オフィスのレイアウト変更は企業ブランディングの一環。最新トレンドや事例を解説

オフィスのレイアウト変更には、生産性や従業員満足度向上といったさまざまなメリットがあります。特に昨今、企業が自社の利益を追求するだけではなく、従業員や取引先、関係者全員の幸せを追求する「ウェルビーイング経営」が企業ブランディング価値向上につながると注目されており、オフィスの改善に努める企業が増えています。

そこで本記事では、オフィスレイアウトの目的や効果、最新トレンドなどを紹介します。

オフィスレイアウト変更の目的や効果

企業によってオフィスに求める機能や役割はさまざまですが、オフィスのレイアウト変更には以下のような効果やメリットがあります。

1. 生産性向上

コロナ禍で一人用の作業スペースを設置した企業が増えました。周りの目を気にせず作業に没頭したい、集中したいという従業員が多い場合は、こうした個別の席を設けることで心理的負担が少なくなり生産性の向上が期待できます。

ほかにも、カフェのような休憩スペースや、植物や自然光を採り入れた空間を設置し、従業員のモチベーションを高めるオフィスレイアウトを採用する事例が増えていますが、こういった取り組みも生産性向上の効果が期待できます。

2. コスト削減

テレワークの普及や新型コロナの影響でオフィスのあり方が変わりつつある今、レイアウト変更でデッドスペースを減らし、コストを削減できるケースもあります。賃貸オフィスならオフィスを移転縮小して家賃や光熱費が軽減できますし、自社ビルの場合は倉庫に放置している物品を処分してスペースの有効活用が可能です。

不要なスペースを減らすと同時に利用頻度の低いOA機器などの設置を見直すことで、ランニングコストの削減にも繋がるでしょう。

3. 従業員ウェルビーイングの向上

従来、日本の企業では有給休暇や産休・育休制度などの福利厚生が整備されていますが、さらに一歩進んだ「従業員ウェルビーイング」という概念が注目を集めています。

そもそも企業が従業員の健康や安全を守ることは当然の役割ですが、従業員がここで働きたいと思えるオフィスとして整備することで従業員満足度が向上し、ひいては離職率の防止・人材確保に繋がります。

慢性的な人材不足が深刻化している企業にとって人材確保は喫緊の課題。オフィスレイアウトが解決の一助となると判断されれば積極的に進めていくべきでしょう。

4. ブランディング

デザイン性の高いオフィスレイアウトは、企業のブランドイメージ向上に貢献するというメリットがあります。オフィスブランディングという言葉もあるように、企業の価値観やビジョン、歩みたいストーリーをもとに体系的にオフィスをデザインしていくことは、社内外へのブランディング価値向上につながります。

オフィスレイアウトの最新トレンド

次に、株式会社ヴィスが行った「2024年オフィストレンド予想」をもとに、オフィスレイアウトの最新トレンドについて解説します。ここでは、以下の4点をピックアップしました。

※参考:株式会社ヴィス プレスリリース <ヴィス>2024年、オフィスはブランディングを「語れる」デザインへ|オフィストレンド予想」2024年1月16日

1. 会社の個性、“らしさ”を表現

1つ目のトレンドは、「会社の個性、“らしさ”を表現したオフィス」です。

企業の理念やビジョンを体現したオフィスデザインは、来訪する取引先や求職者に企業の想いを視覚的に伝えやすくなります。

これは2023年のトレンドとしても挙がっていましたが、2024年はさらにそれを「語る」ことができるデザインが求められています。従業員が自社のオフィスについて語りやすいポイントを作ることで自社の理解を深め、帰属意識の向上に繋げます。

2. チームでコミュニケーションが取れる「集まるオフィス」

2つ目のトレンドは「集まるオフィス」です。コロナ禍で従業員のコミュニケーション不足が課題となりましたが、5類移行後となった現在、オフィスには再びチームがコミュニケーションを図る場としての役割が求められています。

ただし、会話が増え作業に集中できない状況を避けるため、「作業に集中する場」と「コミュニケーションの場」をゾーニングし、メリハリのついたレイアウトを意識することが重要です。

3. オフィス内の集中エリアが拡大

株式会社ヴィスの予想によると、2024年以降のオフィスでは機能を詰め込むことよりも、「余白やゆとりをもたせるデザイン」が求められると言います。従業員は一日の多くをオフィスで過ごします。そのため、広々とした空間や開放的なデザイン、グリーンや自然、オフィスならではの機能を整備し、居心地の良い空間作りを行うことで従業員の満足度向上や業務効率化に繋げます。

オフィスのレイアウト変更と言えばどうしてもコストカットや面積縮小が連想されますが、重要なのは目的を持ってスペースを整備することです。状況に応じてオフィス内の集中エリアを拡大するなど、幅広い視野でオフィスのレイアウトを検討してみましょう。

SDGs・環境に配慮したオフィス

社会全体でSDGs・環境への取り組みがトレンドになっている中、オフィス作りにおいても同様に考えていきたいポイントです。SDGs(Sustainable Development Goals)は、環境・経済・社会のおいて17目標で構成されており、環境問題や労働問題を始めとする内容が多く含まれています。前述のウェルビーイング経営もそのひとつです。

具体的な取り組みとしてはリサイクル資材や再生可能エネルギーを利用する、といった方法がありますが、すべてを一度に改善することは難しいため、社内で取り組みやすいものから始め、徐々に増やしていくことをおすすめします。

最新のオフィスレイアウト事例:MKタクシー

MKタクシーの新コールセンター (写真:エムケイ株式会社)

最後に、MKタクシーが2023年11月に行ったオフィスリニューアルの事例をご紹介します。

同事例はオフィス移転を機に株式会社ヴィスにオフィスデザインを依頼し、大規模なレイアウト変更を行ったものです。

かねてから労働環境の改善を行っていた同社は、手狭となっていた八幡営業所、京都市南区の本社ビルにあったコールセンターと執務フロア、休憩室を集約し、新ビルへ移転拡大しました。

今回のリニューアルのコンセプトは「“おもてなし”を従業員に対して贈る」「社員と地域の方に愛される空間」。快適なオフィス環境がより良い業績、サービスの質の向上に繋がるという同社の考えを、上記レポートをまとめたヴィスが体現したとのこと。人員配置の多いコールセンターはじめ集中エリアの労働環境を改善したことで、従業員のモチベーションアップに繋がったようです。

また、新オフィスにはカフェのような休憩室が設けられたほか、ちょっとした打合せを立って行えるハイテーブルや、一人で集中して作業を行うためのハイカウンターが窓際に設置されるなど、従業員が目的に応じてオフィスを使える自由度の高いレイアウトとなっています。

※参考:MKタクシー プレスリリース

オフィスのレイアウト変更で従業員にとって快適な環境を考えよう

オフィスレイアウトについて、目的や効果、最新トレンドを解説しました。

オフィスレイアウトを変更する際のポイントは、企業の価値観を体現するという考えで取り組むことです。単純にオフィスを整理整頓するのではなく、従業員が快適に過ごせる環境を考え、目的に応じた空間を整備します。

「従業員が心地よく思うレイアウトとは?」「生産性が向上するレイアウトとは?」「コミュニケーション活性化のためのレイアウトとは?」と一つずつ問いを立てて検討してみましょう。

上記のようなオフィスレイアウト変更には、オフィスにおける物品の整理が前提です。使用頻度の低い販促物などが社内に多くある場合は「物品保管サービス」を利用して、効率良くオフィスを変更していきましょう。以下の記事で法人向けのトランクルームについて解説していますので、ご参照ください。

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