が含まれています。盗難や内部不正、外部からのサイバー攻撃などに備えて、アクセス権限管理や暗号化といったセキュリティ対策が必須です。

契約書の保管のよくある質問

契約書の保管に関しては、法律や実務上のルールが複雑に絡むため、多くの企業や個人事業主が具体的な対応に悩む場面が少なくありません。
最後に、契約書の保管に関して、よくある質問を紹介します。
日々の書類管理の参考にしてください。
 

保管期限が切れた契約書はすぐに破棄してもいい?

原則として法定保存期間を過ぎた契約書は破棄しても問題ありません。ただし、過去の契約に関連するトラブルが発生する可能性がある場合は、念のため10年間は保管することが推奨されます。
 

スキャナ保存した原本は破棄してもいい?

一定の要件を満たしたスキャナ保存であれば、原本を破棄することも可能です(電子帳簿保存法による)。ただし、解像度やタイムスタンプの要件を満たしていない保存では、原本の破棄は避けるべきです。
 

電子化して保管した契約書は法的に有効ですか?

電子契約やスキャン保存された契約書でも、適法な手続きと形式を経ていれば法的効力があります。電子署名やタイムスタンプを適切に付与し、改ざん防止措置が取られていることが前提です。

契約書の保管方法は保管サービスがおすすめ


契約書の保管は、紙と電子のどちらかに統一されているとは限らず、実際の業務では両方が混在しているケースも少なくありません。そのため、「どこに何があるか分からない」「更新漏れが起きた」といった管理上の課題に直面することもあるでしょう。

こうした状況を解消する手段として注目されているのが、契約書を電子化し、一元的に管理できるクラウド型の保管サービスです。電子化によって、書類の検索性が高まり、管理スペースの節約にもつながるほか、保管期限の通知機能や編集履歴の確認、契約プロセスの可視化といった機能により、業務の効率化やミスの防止にもつながります。

特に紙の契約書をスキャンしてPDF化し、テキストを読み取って分類・管理するような仕組みは、従来の煩雑なファイリング作業を自動化・省力化できる点でも非常に便利です。これにより、ファイリングの手間をかけずに、紙と電子の両方の契約書をまとめて扱える柔軟性が生まれます。

すでに多くの企業が契約書の保管における課題を見直し、こうした電子化対応のサービスを取り入れ始めています。契約管理の業務負荷を軽減し、重要書類を安全かつ効率的に扱うためにも、紙・電子の両方に対応した契約書保管サービスの導入を前向きに検討してみるとよいでしょう。

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