マイナンバー書類はいつ廃棄する?保存期間・処分方法・廃棄記録を解説
退職した従業員のマイナンバーが記載された書類は、いつ廃棄すればよいのでしょうか。扶養控除等申告書や番号確認のために受け取った書類が保管庫に残っているものの、保存期間が分からず、処分をためらう企業もあるでしょう。廃棄する際も、シュレッダーで十分なのか、外部業者に依頼するなら何を確かめるべきか迷うところです。
マイナンバーを含む書類は、利用する事務が不要になり、法令で定められた保存期間も経過した場合、できるだけ速やかに廃棄または削除する必要があります。ただし、書類によって保存期間や起算日が異なるため、従業員の退職後すぐにすべてを処分できるわけではありません。復元できない方法で処理し、廃棄した経緯を記録に残すことも重要です。
この記事では、マイナンバー書類の廃棄時期と保存期間、廃棄対象の決め方、復元できない処分方法を解説します。さらに、廃棄記録や処理証明書の扱い、外部委託時の注意点、法人向けサービスの選び方も紹介します。マイナンバー書類を適切に処分したい総務・人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- マイナンバー書類の廃棄時期と書類別の保存期間
- 廃棄対象の決定から承認までの手順
- 復元できない処分方法と廃棄記録の残し方
- 外部委託時の注意点と法人向けサービスの選び方
マイナンバー書類の廃棄時期と保存期間
マイナンバーは、税や社会保障など、法律で認められた事務のために取り扱う情報です。個人番号を含む個人情報は「特定個人情報」と呼ばれ、通常の個人情報に加えて、番号法による保管制限が設けられています。古い書類だからという理由だけで処分せず、利用する事務が残っているか、法令上の保存義務があるかをそれぞれ確認することが重要です。
利用事務の終了と保存期間の満了
個人情報保護委員会の事業者向けガイドラインでは、マイナンバーを利用する事務が不要になり、法定保存期間も経過した場合、できるだけ速やかに廃棄・削除することを求めています。退職者の書類でも、税務上の保存義務が残っていれば処分できません。また、給与や社会保険など複数の事務で同じ個人番号を利用している場合は、すべての利用目的について保管の必要がなくなったかが判断のポイントになります。
一方、本人確認のために受け取ったマイナンバーカードの写しなどは、法令上の保存義務がありません。本人確認の記録として保管することはできますが、必要な手続が終わり、保管する理由がなくなった段階で速やかに廃棄します。
なお、保存期限を迎えた当日に必ず処分する必要はありません。個人情報保護委員会は、安全性や事務効率を踏まえ、年度末にまとめて廃棄する運用も事業者の判断に委ねています。
参考:個人情報保護委員会「事業者向けガイドライン」/本人確認書類の写しに関するFAQ
扶養控除等申告書などの保存期間
マイナンバーが記載された書類の保存期間は一律ではありません。例えば、扶養控除等申告書は原則7年間の保存が必要ですが、起算日は従業員の退職日ではなく、申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日です。書類を受け取った日から7年を数えるわけではないため、廃棄候補を抽出する際には注意してください。
また、2026年1月1日以後に支払を受けるべき確定拠出年金の老齢一時金に係る「退職所得の受給に関する申告書」は、保存期間が10年間となっています。通常の退職手当等に関する申告書まで、一律に10年へ変更されたわけではありません。
| 書類・情報の例 | 保存期間の考え方 |
|---|---|
| 扶養控除等申告書 | 提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から原則7年間 |
| 退職所得の受給に関する申告書 | 原則7年間。2026年1月1日以後に支払を受けるべき確定拠出年金の老齢一時金に係るものは10年間 |
| 本人確認のために取得したマイナンバーカードの写し | 法定保存義務なし。本人確認等のために保管する必要がなくなれば速やかに廃棄 |
社会保険関係などの書類には、別の法令に基づく保存期間があります。また、個人番号を記載しない申告書に対応する番号管理用の帳簿を備えている場合は、その帳簿についても保存義務を確認してください。人事関係書類の保存期間は、「人事書類の保管方法は?保存期間一覧や履歴書の管理・廃棄を解説」も参考にしてください。
参考:国税庁「No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間」
マイナンバー書類を廃棄する前の手順
廃棄時期の判断ができても、保管庫にある書類をそのまま一括処分するのは避けたいところです。同じ従業員に関する資料でも、作成年や書類の種類、保存期間が異なるためです。必要な原本の誤廃棄を防ぐには、管理台帳と実際の保管物を照合し、処理対象を確定させる手順が欠かせません。担当者だけで判断せず、社内の取扱規程に沿って進めることが大切です。
廃棄候補の抽出と保管物の照合
人事・総務部門などで管理している台帳から、保存期限を迎えた書類を抽出します。そのうえで、保管箱やファイルに付けた管理番号を照合し、書類の種類、対象年度、保管場所、数量が一致しているかを調べてください。通常の人事書類とマイナンバー書類を同じ箱に保管している場合は、箱の表示だけで判断せず、中身を確かめる必要があります。
照合作業では、管理台帳に記載された書類が実際に存在するか、台帳にない書類が混ざっていないかも調べましょう。対象書類が複数の拠点に分かれている場合は、各拠点の管理番号を使って一覧化すれば、拠点をまたいだ照合も漏れなく進められます。作業後は、廃棄候補の書類名、管理番号、数量を一覧にまとめ、責任者へ引き継ぎます。
廃棄対象の確定と責任者の承認
廃棄候補の一覧ができたら、社内の取扱規程に沿って、マイナンバー取扱事務の責任者などが対象を確定します。事前承認の方法は法律で一律に決まっているわけではないため、自社の管理体制に合わせて定めておきましょう。保存義務の有無や廃棄の可否に疑問が残る書類は、根拠を調べてから判断することが大切です。
承認時には、書類全体を廃棄するのか、個人番号部分だけを削除して残りを保管するのかも決めます。対象となる書類の管理番号と数量、承認者、承認日を残しておけば、処理担当者へ指示を伝える際にも役立つでしょう。判断に迷う場合は、経理部門や顧問税理士など、書類の保存義務に詳しい担当者へ相談してください。
マイナンバー書類の廃棄・削除方法
廃棄対象が確定したら、個人番号を復元できない状態にする必要があります。書類を数回破いたり、ごみ袋に入れたりするだけでは、記載内容を読み取られるおそれが残ります。社内で処理するか、専門業者へ依頼するかによって作業方法は変わりますが、重要なのは処理後に元の情報を取り出せないことです。代表的な廃棄方法と、番号部分だけを削除する場合の注意点を紹介します。
復元できない細断処理
社内で少量のマイナンバー書類を廃棄する場合は、復元できない程度に細かく裁断できるシュレッダーを使用します。個人情報保護委員会も、特定個人情報を含む書類の廃棄方法として、復元不可能な程度の細断を挙げています。ただし、すべてのシュレッダーで十分な処理ができるわけではありません。細断後の紙片から番号を判読したり、元の状態に復元したりできない処理方法を選ぶ必要があります。
作業中は、未処理の書類と処理済みの紙片を混在させないようにしましょう。細断くずの回収や廃棄まで含めて管理し、処理途中の書類を机の上などに放置しないことも大切です。大量の書類を処分する場合は、社内の設備で確実に処理できる量かどうかを見極めてください。個人情報を含む書類全般の廃棄方法は、「個人情報を含む書類の廃棄方法は?」で詳しく解説しています。
溶解・焼却による機密処理
溶解処理は、書類を水中でほぐして紙の繊維に分解し、記載内容を読み取れない状態にする方法です。焼却処理では、書類を燃やして元の情報を復元できない状態にします。どちらも個人情報保護委員会が示す廃棄方法の例であり、大量の紙書類をまとめて処分する場合にも利用されています。
社内で溶解や焼却を行うための設備がない場合は、専門業者へ処理を依頼する方法があります。業者によって、回収した書類を未開封のまま溶解する方式や、大型設備で破砕してから再資源化する方式など、処理の流れは異なります。機密性だけでなく、書類の量や処理施設での取り扱いも踏まえ、自社の条件に合う方法を選びましょう。
個人番号部分の削除と書類の継続保管
書類の内容は残したいものの、個人番号を保管する必要がなくなった場合は、番号部分を復元できないように削除し、残りを保管する方法があります。個人情報保護委員会の事業者向けガイドラインでも認められている方法です。付箋を貼る、薄く塗りつぶすといった方法では番号を読み取れるおそれがあるため、確実に復元できない処理を行います。
ただし、法令で原本の保存が義務付けられている期間は、書類をそのまま保存する必要があるため、番号部分だけを削除することはできません。番号部分の削除は、保存期間の経過後に行うものと考えてください。番号部分を削除した後も、残る書類に氏名などの個人情報が含まれる場合は、引き続き適切に管理してください。
参考:国税庁「源泉所得税関係に関するFAQ」
マイナンバー書類の廃棄記録と証明書
マイナンバー書類を廃棄した後は、処理の経緯をたどれるよう記録を残します。個人情報保護委員会の事業者向けガイドラインでは、個人番号の削除や媒体の廃棄について記録を保存し、外部委託時には処理が行われたことを証明書などで確かめるよう求めています。社内の廃棄記録と委託先の処理証明書は役割が異なるため、それぞれの内容を押さえておきましょう。
社内の廃棄記録に残す項目
廃棄記録では、どの書類を、誰の責任で、いつ、どのような方法で処理したかが分かることが大切です。個人情報保護委員会は、特定個人情報ファイルの種類・名称、責任者・取扱部署、削除・廃棄状況などを記録する例として挙げています。実務では、書類の管理番号や数量、処理日なども組み合わせると、後から処理の経緯を正確にたどれます。
| 記録項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 廃棄対象 | 書類名、対象年度、社内管理番号 |
| 責任者・担当部署 | 人事部、承認者、処理担当者 |
| 廃棄日・処理方法 | 実施日、細断・溶解などの処理方法 |
| 処理状況 | 箱数、数量、完了状況、委託先名 |
廃棄記録にマイナンバーそのものを記載しないことも重要です。個人番号を記録へ転記すると、廃棄後も特定個人情報を保有することになります。書類名や社内管理番号を使い、対象を区別できるようにしてください。
参考:個人情報保護委員会「個人番号を削除した場合の記録に関するFAQ」
外部委託時の処理証明書
外部業者が発行する処理証明書は、回収した機密文書の処理が完了したことを確かめるための資料です。受領時には、処理事業者名、処理日、処理方法、対象の箱数や受付番号などを確認してください。証明書の様式や記載項目はサービスによって異なるため、契約前に見本を確認しておくと社内記録との照合方法を決められます。
注意したいのは、証明書が示す範囲です。箱単位の処理完了を証明していても、中に入れた書類1件ずつの廃棄まで証明しているとは限りません。委託前に箱番号と対象書類の一覧を対応付け、処理完了後に社内台帳へ記録しましょう。Webから証明書を取得するサービスでは、閲覧期限内に保存しておくことも大切です。証明書の確認ポイントは、「機密文書の廃棄証明書とは?」でも解説しています。
マイナンバー書類の外部委託と業者選び
大量のマイナンバー書類を社内で処理しきれない場合は、機密文書処理の専門業者への委託が選択肢になります。ただし、書類を引き渡せば管理が終わるわけではありません。回収から最終処理までの安全性や契約条件を踏まえ、信頼できる業者を選ぶ必要があります。社内で発生する書類の量や回収頻度に合うかどうかも含めて、委託先を検討しましょう。
委託先・再委託先の安全管理
特定個人情報を扱う事務を委託する場合、委託元には、委託先で必要な安全管理措置が講じられるよう監督する義務があります。書類の廃棄を依頼する際も、回収時の管理方法、運搬中の安全対策、処理施設の入退室管理などを確かめてください。契約内容には、秘密保持、事故発生時の連絡、書類の取扱範囲などを盛り込むことが大切です。
また、委託業務の全部または一部が番号法上の個人番号関係事務等の再委託に該当する場合は、番号法第10条に基づき、最初の委託者の許諾が必要です。書類の回収や処理に別の事業者が関わる場合も、委託する業務の範囲と再委託の有無を調べ、契約条件に反しないようにしましょう。プライバシーマークなどの認証は参考になりますが、認証だけで委託先の安全性を判断しないことも重要です。委託の流れや事前準備は、「機密文書の廃棄を委託するには?」も参考にしてください。
参考:個人情報保護委員会「再委託に関するFAQ」
回収方法・料金と利用条件
機密文書処理サービスには、専用の回収ボックスをオフィスに設置する方式や、段ボール箱に書類を詰めて必要なときに回収してもらう方式があります。日常的に書類を廃棄する企業と、保存期限を迎えた書類を年に数回まとめて処分する企業では、使いやすい方式が異なります。設置スペースや回収頻度も踏まえて選びましょう。
料金は箱単位の処理費用だけでなく、ボックスの設置費用、月額利用料、回収費用なども比較してください。また、対応エリアや1回の回収量、ホッチキスやバインダーの分別条件も利用前に確かめたい項目です。特にマイナンバー書類については、各社の受け入れ条件を確認し、特定個人情報の取扱いに関する契約内容を確認しておくことが大切です。
機密文書回収ボックス 保護くん(まもるくん)の活用
マイナンバー書類を含む機密文書の廃棄を委託するなら、当社の機密文書回収ボックス 保護くんをご活用いただけます。保護くんは、回収から運搬、処理までを当社が再委託せずに一社で行うため、委託先の管理を一元化できます。施錠式の専用ボックスは一度投入すると取り出せない構造で、交換時もボックスごと回収します。
回収した書類は、GPSを搭載した自社専用車両で運搬し、厳しい入退室管理を行う自社の処理施設で破砕した後、紙資源としてリサイクルします。処理は3営業日以内に行い、自社で処理するため、処理日を明記した機密抹消処理証明書を発行します。保存期限を迎えた書類をまとめて処分する場合は、段ボールごと処分できるキャビネットタイプの回収ツールもご用意しています。
マイナンバー書類の廃棄に関するよくある質問
マイナンバー書類の廃棄を進める際は、特定個人情報の範囲や廃棄記録の様式、システム上のデータの扱いについて迷うこともあるでしょう。本文で触れていない疑問を中心に、よくある4つの質問に回答します。
マイナンバーは特定個人情報ですか?
はい。番号法では、個人番号をその内容に含む個人情報を「特定個人情報」と定義しており、個人番号そのものも特定個人情報として扱われます。
そのため、番号だけを書き写したメモや一覧であっても、収集・保管・廃棄の制限や安全管理措置の対象になります。不要になったメモなども、マイナンバー書類と同じく復元できない方法で処分しましょう。
廃棄記録に決まった様式はありますか?
法令で定められた様式はありません。個人情報保護委員会は、削除・廃棄の記録として、特定個人情報ファイルの種類・名称、責任者・取扱部署、削除・廃棄状況などを記録する例を示しています。
本文で紹介した項目を参考に、自社の取扱規程に合わせて様式を定めましょう。記録に個人番号そのものを含めないよう注意してください。
システムに登録したマイナンバーはどう削除しますか?
給与システムなどに登録したマイナンバーも、保存期間を経過して利用する必要がなくなれば、できるだけ速やかに削除します。個人情報保護委員会のガイドラインでは、電子データを削除する場合、容易に復元できない手段を採用することが求められています。
システムの削除機能を使うだけでなく、バックアップデータや出力したファイルに番号が残っていないかも確認しましょう。削除した場合は、紙の書類と同様に削除の記録を残します。PCや記録媒体自体を廃棄する場合は、専用ソフトによるデータ消去や物理的な破壊などの方法を検討してください。
マイナンバー書類の廃棄を「外部業者」に委託することは「特定個人情報の提供制限」に違反しませんか? 違反にはなりません。
個人情報保護委員会のガイドラインにおいて、マイナンバーが記載された書類の廃棄委託は「個人番号の取扱いを伴わない廃棄作業の委託」として認められています。
ただし、委託元には「委託先の適切な監督義務」が課されるため、業者のセキュリティ体制や廃棄証明書の発行有無などを事前に確認することが重要です。 まとめ:マイナンバー書類は保存期間後に適切に廃棄
個人情報保護委員会のガイドラインにおいて、マイナンバーが記載された書類の廃棄委託は「個人番号の取扱いを伴わない廃棄作業の委託」として認められています。
ただし、委託元には「委託先の適切な監督義務」が課されるため、業者のセキュリティ体制や廃棄証明書の発行有無などを事前に確認することが重要です。
まとめ:マイナンバー書類は保存期間後に適切に廃棄
マイナンバーが記載された書類は、利用する事務が不要になり、法定保存期間も経過した場合、できるだけ速やかに廃棄・削除する必要があります。扶養控除等申告書などは原則7年間の保存が必要ですが、書類によって年数や起算日が異なるため、処分前に確認しましょう。廃棄対象を確定する際は、管理台帳と保管物を照合し、社内の取扱規程に沿って手続きを進めることが大切です。
処理には復元できない細断や溶解などの方法を用い、完了後は廃棄記録を残します。記録そのものに個人番号を記載しないこと、外部へ委託する場合は安全管理体制や処理証明書を確認することも重要です。
当社の保護くんでは、施錠式の専用ボックスで機密書類を回収し、再委託せずに自社施設で破砕処理を行っています。マイナンバー書類を含む機密文書の廃棄方法にお悩みの企業の方は、ぜひお気軽にご相談ください。