契約書の紛失のリスクは?対処法や確認すべきこと・管理の重要性を解説

契約書は、有効期限や契約内容に応じた適切な管理が必要です。管理が不適切だと紛失する可能性もあり、紛失によって様々なリスクが生じます。管理を徹底することも重要ですが、不測の事態に備えて、紛失時の対処法についても理解しておく必要があります。
そこで本記事では、契約書を紛失することで起こり得るリスクや対処法、確認事項、契約書管理の重要性などについて解説します。
契約書の紛失リスクは?まず押さえる結論
多くの方が、契約書は重要な書類であり、紛失することはリスクがあるというイメージを持っていると思います。
実際に契約書を管理する場合は、紛失することで生じる問題に対する理解が重要です。以下で、契約書が紛失した際に起こる問題について、契約書管理の課題も含めて見ていきましょう。
紛失が起きたときに問題になるのは「漏洩」と「権利の不確実化」
契約書の紛失は、漏洩と権利の不確実性の2つの観点から問題となります。
紛失するということは、契約書が社外に存在する可能性があるということです。社外にある以上いつ誰の目に触れるか分からないので、契約書の内容が漏洩するリスクがあります。
また、契約書を紛失すると取引内容を証明することができず、権利の不確実化が起こります。本来証明できるはずの事項が証明できないため、トラブルが発生した時に対応できないなど、不利な立場になります。
契約書管理の課題は“探せない状態”と“更新できない状態”に集約される
契約書管理の主な課題は、「探せない状態」と「更新できない状態」に陥ることです。
管理を行ったとしても、どこに何があるか分からなければ探すことができず、正確な更新期限を把握できないと更新漏れのリスクもあります。管理において、2つの課題をどう解決していくかが、重要です。
契約書を紛失したときに起こり得るリスク
契約書を紛失してもその契約自体は有効であり、合意内容に影響を与えることはありません。しかし、様々な観点から会社にとってリスクがあります。
どのようなリスクが起こり得るのか、以下で具体的に解説します。
情報漏洩・個人情報流出につながるリスク
契約書の紛失は、言い換えれば、契約書の内容が外部に漏れた可能性があるということです。重要な情報や個人的な情報が記載されていた場合、情報漏洩や個人情報流出のリスクがあります。競合相手である他社に内容が漏れてしまうと、ビジネスにおいて非常に不利になる場合もあります。
契約更新漏れ・自動更新条項の見落としによる損失
契約書には更新の時期が記載されており、更新するために必要な情報です。
紛失した際に、電子データによるバックアップがあれば対処できますが、バックアップを行っていない場合、更新時期を確認することができません。更新時期が不明になると、契約更新漏れや自動更新条項の見落としが発生し、会社とって大きな損失になるリスクがあります。
監査・訴訟・取引トラブル時に不利になるリスク
紛失することで、監査・訴訟・取引トラブル時に不利になるリスクがあります。
監査時に契約書が無いと問題視され、コンプライアンス違反を指摘される可能性もあります。訴訟が発生した場合、契約書が無いと立証することができないため、有利になる証拠を提供できないまま、一方的に不利になってしまう可能性があります。また、契約書は取引トラブルにおいても重要な証拠となるので、紛失することによってトラブルが長引いてしまうことも考えられます。
社内統制の不備と見なされ信用が低下するリスク
契約書を紛失した会社は、書類の管理が不十分であるというイメージを持たれてしまいます。
管理の不行き届きが原因で社内統制に不備があると見なされ、結果的に信用が低下するリスクがあります。信用が低下すると、取引や新規の獲得に悪影響が出ることも避けられないので、会社にとって大きな痛手となるでしょう。
契約書を紛失したかもしれないときの対処法
契約書を紛失した際は、焦ったり動揺したりせずに、冷静に対処することが重要です。
適切な対処によって、再発を防ぐことにもつながります。以下で、紛失した時の対処法を解説しますので、参考にしていただければと思います。
初動でやること:社内で事実確認と影響範囲を切り分ける
契約書を紛失した可能性がある場合は、最初に社内で事実確認を行いましょう。
他の場所に置き忘れた、保管場所が変わったなどの理由で紛失したと誤認している可能性もあるので、本当に紛失したのか、再度確認することが重要です。また、紛失によってどのような影響が想定されるのか、影響範囲を切り分けることも重要です。具体的には、該当する契約書の特定、社内の人間や社外の人間がどの程度関係しているかの確認、どのようなリスクが考えられるか、などがあります。
関係者への共有:法務・総務・情報システム・現場の役割分担
契約書の紛失が確認できた場合は、迅速に関係者への共有を行う必要があります。
直属の上司、法務部門、総務部門、情報システム部門、現場などが関係者に該当することになるでしょう。紛失した契約書の情報(契約名、取引先名、契約締結部など)、最後に契約書を確認した日時、今後の対応などを共有しましょう。
取引先対応:再発行・写しの取得・再締結の判断ポイント
社内で共有し、対応方針や方向性が決まった後は、取引先の対応を行います。
取引先に連絡する場合は、電子データのバックアップの有無を確認するなどして、紛失したことが確定してから連絡を入れましょう。ただし、相手方の協力が必要な場合や、急を要する場合は速やかに連絡を入れましょう。自身のミスによる紛失であれば、誠心誠意謝罪することが重要です。契約書の具体的な内容を伝えて、取引先も紛失した契約書を特定できるようにします。
その後、取引先に契約書の再発行の依頼をすることになります。相手方が契約書を保管している場合、コピーを取ってもらい、写しを取得するという方法もあります。
再締結する場合は、元の契約締結日を明記し、「本契約書は〇年〇月〇日に締結した契約を再作成したものである」という文言を付け加えます。この方法によって、法的な安定性を確保することができます。
漏洩が疑われる場合の対応:記録化と再発防止のための整理
紛失だけでなく、契約書の内容の漏洩が疑われる場合は、その事実を記録化して再発防止に努めることが重要です。
「いつ・どこで・誰が」という紛失した際の状況に関する事項を、記録しておきます。記録することで原因を特定し、再発防止のために何をすべきかを導き出します。持ち出しを制限する、ダブルチェックを行う、厳重な保管ルールを設けるなどの改善策によって、紛失のリスクを大幅に下げることができます。電子化を行っていない場合は、電子契約に移行するのも有効です。
紛失を招く「契約書管理の課題」チェックリスト

契約書を紛失した場合、管理において何かしらの問題があったということになります。
管理における自社の課題は何なのかをチェックしておくことで、再発防止に大きく貢献することができます。契約書を管理する際に発生しやすい課題について、以下で確認しましょう。
保管場所が分散し、紙と電子が混在している
紙の契約書と電子契約書が混在している場合、紛失を招きやすくなります。
電子契約に移行途中の状態の場合、紙と電子の保管場所が分散するため、混在が起きやすくなります。また、紙と電子の契約書でフローが異なるため、二重管理が負担となる可能性もあります。
台帳が不完全(手入力・更新漏れ・項目不足)
手入力で行っている場合、書類の管理台帳が不完全になりやすいことが課題です。
更新自体は手入力で行うことも可能ですが、更新漏れなどのヒューマンエラーが発生しやすくなります。入力すべき項目の不足も、手入力の際に発生しやすいです。
権限と運用ルールが曖昧で属人化している
権限と運用ルールが曖昧だと、特定の担当者以外で契約書管理を行える人がいないため、業務が属人化します。
「ブラックボックス化」とも呼ばれており、その担当者がいなくなると、他に対応できる社員がいないことで、業務が滞る可能性などの問題が生じます。また、業務に関するノウハウが共有されないことも、企業にとって大きな損失と言えるでしょう。
期限管理ができず、更新通知や確認フローがない
期限管理は、更新漏れを防ぐために重要な業務です。
更新通知や確認フローなどの体制がない、あるいは整っていない状態だと、更新期限があいまいになり、期限管理を適切に行うことができません。契約書に関する情報を可視化することができれば、管理をスムーズに行うことができます。
契約書管理を見直す基本:紙・電子を問わず必要な管理項目
契約書管理に課題を抱えていると感じる場合は、一度管理を見直してみましょう。
紙と電子の両方に必要な管理項目を以下で解説しますので、チェックしてみてください。
最低限そろえたい台帳項目(検索・期限・相手先・担当)
契約書管理において最低限必要となる台帳項目としては、検索・期限・相手先・担当などが挙げられます。
特に期限は、更新漏れを防ぐために必須となる項目です。他にも、自動更新の有無や契約相手方、締結日なども基本的な管理項目となります。
保管ルール(原本・写し・版管理)と閲覧権限の設計
保管ルールに関しては、原本の保管期間は法律で定められているため、その期間は破棄せずに保管しなければいけません。
写しは「準文書」という扱いになり、原本と同等の証拠能力はありません。しかし、紛失時の内容確認などに活用することができるので、丁重に保管すべき書類です。版管理(バージョン管理)に関しては、命名規則や変更履歴、最新版の特定などの事項を盛り込みましょう。
上記のルールは契約書管理規程で文書化して、ルールの内容を明確にすることが重要です。機密情報が含まれている契約書は、限られた社員だけが閲覧できるようにするなど、閲覧権限を設計しましょう。特に、機密文書の中でも「極秘文書」は企業の存続に関わる最重要情報が含まれているので、経営層などごく一部のみを閲覧者にする必要があります。
契約ライフサイクルに合わせた運用(締結〜更新〜終了)
契約の締結から更新、終了までの一連の流れを「契約ライフサイクル」と呼びます。
契約ライフサイクルを運用するには、一連のプロセスを一元的に管理・最適化することが重要です。締結後は、契約条件の履行状況を随時チェックし、期日が近づいたら、更新か終了かの判断を行います。終了後は、法律で定められた保管期間に従って適切に対応します。
契約書の紛失を防ぐ3つのポイント
契約書の紛失を防ぐために、おさえておくべきポイントがあります。
適切な契約書管理を行うための3つのポイントを、以下で確認しましょう。
ポイント1:管理項目を目的別に設計し、探せる状態をつくる
契約書の管理項目は、管理する目的に応じて異なります。
たとえば、契約内容の閲覧が目的であれば、管理番号・契約書名・相手先・契約日・契約金額・ロケーション番号・PDFまたはリンクなどが項目となるでしょう。これが「ステータスの管理」となると管理すべき項目は変わります。何の用途に向けた契約書管理かを明確にしてから、その用途に応じた管理項目を定めましょう。
ポイント2:管理体系と担当範囲を決めて属人化を防ぐ
社内で契約書管理の方法とルールを制定し、契約書管理の体系化・効率化、そして属人化の防止を図ります。契約書管理で生じる工程を「誰が」「どこから取得して」「いつ入力するか」行うのか詳細まで決めておくことは、漏れを防ぎ、効率化が図れるシステム構築につながります。
ポイント3:期限通知・台帳作成などを自動化して更新漏れを減らす
契約書が複雑かつその締結数も多い場合は、負担を軽減することが得策です。その有効策として、期限通知や台帳作成などの自動化は代表格と言えるでしょう。
自動化させることによって更新漏れを減らし、適切かつ負担を軽減させた形で管理することができます。
契約書管理は電子化がカギ:検索性と統制を両立する

契約書管理において紛失のリスクを最大限減らすには、電子化が大きなカギとなります。検索性が向上し、書類管理を統制しやすくなるので、紙の契約書よりも利便性が大きく向上します。
電子化によって受ける恩恵や、紙の契約書の問題点などについて、以下で見ていきましょう。
電子化で改善しやすい課題(検索・共有・履歴・期限管理)
電子化によって、検索性が向上し、社内で共有しやすい状態になり、履歴の確認や期限の管理も容易になります。
紙の契約書を管理する時に発生していた課題を、電子化することで一気に改善することが可能です。
エクセル運用の限界と、運用が崩れやすいポイント
契約書管理はエクセルで行うという企業もありますが、手動入力にかかる時間が必要なほか、人的ミスの可能性は否定できません。エクセルは多くの方にとって馴染みがあるツールですが、運用し続けることには限界があり、人的ミスが避けられない以上、運用が崩れやすいと言えます。
また、昨今では契約をオンラインで完結する電子契約が普及しています。取引先から電子契約を要求される機会が増えてきたと感じたら、契約書管理の方法とともに電子化について検討する必要があるのかもしれません。
電子契約と紙の契約書が混在する場合の考え方
電子契約に移行している最中、あるいは電子契約と紙媒体を併用する場合、電子契約と紙の契約書が混在している状態と言えます。
自社が電子契約を導入している一方で、相手方が電子契約を導入していないなど、混在する事例は珍しくありません。混在することで、契約書の検索が難しくなる可能性もあります。
電子帳簿保存法により、電子取引で受け取った契約書は電子データのまま保存することが義務付けられており、紙への出力は原則禁止となっています。誤って、紙に出力することがないように注意が必要です。
おすすめ:契約書管理クラウドで紛失リスクと管理課題をまとめて減らす
電子化が急速に進む今の時代は、契約書の管理をクラウドサービスで行うことで、業務効率を大幅に向上させることができます。
本記事では、契約書管理のクラウドサービスとして「ConPass(コンパス)」を紹介します。特徴などについて以下で紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ConPass(コンパス)の特徴:電子契約と紙の契約書を一元管理
電子契約と紙の契約書の両方を、一元管理することができます。
電子契約に移行中、あるいは併用を検討している企業にとっても利用しやすいサービスとなっています。契約書の押印、郵送、受取、スキャニング、原本管理など、契約書に関する一連の作業も、一任することができます。
ConPassでできること(台帳作成・期限通知・項目カスタマイズ)
管理項目を自動抽出する機能が搭載されており、締結した契約書をアップロードするだけで、管理台帳を作成することが可能です。
期限を通知してくれる機能もあり、契約期限が近い契約書はダッシュボードで確認することができます。さらに、ダッシュボードからそのまま契約更新の申請を行うことができます。自動抽出された項目以外にも、管理方法に合わせて項目のカスタマイズができます。
導入前に確認したいポイント(現状課題・対象範囲・運用体制)
契約書管理クラウドを導入する前に、3つのポイントを確認しておきましょう。
最初に、現時点で自社が抱えている課題を把握します。たとえば、「検索性を向上させたい」「契約の更新忘れを防ぎたい」などの課題が挙げられるでしょう。
次に、何を管理するのか、形式はどうするのか、どの部分をカバーしたいのか、といった対象範囲を明確にします。対象となる契約書の種類をピックアップし、電子データか紙かといった形式を把握し、契約書管理の一連の流れにおいて、どの範囲をカバーしたいのかを決めましょう。
最後に、運用体制を確認します。誰が利用するのか、既存の運用フローをシステムにどう落とし込むか、予算の上限はどうするか、といった点が確認のポイントです。
まとめ | 契約書の紛失リスクに備え、管理体制を見直そう
契約書を紛失することで、情報漏洩や取引先とのトラブル、企業としての信頼を失うなど、様々なリスクが生じます。適切な契約書管理は、企業にとって最重要課題と言えるでしょう。
リスクを抑えながら効率的な契約書管理を行うには、上記で紹介したようなクラウドサービスが有効です。契約書管理に課題を抱えている、改善したいポイントがあるといった場合は、この機会に契約書管理の方法を見直してみてはいかがでしょうか。




















