2026年2月26日情報セキュリティ

ディープフェイクは悪!?情報セキュリティ上のリスクを解説

近年、AIによって、声や顔を本物そっくりに偽装する「ディープフェイク」技術が急速に進化しています。この技術が悪用されることで、ビデオ会議でのなりすましや、音声メッセージを使った詐欺など、私たちの身近なところでも新たな情報セキュリティ上の脅威が生まれています。

そこで本記事では、そもそもディープフェイクとは何かを解説します。併せて、ディープフェイクがもたらす情報セキュリティ上の脅威やディープフェイク被害の防止対策も紹介します。

ディープフェイクについて正しく理解し、被害を防止するための対策を行えるようになりましょう。

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ディープフェイクとは

近年の進化と精度向上

正規用途と悪用の分岐点

ディープフェイクの活用例

CG

対話型AI

AIモデル

ディープフェイクがもたらす情報セキュリティ上の脅威

なりすまし詐欺

ビジネスメール詐欺

不正認証

サイバー攻撃

情報操作

ディープフェイクによる被害実例5選

音声なりすまし詐欺

ビデオ会議詐欺

ビジネスメール詐欺

フェイク動画拡散

投資詐欺動画

ディープフェイク被害の防止対策

検出ツールの導入

ダブルチェック

セキュリティリテラシーの向上

社員教育

ディープフェイクを正しく理解し対策を行おう

ディープフェイクとは

ディープフェイクとは、AI技術を活用して人物の顔や声を別のものに置き換える合成技術です。画像や動画の改変が高度化し、本物と見分けがつきにくくなっています。そこで、ディープフェイクについて以下2つの観点から解説します。

  1. 近年の進化と精度向上
  2. 正規用途と悪用の分岐点

もともとはエンタメや研究目的で発展しましたが、現在では悪用事例も増えており、社会的なリスクが注目されています。

近年の進化と精度向上

ディープフェイクは近年、急速に進化し精度が格段に高まりました。

高性能なAIモデルの登場や計算能力の向上により、自然な表情や声の再現が可能になっています。その結果、動画配信やSNSで拡散されると一般利用者には真偽の判別が困難となり、信頼性への懸念が強まっています。

正規用途と悪用の分岐点

ディープフェイクには、映画制作や教育など正規の用途が存在します。しかし一方で、詐欺や誹謗中傷といった悪用事例も後を絶ちません。

技術自体は中立的であり、使う人の意図によって分かれます。そのため、社会全体で正しい活用とリスク管理の両立が求められています。

ディープフェイクの活用例

ディープフェイクは、エンタメや広告、教育分野で活用されています。例えば歴史上の人物を再現して授業に取り入れたり、俳優のスケジュールに左右されることなく映画を制作することも可能です。そこで、ディープフェイクの活用例を3つ紹介します。

  1. CG
  2. 対話型AI
  3. AIモデル

正しく使えば創造性を広げる有益な技術であり、今後のビジネス展開にも期待されています。

CG

ディープフェイクは、従来のCG技術をさらに発展させたものといえます。

CGでは、膨大な作業と高い専門スキルが必要でしたが、ディープフェイクはAIの学習によって短時間でリアルな映像を生成できます。そのため、従来なら莫大な予算が必要だった映像制作が手軽になり、中小規模の制作会社や個人クリエイターでも気軽に映像を生成できるようになりました。

一方で、生成された映像の精度が高すぎるため、虚偽情報として拡散される危険も増しています。

対話型AI

ディープフェイクの技術は、対話型AIとも密接に関連しています。

近年は音声合成の精度が向上し、有名人の声や特定人物の話し方をリアルに再現できるようになりました。これにより、エンターテインメントや接客業務で活用できる一方、詐欺電話やなりすましに利用される懸念も高まっています。声のトーンや話し方に違和感がないなど再現精度が高く、本物と信じ込んでしまう危険性があるのです。

利便性とリスクが表裏一体であることを理解し、対話型AIを利用する際のルール作りが求められているといえます。

AIモデル

近年は企業が広告やSNSで起用するモデルを、AIで生成するケースが増えています。AIモデルは実在しない人物でありながら、自然な表情や動きを持たせることができ、ブランドの世界観に合わせて自在に作り出せる点が魅力です。人件費や撮影コストを抑えられるほか、炎上リスクの低減にもつながります。

一方で、実在しない人物を顧客に提示することへの倫理的議論もあり、透明性を保った活用が求められます。

ディープフェイクがもたらす情報セキュリティ上の脅威

ディープフェイクは情報セキュリティの新たな脅威となっています。具体的には、以下5つの脅威が挙げられます。

  1. なりすまし詐欺
  2. ビジネスメール詐欺
  3. 不正認証
  4. サイバー攻撃
  5. 情報操作

ディープフェイク技術の向上により、従来は不可能だった「映像や音声のなりすまし」が可能になり、詐欺やサイバー攻撃に悪用されかねません。信頼していた相手が偽者だったという状況が現実化しており、社会全体で対策が求められています。

なりすまし詐欺

ディープフェイクは、なりすまし詐欺に悪用されやすい技術です。

例えば、有名人や上司の顔や声を模倣し、信頼させたうえで金銭をだまし取るケースが想定されます。従来のメールや文章だけの詐欺と比べ、音声や映像が加わることで信憑性が飛躍的に高まるのが特徴です。

特に、緊急性を装った指示や依頼は疑いにくく、被害が広がる危険があります。したがって組織も個人も、映像や声が送られてきたからといって本物であるとは限らないという意識を持ちましょう。

ビジネスメール詐欺

ディープフェイクは、従来のビジネスメール詐欺をより巧妙化させています。

従来は偽装メールを使った手口が中心でしたが、ビジネスメール詐欺の手口はすでに巧妙化しており、AIで生成した上司の音声や映像を添え、信憑性を高めています。社員が本人の声だから間違いないと判断すれば、不正送金や情報漏えいにつながりかねません。

特に、緊急性を装った指示や依頼は疑いにくく、被害が広がる危険があります。大金が絡む依頼や急な変更は、必ず確認を取る仕組みを構築しましょう。

不正認証

顔認証や声認証の普及に伴い、ディープフェイクによる不正認証のリスクも高まっています。

AIで生成された顔や音声は精巧であり、従来のセキュリティシステムでは見抜けない場合があります。これにより、ディープフェイクを利用した不正アクセスやアカウント乗っ取りが起こりうるのです。

生体認証は便利な仕組みですが、ディープフェイクの存在を前提に追加の認証手段を組み合わせる必要があります。パスワードや多要素認証と併用し、安全性を高めましょう。

サイバー攻撃

ディープフェイクは、新たなサイバー攻撃の手段として悪用されるケースもあります。偽の動画や音声を使って標的をだまして情報を引き出したり、マルウェアに誘導したりする手口が考えられます。

また、世論を操作するために大量の偽情報を拡散することも可能です。従来のフィッシング攻撃よりも説得力が増すため、被害拡大のスピードも速いと予想されます。企業や個人は、疑わしい情報かどうか一度立ち止まって確認する習慣を持ち、被害を未然に防がなければなりません。

情報操作

ディープフェイクは、情報操作の道具として悪用されやすい点も大きな問題です。

特定の人物が発言していないことを発言したかのように捏造すれば、社会的信用を失わせられます。選挙や国際関係の場面でも、偽動画によって世論や政策判断が左右されるリスクがあります。

特にSNSを通じた拡散力は非常に強力で、短時間で大規模な影響を与える可能性があるのです。受け手側も映像だから真実であるとは限らない、との認識を持たなければなりません。

ディープフェイクによる被害実例5選

ディープフェイクは、悪用されると多大な被害をもたらすケースもあります。そこで、ディープフェイクによる被害実例を5つ紹介します。

  1. 音声なりすまし詐欺
  2. ビデオ会議詐欺
  3. ビジネスメール詐欺
  4. フェイク動画拡散
  5. 投資詐欺動画

ディープフェイクによる実例を知り、被害への理解を深めて、対策を講じられるようになりましょう。

音声なりすまし詐欺

ディープフェイク技術を用いた音声なりすまし詐欺では、実在する経営者や上司の声をAIで模倣し、部下に振り込みや送金を指示するケースが発生しています。電話や音声メッセージを通じて自然な口調で依頼されるため、不審に思わず対応してしまう被害が後を絶ちません。

2019年、イギリスのエネルギー企業でCEOになりすました音声ディープフェイク詐欺が発生しました。親会社のCEOの声を模倣して、ハンガリーの仕入れ先口座への送金指示を電話で行い、実際に約22万ユーロ(約2,600万円)がだまし取られました。声のトーンや話し方を忠実に再現されており、本物と思い込んだことが被害を引き起こした要因です。

ビデオ会議詐欺

オンライン会議の普及に伴い、ディープフェイクで偽装した映像を利用した詐欺が急増しています。実在する経営者や役員の顔をAIで合成し、あたかも本人が出席しているかのように見せかけ、取引先や社員に金銭や機密情報を要求する手口です。

2024年2月、香港の多国籍企業でCFOを装うディープフェイク映像を使ったビデオ会議詐欺が発生しました。メールでの依頼に続き、偽のビデオ会議でCFOおよび同僚が出席しているように装われ、会計担当者がそれを信じて資金移動を実施したのです。結果、2億香港ドル(約38億円)の被害が出ました。映像の精巧さと信頼できると思わせる工夫が被害を拡大させました。

ビジネスメール詐欺

以前から存在するビジネスメール詐欺(BEC)にディープフェイクが組み合わさり、被害が巧妙化しています。攻撃者はメールでの指示に加えて、AIで生成した上司の音声や映像を添えて、信憑性を高めているのです。

日本の企業でも、音声ディープフェイクを組み合わせたビジネスメール詐欺が報告されています。例えば、会長や専務を名乗るメールを送った後、声を偽装した電話で送金指示を出すなどの多段階攻撃が挙げられます。受信者が社内確認を怠ると被害につながるケースが多く、金銭被害が深刻です。実際にJ-CSIP参加企業では、担当者の声に違和感をおぼえたことで被害を防げた事例もあります。

フェイク動画拡散

SNS上では、著名人や政治家のディープフェイク動画が拡散され、社会的混乱を招く事例が増えています。フェイク動画は選挙妨害や世論操作にも利用され、国際的な問題に発展するケースも存在します。

日本では、岸田首相の偽動画がSNS上で拡散された事件がありました。この偽動画は報道番組風に作成され、番組のロゴやテロップも模倣されていたため、視聴者が本物と錯覚する状況を生みました。

最終的には投稿者が謝罪し撤回しましたが、一度拡散した情報は完全に消すことが難しく、社会的信用や世論に与える影響も大きいといえます。

投資詐欺動画

ディープフェイクを用いた投資詐欺では、著名投資家をかたる偽広告動画がSNSに大量に出現し、「投資ノウハウを無料公開する」という偽のメッセージで消費者を誘導する手口が増えています。視聴者は本人が推奨していると誤解し、架空の仮想通貨や投資商品に資金を投入してしまうのです。

海外では数千万ドル規模の被害が確認されており、今後も増加が予測されています。特にSNS広告や動画サイトでの拡散が容易なため、一般消費者も注意が必要です。

ディープフェイク被害の防止対策

ディープフェイクによる被害を防ぐには、技術的な対策と人の意識の両面が必要です。そこで、ディープフェイク被害の防止対策を4つ紹介します。

  1. 検出ツールの導入
  2. ダブルチェック
  3. セキュリティリテラシーの向上
  4. 社員教育

組織として多層的に備え、ディープフェイクによる被害を防止しましょう。

検出ツールの導入

ディープフェイクの被害を防ぐ第一歩は、検出ツールの導入です。

現在は映像や音声の微細な違和感をAIが解析し、改ざんを特定できる技術が開発されています。人間の目や耳では見抜けないケースでも、ツールを使えば判別できる可能性が高まります。

ただし、ディープフェイク自体の精度が進化しているため、検出ツールも常に最新のものへの更新が不可欠です。導入したからといって対策を終わらせず、継続的に運用していく姿勢が求められます。

ダブルチェック

ディープフェイクに対抗するには、人による確認体制も欠かせません。チェック体制を社内ルールとして明文化することも、効果的な対策の一つです。特に、金銭や機密情報が絡むやり取りでは、必ず複数人によるダブルチェックの徹底が有効です。

例えば上司からの緊急依頼や取引先からの送金要請があった場合、一人で判断せず別ルートで真偽を確かめる仕組みを構築しましょう。技術的な防御と組み合わせることで、より確実にリスクを減らせます。

社員教育によるセキュリティリテラシーの向上

社員一人ひとりの「情報を見抜く力」を高めることが、ディープフェイク対策の最も重要な鍵となるため従業員教育も重要です。

ディープフェイクの危険性を自分ごととして認識してもらうために、単なる座学ではなく実際の偽動画や音声を体験する研修が効果的です。

ディープフェイクを正しく理解し対策を行おう

ディープフェイクが悪用された場合の被害を防ぐには、セキュリティ対策が欠かせません。特に、実際にデバイスを操作する社員に対する教育が重要です。

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