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BCPのマニュアルを作ろう!策定の手順と知っておきたい3つのポイント


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2011年3月に発生した東日本大震災
この地震は多くの企業に打撃を与え、現在までに約2000社が震災の影響を受けて倒産したとされています。

こうした災害の影響を最小限に抑えるためには、事業を早期に回復させるためのマニュアルをあらかじめ作っておくことが必要。そこで重要になってくる考え方が、BCP(事業継続計画)です。

BCPとはどのようなものなのか、そしてマニュアル策定のポイントは何なのかを紹介します。

※「まもりの種」は保護(まもる)くんの日本パープルが運営しております。

BCP(事業継続計画)とは?

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BCP(事業継続計画)とは、災害が発生した際に

事業を継続する
早期に復旧する

この2つを実現させるための方法や手段をまとめた計画のことです。防災対策と間違えられやすいのですが、「事業の継続」を主な目的にしている点が防災対策と大きく異なるところです。

BCPが目指すのは、災害時における素早く的確な行動

前の章の最後にも触れましたが、BCPを策定する目的は、災害時に素早く的確な行動をとって事業を継続させることにあります。

BCPの策定をしていないと、突然の災害に襲われたときの対応が遅くなってしまうもの。事業の縮小によって業績が悪化すれば、社員の解雇や、最悪の場合倒産につながってしまうかもしれません。

事前にBCPを策定していれば、事業の継続・復旧を早期に実現し、会社としての損害を最小限に抑えることができます。また、株主や市場、顧客からの信頼が増し企業価値の向上にもつながるのです。

BCP策定は義務なのか?

現時点では、BCPは法律や条例では義務づけられていません。しかし、災害に対して準備不足で、従業員が安全・健康に働く配慮ができていなかったと判断されれば、安全配慮義務違反で訴訟が起きることもあるでしょう。

また、取引先との契約を達成できなければ違約金が発生してしまうこともあるかもしれません。したがって、義務化はされていなくともBCPを策定しておくことは非常に重要なのです。

手順①リスクの洗い出し

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続いては、BCP策定のための具体的な手順を紹介します。

まずは、企業にとってのリスクは何なのか「リスクの洗い出し」をします。ここで重要なのは、リスクを漏れなく書き出すこと。あくまで一例ですが、参考までにどのようなリスクがあるのかを示しておきます。

①自然災害リスク
地震、台風、大雨(ゲリラ豪雨ほか)、洪水、落雷、竜巻など
②事故リスク
火災、爆発、漏水、環境汚染、自動車事故、機器・設備の故障、停電、断水、通信障害など
③オペレーションリスク
機械の操作ミス、受注ミス、誤配送、商品の瑕疵、コンピュータへの入力ミス、クレーム対応の失敗など
④情報セキュリティリスク
コンピュータの停止、重要データの喪失、個人情報の漏洩、コンピュータウイルス・ハッカーなどの攻撃など
⑤法務リスク
製造物責任(PL)、知的財産権の侵害および被侵害、優越的地位の濫用(取引先などへ不当に不利益を与える行為)、不適切な景品表示(誤認を与える広告・宣伝)など
⑥不正・内部統制リスク
役職員の不正、架空計上、粉飾決済、資産運用の失敗、インサイダー取引、贈収賄行為、反社会勢力との関係(暴力団対策法、暴力団排除条例への違反)など
⑦政治・経済リスク
戦争・革命・騒擾(そうじょう)、テロ、法律・制度などの変更、金利・為替変動、競合他社の台頭、技術の陳腐化、協力企業の不足など
⑧人事・労務リスク
人材の過不足、有能な人材の流出、社員の士気低下、人権侵害、雇用差別、不法就労、セクハラ・パワハラ、労使紛争・ストライキなど
⑨労働安全衛生リスク
感染症・伝染病、労働災害、過労、ストレス、メンタルヘルスなど

出典:『BCP(事業継続計画)入門』長内健・片山英二・服部誠・安倍嘉一著

手順②リスクに優先順位をつける

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洗い出したリスクすべてに対して対処するのは難しいもの。限られたリソースの中で効果的な対処をするために、「リスクに優先順位をつけ」て、優先順位の高いリスクに絞ってBCPを策定するようにしましょう。

優先順位をつけるときのポイントは「頻度」「重要度」。そのリスクがどれ程発生する可能性があるのか、そして、実際に起きたときに企業にどれほどの損失を与えるのかという2軸で総合的に判断することが大切です。

手順③3つのフェーズに分けて具体的な内容を決めていく

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最後は、「復旧までのフェーズごとにBCPの細かい内容を策定」していきましょう。災害が起きた際、事業を本来の状態に戻すまでには次の3つのフェーズを経ることになります。

フェーズ1「現状把握」

最初のフェーズでは、どのような被害があるのか「現状を把握」するようにしましょう。現状を理解することで、事業を継続するのに不足しているものが何か分かるからです。

どのような連携の仕方をして情報共有していくのか、部署を超えた協力体制を整えるようにしましょう。

フェーズ2「代替・移行」

フェーズ2では、業務を担当者以外が引き継げる状態にしたり、不足している設備やネットワークを「代替・移行」する仕組みを整えたりします。

被害が大きい場合でも、人や設備の代わりがある状態を作っておくことによって、通常に近い業務を行えるようになるもの。事前に業務に必要な資材や設備を把握し、その代替手段を取りまとめておくようにしましょう。

フェーズ3「復旧」

最終段階では、災害によって被害を受けた部分を「復旧」していく仕組みを整えます。

会社施設や設備といった物理的な復旧と、ネットワークなどの技術的な復旧をすることで、徐々に本来の業務へと戻していけるもの。本来の設備やネットワークがどういったものだったのかを、納品書や契約書で確認できるようにしておきましょう。

作っただけで満足しない!BCPを活かすための3つのポイント

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ここまで、BCP策定の手順を紹介してきました。最後に、BCPを機能させるための3つのポイントとなることを紹介していきます。

1.BCPは中核事業に絞る

BCP策定の手順の中でも説明しましたが、BCPを実施する対象は、収益の多くを占める「中核事業に絞る」ようにしましょう。

策定範囲を中核事業に絞ることは、収益面の安定性と復旧の効率性の向上に繋がります。したがって、事業数の多い企業であればあるほど見極めが重要なポイントだと言えるでしょう。

2.社員の具体的な行動を明確に決めておく

続いてのポイントは、「社員の具体的な行動を明確に決めておく」ことです。

いくらBCPを策定しても、内容が抽象的すぎるものになっていると「結局のところどう動けばいいの?」と、社員は困惑してしまうもの。「〇〇のケースはこう動く」など、ケースに応じて社員の具体的な行動を促す内容にしましょう。

3.全社員の理解と訓練を徹底する

策定したBCPを無駄にしないためにも、役職に関係なく「全社員の理解と訓練を徹底」しましょう。

文書化し、誰でもアクセスできる状態にしておくことでBCPが社員に浸透。そして、災害を想定した訓練を行うことによって、社員が冷静に対処できる状態を実現できるのです。

BCPがない企業は、今すぐ策定に向けてう動き出そう!

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企業は想定していなかった災害に見舞われると、機能不全に陥ってしまいます。東日本大震災がまさにそうでした。

非常事態が起きた時に冷静に対処し事業を継続させるためには、BCPをしっかりと策定し、社員に浸透させておく必要があります。社内にBCPがない場合は、これを機にマニュアルを策定し、災害に負けない強い企業作りをしてみてはいかがでしょうか。