HDD(ハードディスク)の廃棄方法は?データ消去や安全な廃棄手順
近年は電子化が急速に進んでおり、クラウドや社内サーバーにデータを移管させる企業が増加しています。
その際に課題になるのが、不要になったHDD(ハードディスクドライブ)などのハード機器をどう処分するかです。企業情報や個人情報を保存していたHDDを無分別に処分してしまうと、重大な情報漏洩につながりかねません。
そこで本記事では、データ消去から処分方法まで安全なHDDの廃棄方法について詳しく解説します。
HDD(ハードディスク)の廃棄で大切なこと
HDDには日常的なファイルから機密性の高い情報まで多くのデータが保存されています。そのため、ただ廃棄するだけでは情報漏洩のリスクが残り、トラブルや被害につながる可能性があります。廃棄時には「情報を守るための注意点」を理解しておくことが欠かせません。
ここでは、特に意識しておきたいポイントを解説します。
個人情報の漏洩リスク
HDDには写真やメールだけでなく、住所・氏名・パスワードやクレジットカード情報といった機密性の高い個人情報が保存されています。これらが外部に漏洩すると、成りすましや不正利用、詐欺など深刻な被害につながる恐れがあります。
特に法人の場合は顧客情報や取引先データが含まれているケースも多く、情報漏洩は信頼失墜や損害賠償にも直結します。HDDを廃棄する前には、第三者に情報を抜き取られるリスクがあることを強く意識しておく必要があります。
データの完全消去の必要性
HDD内のファイルを単に削除したり初期化したりするだけでは、データは実際には残っており復元ソフトを使えば容易に取り出せてしまいます。そのため、確実にデータを消去するには、物理的にHDDを破壊するか、専用のデータ消去ソフトを使って複数回上書きするなど、復元不可能な状態にすることが必要です。
特に業務データや顧客情報を含むHDDでは、完全消去を行わずに処分すると大きなリスクにつながります。廃棄前の必須作業として「完全消去」を徹底することが求められます。
不適切な廃棄方法のリスク
HDDをデータ消去せずにそのまま不燃ごみやリサイクルに出してしまうのは非常に危険です。拾得した第三者によりデータを抜き取られ、不正利用や犯罪に悪用される可能性があります。また、リサイクル業者の中には適切な処理を行わず、情報が残ったまま転売されるケースもゼロではありません。
こうした不適切な廃棄は、個人だけでなく法人にとっても大きなリスクです。安心して処分するためには、必ずデータを消去した上で信頼できる処分ルートを選ぶことが重要です。
HDD(ハードディスク)の廃棄方法
HDDの処分方法はいくつかありますが、利用する環境や目的によって適切な方法は異なります。家庭での少量処分なら自治体やリサイクルBOXを活用できますが、企業や大量のHDDを扱う場合には業者への依頼も視野に入れる必要があります。
ここでは代表的な廃棄方法を紹介します。
小型家電回収BOX
自治体によっては、小型家電回収BOXが設置されている場合があります。HDDは小型家電に該当し、他にはUSBメモリやモバイルバッテリーなどが含まれます。小型家電にはレアメタルなどの有用金属が含まれていることから、リサイクルが推奨されています。
具体的な設置場所については、各自治体のホームページで確認することができます。
自治体
HDDは不燃ごみや資源ごみとして扱われ、大きさが30センチ以上の場合は、粗大ごみとして捨てることが可能です。前述した小型家電回収BOXがある自治体であれば、そちらを活用することもできます。
事前にデータを完全に消去し、各自治体のルールに従って適切な廃棄処分を行いましょう。
メーカーや量販店
パソコンに内蔵されているHDDは、メーカーに回収してもらうことが可能です。「PCリサイクルマーク」が付いている場合は、パソコンと一緒に無料で引き取ってもらうことができます。
家電量販店に行くと、パソコンの下取りを行ってくれます。パソコンの買い替えを検討している場合は、古いパソコンを持ち込み、HDDを廃棄してもらうという方法もあります。
不燃物
HDDは金属やプラスチックなどの燃えない素材で作られているため、多くの自治体では不燃ごみとして処分できます。ただし、サイズや部品の有無によって扱いが異なるケースもあり、30センチを超えるものは粗大ごみ扱いとなる場合もあります。
また、不燃ごみとして出す際には必ず事前にデータを完全に消去しておくことが重要です。自治体によっては不燃ごみとして回収できない地域もあるため、公式のごみ分別表やホームページで確認してから出すようにしましょう。
専門業者
HDDを確実かつ安全に処分したい場合は、専門業者への依頼が有効です。専門業者はHDDだけでなく、パソコンやサーバーなど他の電子機器もまとめて回収してくれるため、家庭だけでなく法人にとっても効率的な方法といえます。特に大量のHDDを一度に廃棄する場合や、機密情報を扱っている場合は、自力での処理よりも専門業者に依頼した方が安心です。
業者を選ぶ際には、必ず「一般廃棄物収集運搬業」や「産業廃棄物処理業」の許可を持っているかを確認しましょう。また、情報漏洩を防ぐために「プライバシーマーク」や「ISMS認証」を取得しているか、データ抹消証明書を発行してくれるかも重要な判断材料となります。
信頼できる業者に依頼すれば、輸送から廃棄処理まで一貫してセキュリティ管理が行われるため、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。法人に限らず個人でも安心して利用できる手段として有効です。
HDD(ハードディスク)のデータ消去方法
HDDを廃棄する際に最も重要なのは、内部のデータを確実に消去してから処分することです。ファイルの削除や初期化だけでは情報が残ってしまう場合があるため、確実性の高い方法を取る必要があります。
ここからは具体的な消去方法を3つに分けて解説します。
物理的に破壊
HDDを金槌で叩いたりドリルで穴を開けたりして内部のプラッタ(記録ディスク)を破壊する方法は、個人でも行える代表的なデータ消去手段です。費用をかけずに実行できるのが大きなメリットですが、完全に粉砕しなければ情報が残ってしまうリスクがあります。安全に処理するためには、厚手の布や新聞紙で覆って作業したり、保護メガネや手袋を着用するなどの対策も欠かせません。
少量のHDDを処分する個人利用には向いていますが、法人や大量のHDDを一度に廃棄する場合は効率面や安全面から業者依頼を検討するのが現実的です。
ソフトでデータ削除
「データ消去ソフトウェア」を利用すると、HDD内のデータに乱数を書き込み、複数回上書きすることで復元できない状態にできます。本体を再利用できるのが大きなメリットで、再販や社内での再利用を検討する場合に有効です。
市場には無料・有料どちらのソフトも存在しますが、安全性や操作性には差があります。無料ソフトは手軽に試せる一方で、上書き方式が限定されていたりサポートが十分でないケースもあります。有料ソフトは米国国防総省方式など国際規格に準拠した消去方式を備えているものもあり、法人利用でも安心です。
利用時には、OSやバージョンとの互換性を必ず確認し、できれば複数回の上書きを選択するのが望ましいです。操作に不安がある方や確実性を求める方は、後述の業者依頼も検討すると安心です。
専門業者へ依頼
HDDのデータを確実に消去したい場合、専門業者に依頼する方法が最も安心です。家電量販店やPCショップで有料サービスとして提供されていることもあり、個人でも比較的利用しやすいのが特徴です。
法人の場合は、セキュリティ輸送に対応しているか、データ抹消証明書を発行してもらえるかといった点を確認することが重要です。特に顧客情報や業務データを含むHDDを扱う際は、証明書の有無がコンプライアンス上の安心材料となります。
コストはかかりますが、その分情報漏洩リスクを大幅に下げられるため、重要なデータを扱っていたHDDを廃棄する場合には最も信頼できる方法といえます。
HDD(ハードディスク)の避けるべきデータ消去方法
一見効果がありそうに見えるものの、実際には安全性が確保できない方法も存在します。これらを試すとデータが残ってしまうだけでなく、機器の破損や事故につながる可能性もあるため注意が必要です。
ここでは避けた方がよい代表的な方法を紹介します。
水没させる
「水に浸せば壊れる」と考える方もいますが、HDDは乾燥させると再び動作する場合があり、データがそのまま残っているケースも少なくありません。内部のプラッタ(記録ディスク)が損傷しない限り情報は復元可能です。
むしろ湿気によってサビが進行し、取り出したときに読み込みエラーを起こすなど不安定になるだけで、完全な消去にはつながりません。確実に消したいなら水没は避け、適切な方法を選ぶべきです。
電子レンジにかける
「強い電磁波ならデータを消せるのでは」と思う方もいますが、電子レンジの仕組みは食品を温めるためのものであり、HDDの記録領域に影響を与えることはありません。
むしろスパークによる火災や電子レンジ自体の故障といった重大なリスクが伴います。結果としてデータは残ったまま、危険だけが増すため絶対に行うべきではありません。
データ消去から処分まで一貫して依頼できるおすすめサービス
HDDの処分にはさまざまな方法がありますが、特に法人や大量のHDDを抱える場合は、自己処分だけでは不安や手間が残るケースもあります。
そのようなときに頼れるのが、データ消去から廃棄処理まで一括対応してくれる専門サービスです。
そこで今回は、日本パープルの機密抹消サービスをご紹介します。本サービスは法人向けにデータの削除からHDDの処分まで一貫したサービスを提供しており、これまでに大手企業との取引実績が多数あります。
本サービスのサービスのポイントについて順番に解説していきます。
ポイント① 配送中や保管庫のセキュリティ対策がハイレベル
専門スタッフは全員、社内の「機密保持適格審査」に合格しており、6ヶ月の研修と2年に1度の更新をパスした、情報セキュリティ教育の取得者です。専門スタッフがHDDの回収を行い、完全密封車で最先端の防犯システムを導入した機密処理場まで安全に輸送します。廃棄物は施錠された専用回収ツールに格納され、スタッフでも開錠できないようになっているなど、セキュリティ対策が徹底されています。
このように輸送から保管まで二重三重の仕組みが整っているため、利用者は「回収中にデータが漏れるのでは」という不安を感じる必要がありません。廃棄プロセス全体で高い安全性が担保されている点が大きな安心材料となります。
ポイント② 完全破砕処理で情報復旧の可能性0%
通常磁化装置の1.5倍の消去能力を持つ磁気データ消去装置と、米国防総省の厳格な基準をクリアした高性能破壊機を採用し、安全・確実なデータ抹消処理を行っています。米国国防総省は、米国内で最も安全基準が厳しいとされる軍事機密を扱っており、米国国立標準技術研究所のデータ抹消法を採用しています。さらに処分後は、信頼度の高い証明書を発行しています。
このように国際基準に準拠した処理を行うことで、データの復旧可能性は事実上0%となります。利用者にとっては「確実に消去された」という安心感が得られるだけでなく、法人の場合は監査対応や取引先への説明資料としても証明書を活用できます。高水準の破砕処理と証明書の組み合わせは、情報漏洩リスクを根本から断つ最も信頼できる対策といえるでしょう。
ポイント③ 環境に配慮した廃棄方法
ポイント③ 環境に配慮した廃棄方法
金属原料のリサイクルを行っているほか、プラスチックなどの廃棄物を焼却する際に発生する熱を熱エネルギーとして利用したり、加工して石油や石炭の代替燃料へ変換したりします。これにより、資源の有効活用とCO2排出削減の両立が可能となり、廃棄による環境負荷を大幅に軽減できます。
さらに、こうした取り組みは循環型社会の実現に寄与するだけでなく、企業にとってはCSR(企業の社会的責任)やSDGsへの貢献としても評価されます。HDDを単に処分するだけでなく、環境への配慮を組み込んだ方法を選ぶことは、社会的信頼を高めることにもつながります。
安全かつ環境に配慮したHDD(ハードディスク)の処分方法を選ぼう
HDDの処分には、不燃ごみや小型家電回収BOXなど身近な方法から、メーカー回収や専門業者依頼までさまざまな選択肢があります。ただし、どの方法を選ぶ場合でも共通して重要なのは「データを完全に消去してから処分する」ことです。情報漏洩を防ぐことは、個人にとっても法人にとっても信頼や安全を守るうえで欠かせません。
また、環境面を考えるとリサイクルに回すのが望ましく、資源を再利用することが次世代への責任にもつながります。大量処分や機密性の高いデータを含むHDDの場合は、コストをかけてでも専門業者に依頼することで、安心と効率を両立できます。
「どの方法にすべきか分からない」という場合は、今回ご紹介した日本パープルを始めとする専門業者に一度相談してみてはいかがでしょうか。