2026年7月29日情報セキュリティ

上場準備・IPOでISMSやPマークは必要?取得タイミングと準備のポイント

上場準備・IPOでISMSやPマークは必要?取得タイミングと準備のポイント
上場準備やIPOを進める中で、ISMSやPマークをいつ取得すべきか迷っていませんか。主幹事証券会社や監査法人による審査対応、内部管理体制の整備、取引先からの確認が増える中で、「今の段階で取得が必要なのか」「費用や期間はどのくらい見ておくべきか」と悩まれる担当者の方も多いのではないでしょうか。
ISMS(ISO/IEC 27001に基づく情報セキュリティマネジメントシステムの認証制度)は情報セキュリティ管理体制を示す認証で、Pマーク(JIS Q 15001に基づくプライバシーマーク制度)は個人情報保護体制を示す制度です。上場審査において、これらの認証取得そのものが一律の条件になるわけではありませんが、内部管理体制の一部として、情報管理や個人情報保護の体制を対外的に説明する手段として検討されることがあります。
この記事では、上場準備・IPOでISMSやPマークを検討する理由、取得タイミング、期間・費用の目安、支援サービスについて解説します。情報管理体制の整備を進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • ・上場準備・IPOでISMSやPマークを検討する理由
  • ・上場準備でISMSやPマークが必要になるケース
  • ・取得を検討するタイミング
  • ・ISMSとPマークの選び方
  • ・取得期間・費用の目安と支援サービスの活用ポイント

上場準備・IPOでISMSやPマークを検討する理由

上場準備・IPOでISMSやPマークを検討する理由
上場準備では、事業成長だけでなく、内部管理体制や情報管理の仕組みを整えることが求められます。ISMSやPマークは、その体制を外部に説明しやすくする認証・制度です。まずは、上場準備の中で検討される背景を押さえておきましょう。

内部管理体制の整備

上場準備では、経理、法務、人事、情報システム、情報管理など、社内の管理体制を整える必要があります。情報セキュリティや個人情報保護のルールが曖昧なままだと、業務の属人化や管理漏れが起こりやすくなります。
ISMSやPマークの取得準備では、情報の取り扱いルール、責任者、教育、監査、改善の流れを見直すことになります。ただし、認証取得そのものが目的ではありません。規程が存在していても、従業員に周知されていなかったり運用記録が残っていなかったりすると、審査対応で手戻りが発生します。認証取得を検討する前に、情報資産の管理方法、個人情報の取り扱い、アクセス権限、委託先管理、事故発生時の対応、従業員教育といった土台を確認し、上場後も継続して運用できる仕組みとして整えることが大切です。

取引先や投資家に説明できる体制づくり

上場準備中の企業は、取引先、金融機関、証券会社、監査法人などから管理体制を確認される機会が増えます。特に、顧客データや機密情報を扱う企業では、情報を安全に取り扱っていることを説明できる状態が求められます。また、上場後は有価証券報告書やコーポレートガバナンス報告書等を通じて情報セキュリティ・個人情報保護への取り組みを開示する場面もあり、投資家に対する説明材料としての意味合いも持ちます。
ISMSやPマークは、社内ルールだけでは伝わりにくい管理体制を、第三者認証や制度を通じて説明する手段になります。SaaS、BPO、人材、医療、教育、ECなど、情報管理が信頼に関わる事業では、認証取得が取引先への説明材料になることがあります。

個人情報・機密情報の管理

上場準備では、顧客情報、従業員情報、取引先情報、財務情報、契約情報、事業計画など、多くの重要情報を扱います。情報が複数部署に分散している場合、誰が管理し、どのように保管・利用・廃棄するのかを明確にしておく必要があります。
個人情報の取り扱いが多い企業ではPマーク、情報資産全般を管理したい企業ではISMSが検討対象になります。上場準備の過程で情報管理を後回しにすると、規程整備や教育、運用記録の準備に時間がかかります。早い段階で現状を確認し、不足している管理体制を補うことが重要です。

ISMSやPマークは上場準備で必須か

ISMSやPマークは、上場準備を進めるすべての企業に一律で求められるものではありません。ただし、事業内容や取引先要件によっては、取得を検討した方がよいケースがあります。必要性を判断する際は、認証名だけでなく、自社に必要な管理体制から考えることが大切です。

必須ではないケース

上場準備やIPOの過程で、ISMSやPマークの取得が必ず求められるとは限りません。上場審査では、企業の事業内容や規模に応じて内部管理体制の整備・運用状況が確認されますが、特定の認証取得そのものが一律の条件になるわけではありません。
そのため、認証を取得していないから上場準備が進められない、と考える必要はありません。まずは、自社の情報管理体制が整っているか、個人情報や機密情報を適切に扱えているかを確認します。そのうえで、外部への説明や取引先対応に必要な場合、ISMSやPマークの取得を検討するとよいでしょう。

取得を求められるケース

ISMSやPマークは、上場審査のためだけでなく、取引先や事業上の要件として求められることがあります。たとえば、大企業や官公庁との取引、システム開発、クラウドサービス、個人情報を扱う業務委託では、情報管理体制の証明として認証取得を求められる場合があります。
上場準備中は、事業拡大に伴って取引先の審査が厳しくなることもあります。取引先から「ISMS取得済み」「Pマーク付与事業者」などの条件を提示された場合、取得までの期間を踏まえて早めに準備する必要があります。IPO準備と取引先対応が重なる企業では、優先度が高くなります。

確認項目見るべき内容認証取得との関係
情報資産の管理重要情報の所在、管理者、保管方法ISMS取得準備で整理が必要
個人情報の取り扱い取得、利用、保管、委託、廃棄の流れPマーク取得準備で確認される
社内規程情報管理や個人情報保護に関するルール認証審査時の確認対象になる
教育・監査従業員教育、内部監査、改善の記録継続運用を示す材料になる

取得を検討するタイミング

取得を検討するタイミング
ISMSやPマークの取得は、思い立ってすぐに完了するものではありません。規程整備、教育、運用、内部監査、審査対応まで一定の時間がかかります。上場準備の段階に合わせて、どの時期に検討を始めるべきか見ていきましょう。

N-3期からN-2期の体制整備

上場準備では、上場申請期をN期とし、その前の時期をN-1期、N-2期、N-3期と呼ぶことがあります。ISMSやPマークの取得を検討するなら、N-3期からN-2期の体制整備段階で情報管理の現状を確認しておくと準備を進めやすくなります。
この時期は、社内規程や業務フロー、権限管理、委託先管理などを見直しやすい段階です。認証取得をすぐに決めない場合でも、必要な規程や運用記録を整えておくことで、後から取得を進める際の負担を減らせます。IPO準備が本格化する前に、情報管理の土台を作ることが重要です。

N-1期の審査対応前

N-1期は、上場申請に向けた審査対応や内部管理体制の確認がより具体化する時期です。この段階で情報管理体制に不足が見つかると、規程整備や教育、運用記録の準備に追われることになります。
ISMSやPマークを取得する場合は、審査日程や運用実績の準備も考慮する必要があります。N-1期に入ってから慌てて着手すると、IPO準備の他業務と重なり、担当者の負担が大きくなります。取得を検討している企業は、N-2期までに方針を決め、N-1期では運用と審査対応に集中できる状態を目指しましょう。

時期主な検討内容進め方の目安
N-3期情報管理体制の現状確認規程や管理ルールの不足を洗い出す
N-2期取得方針と対象範囲の決定ISMS・Pマークの必要性を判断する
N-1期運用記録と審査対応教育、内部監査、改善を進める
上場申請前対外説明に必要な資料確認取得状況や管理体制を説明できる状態にする

ISMSとPマークの選び方

ISMSとPマークは、どちらも情報管理体制を示す制度ですが、対象範囲が異なります。上場準備で取得を検討する際は、自社の事業内容や扱う情報、取引先から求められる内容をもとに判断します。

ISMSが向いている企業

ISMSは、個人情報だけでなくシステム情報、技術情報、営業情報、契約情報、業務データなど、情報資産全般を管理する仕組みを整えたい企業に向いています。SaaS、クラウドサービス、システム開発、BPO、情報処理、金融関連サービスなど、取引先から情報セキュリティ体制を確認される場面が多い業種で検討されます。

Pマークが向いている企業

Pマークは、顧客情報、会員情報、応募者情報、従業員情報、問い合わせ情報など、個人を識別できる情報を多く扱う企業に向いています。人材、教育、医療、EC、コールセンター、会員制サービスなど、個人情報の取り扱いが事業上の信頼に直結する業種で検討されます。上場準備中に事業規模が拡大すると、個人情報の取得件数や委託先も増えるため、Pマークを通じて管理体制を整えることが有効です。

両方を検討するケース

クラウドサービスを提供しながら個人情報を多く扱う企業など、情報セキュリティ全般と個人情報保護の両方を示す必要がある場合は、両方の取得を検討することもあります。ただし、同時に取得を進めると担当者の負担や費用が大きくなります。上場準備中は他の業務も多いため、直近の取引先要件、審査対応、社内体制をもとに優先順位を決め、段階的に進めることで無理のない運用につながります。

判断軸ISMSPマーク
主な対象情報資産全般個人情報
向いている企業IT、SaaS、クラウド、BPO、情報処理人材、教育、医療、EC、会員制サービス
上場準備での役割情報セキュリティ体制の説明個人情報保護体制の説明
検討のポイント機密情報やシステム情報の管理範囲個人情報の取得・利用・委託・廃棄の流れ

取得期間・費用と準備の進め方

取得期間・費用と準備の進め方
ISMSやPマークの取得には、一定の期間と費用がかかります。上場準備では、ほかの審査対応や社内体制整備と同時に進むため、早めの計画が重要です。取得期間、費用、外部支援の使い方を確認しておきましょう。

取得期間の目安

取得期間は組織規模、対象範囲、既存の管理体制、担当者の経験によって変わりますが、一般的には、ISMSは規程整備から審査完了まで半年から1年程度、Pマークは4か月から8か月程度が目安とされています。規程が整っている企業では準備を進めやすい一方、初めて認証取得に取り組む企業では体制づくりから始める必要があり、より長い期間を見込んでおくと安心です。
上場準備中は他の業務も多いため、短期間で取得しようとすると担当者に負担が集中します。IPO準備のスケジュールに合わせ、早い段階で取得方針を決めることが大切です。

費用の主な内訳

ISMSやPマークの費用は、審査費用や登録費用だけで判断できません。社内担当者の工数、規程整備、従業員教育、内部監査、セキュリティ対策の見直し、外部支援費用なども含めて考える必要があります。審査・登録費用そのものは組織規模によって数十万円程度から、外部コンサルティングを利用する場合は規模や支援範囲に応じて百万円を超えることもあり、金額には幅があります。正確な見積もりは、認証機関や支援事業者に自社の規模・対象範囲を伝えたうえで確認することをおすすめします。

費用項目内容
審査・登録費用認証機関や制度の審査・登録にかかる費用
社内対応工数担当者の準備、文書作成、教育、監査対応にかかる時間
運用整備費用アクセス管理、教育、規程整備などの見直し費用
外部支援費用コンサルティングや取得支援を依頼する場合の費用

費用を見る際は、外部へ支払う金額だけでなく、社内の作業負担も含めて考えましょう。上場準備中は担当者の時間が限られるため、費用と工数の両方を比較することが重要です。

上場準備から逆算した計画

ISMSやPマークの取得を検討する場合は、上場申請の時期だけでなく、取引先対応や社内体制整備の予定も踏まえて計画を立てます。取得が必要になってから動くのではなく、いつまでに何を整えるかを決めておくことが大切です。
まずは、現在の情報管理体制、個人情報の取り扱い、委託先管理、社内規程の整備状況を確認します。そのうえで、取得対象となる部門や業務範囲、担当者、審査までの流れを決めます。上場準備の他業務と重ならないように計画することで、無理のない取得準備につながります。

相談できる支援サービス

コーチマモル(Coach MAMORU)は、ISMSやプライバシーマークの取得・更新を支援するサービスです。上場準備・IPOに向けて、どちらの認証を優先すべきか、取得までにどのような準備が必要かを相談できる点が特徴です。
弊社では、情報セキュリティ分野に精通したコンサルタントが、企業の実態や要望に合わせて取得準備を支援します。社内に認証取得の経験者がいない場合や、上場準備と並行して進めたい場合は、早めに相談することで、必要な作業やスケジュールを具体化できます。

上場準備とISMS・Pマークのよくある質問

上場準備でISMSやPマークを検討する際は、必ず必要なのか、いつ取得すべきか、両方取得した方がよいのかといった疑問が出やすいです。最後に、IPO準備中の企業が確認しておきたい内容を紹介します。

上場準備でISMSやPマークは必ず必要ですか?

ISMSやPマークは、上場準備中のすべての企業に必ず必要な認証ではありません。上場審査では内部管理体制や情報管理体制が見られますが、特定の認証取得が一律で求められるわけではありません。
ただし、情報セキュリティや個人情報保護の体制を対外的に示したい場合、取引先から取得を求められている場合は、取得を検討する価値があります。必要性は、事業内容、扱う情報、取引先要件をもとに判断しましょう。

どのタイミングで取得を検討すべきですか?

ISMSやPマークの取得を検討するなら、N-3期からN-2期の体制整備段階で現状確認を始めると、準備期間を確保しやすくなります。N-1期に入ると、審査対応や内部管理体制の整備が本格化するため、認証取得の準備に十分な時間を取りにくくなります。
取得を急ぐと、規程作成や教育、運用記録の準備が短期間に集中します。早い段階で必要性を判断し、取得する場合は対象範囲や担当者を決めておくと、上場準備と並行して進めやすくなります。

上場準備中に両方取得すべきですか?

ISMSとPマークの両方を取得すべきかは、事業内容や取引先要件によって異なります。情報資産全般を管理する必要がある企業ではISMS、個人情報の取り扱いが多い企業ではPマークが候補になります。
クラウドサービスを提供しながら個人情報を多く扱う企業などでは、両方を検討するケースもあります。ただし、同時取得は費用や社内負担が大きくなるため、取得期限、取引先要件、社内体制をもとに優先順位を決めることが大切です。

まとめ | 上場準備に合わせて必要な情報管理体制を整えよう

上場準備・IPOの過程で、ISMSやPマークが一律で必須になるわけではありません。しかし、内部管理体制や情報管理体制を整え、取引先や関係者に説明できる状態を作るうえで、取得を検討する価値があります。ISMSは情報資産全般、Pマークは個人情報保護体制を示す制度です。
取得を検討する際は、上場準備の進行状況、取引先要件、扱う情報、社内体制をもとに判断しましょう。N-3期からN-2期で現状を確認し、必要に応じてN-1期前までに方針を決めておくと、IPO準備と並行して進めやすくなります。
弊社では、ISMSやプライバシーマークの取得・更新に関する相談を受け付けています。上場準備に合わせて情報管理体制を整えたい方は、一度確認してみてください。

カテゴリー:情報セキュリティ
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