保管と保存の違いは?社内文書の正しい保管方法を解説
社内文書の管理は、単にファイルをデスクの引き出しやパソコンのフォルダに入れておくだけでは十分とはいえません。
まずは「保管」と「保存」の違いを正しく理解することが、適切な文書管理の第一歩です。
本記事では、保管と保存の意味の違いをわかりやすく解説し、社内文書やデータをどのように扱えば安全かつ効率的に管理できるのかを紹介します。あわせて、文書の正しい保管方法や、デジタルデータを保存する際のポイントについても解説します。
「保管」と「保存」は何が違う?
社内文書を正しく管理するためには、「保管」と「保存」の違いを理解しておくことが欠かせません。
日常会話では似た意味で使われがちな言葉ですが、文書管理の現場では目的と扱い方が明確に異なります。
定義:保管=日常利用のための管理/保存=長期保有のための管理
「保管」とは、日常業務で使用する文書を、必要なときにすぐ取り出せるよう管理することを指します。
たとえば、進行中の案件書類や取引先との契約書の控えなど、日々の業務で参照する可能性がある文書をデスクの引き出しや事務室内のキャビネットで整理・管理している状態です。
一方、「保存」とは、業務で使用しなくなった文書を、法令や社内規程に基づき、一定期間安全に保持・保有することをいいます。
保存の対象となるのは、法的・会計的な理由から長期間の保有が求められる文書であり、書庫や外部倉庫、または電子データとして破損や紛失を防ぐ形で管理されます。
使い分けの基準:利用頻度・保存期間・法令要件
「保管」と「保存」を使い分ける際には、文書をどのくらいの頻度で利用するのか、どの程度の期間保持する必要があるのか、そして法令で定められた保有義務があるかどうか、という3つの視点が重要です。
日常的に活用する文書は、必要なときにすぐ取り出せるように保管します。反対に、利用頻度が低いものの、長期的に保有する必要がある文書は保存の対象となります。
特に、税務関係書類や契約書など、法律や社内規程で一定期間(多くの場合3年以上)の保有が義務付けられているものは、保存文書として安全に管理しなければなりません。
このように、「保管」は日常利用を前提とした管理であり、「保存」は法的・記録的な観点から行う長期管理です。両者の違いを理解し、文書の性質に応じて適切に区分・管理することが、効率的で安全な文書管理の第一歩といえるでしょう。
社内文書での使い分け:具体例と境界線
「保管」と「保存」の定義を理解しても、実際にどの文書をどちらに分類すべきか、判断に迷う場面は多いものです。
ここでは、社内文書を扱ううえでの具体的な分類基準と、判断に迷ったときの考え方を紹介します。
保管の対象(活用文書・常用文書・稀用文書)
「保管」の対象となるのは、業務上の利用頻度が高い、またはすぐに参照する可能性のある文書です。
たとえば、進行中のプロジェクト資料、社内会議の議事録、日常的な取引先とのやり取りの記録などが該当します。
これらは活用文書(現在進行形で使用する資料)、常用文書(一定期間に繰り返し参照する資料)、稀用文書(使用頻度は低いが必要時にすぐ取り出したい資料)に分けて管理します。
いずれの場合も、迅速に取り出せることと、情報の更新や差し替えがしやすいことが重要です。
具体的には、社内ネットワーク上の共有フォルダや文書管理システム、あるいはキャビネットなどのアクセスしやすい場所で保管するとよいでしょう。
保存の対象(法定保存文書・監査対応資料 など)
「保存」の対象となるのは、業務では日常的に使用しないものの、法令や社内規程によって一定期間(多くの場合3年以上)保有が求められる文書です。
たとえば、会計帳簿や決算書、契約書、雇用関係書類、稟議書、取締役会議事録などが代表的です。
これらは、税務調査や監査への対応、トラブル発生時の証拠保全など、法的リスクを回避するための裏付け資料として重要な役割を果たします。
保存の際は、改ざん防止や閲覧制限といったセキュリティ面の確保に加え、保存期間の満了後に確実に廃棄できるよう保存台帳や電子管理システムで管理状況を明確化しておくことが求められます。
迷った時の判定フロー(利用頻度→保存期間→機密度)
どちらに分類すべきか迷った場合は、「利用頻度 → 保存期間 → 機密度」の順に確認して判断すると効果的です。
まず、日常業務で繰り返し利用するかどうかを考えます。頻繁に使用するなら「保管」、使用頻度が低下した時点で「保存」へ移行します。
次に、その文書をどれくらいの期間保持する必要があるのかを確認しましょう。3年以上の保有義務があるもの、もしくは将来的に証拠として必要になる可能性があるものは「保存」の対象です。
最後に、機密性の高さを判断します。個人情報や機密データを含む文書は、たとえ利用頻度が高くても、アクセス制限や暗号化などの厳重な管理が求められます。
このように、利用頻度・保存期間・機密度の3点を基準に整理すれば、保管と保存の境界線が明確になり、文書管理の効率と安全性を両立できます。
紙とデータで違う?「保管」と「保存」の運用ポイント
文書管理では、「保管」と「保存」の考え方は紙でもデータでも共通ですが、実際の運用方法は媒体によって大きく異なります。
ここでは、紙文書と電子データのそれぞれにおける「保管」と「保存」の最適な運用方法を整理して解説します。
紙文書:キャビネット/書庫/外部保管の使い分け
紙文書の場合、利用頻度と保存期間に応じて保管場所を使い分けることが重要です。
日常的に使用する文書(保管対象)は、担当者がすぐに取り出せるようにキャビネットやデスク周辺で管理します。
これに対して、使用頻度が低下した文書や3年以上の保有が求められる書類(保存対象)は、書庫や専用保管室に移し、劣化・紛失を防ぐ環境で管理します。
さらに、保存期間が長期にわたる文書や法定保存文書については、外部の保管サービスや倉庫を活用するのも効果的です。
この場合、保管先のセキュリティ基準・入退室管理・災害対策などを確認し、社内での管理責任の所在を明確にしておくことが大切です。
また、紙文書は経年劣化やスペースの制約があるため、スキャニングによる電子化を併用すると、検索性や保全性が向上します。
データ:ストレージ階層(運用・アーカイブ・バックアップ)の違い
電子データの場合も、紙文書と同様に利用目的に応じた階層的な管理が求められます。
一般的には、「運用(Active)」「保存(Archive)」「バックアップ(Backup)」の3層で構成され、それぞれに役割が異なります。
運用(Active)と保存(Archive)の設計例
「運用(Active)」領域は、日常的に利用するデータを格納する場所です。
社内共有フォルダ、クラウドストレージ、業務システム上のデータなど、頻繁に更新・参照される情報をここで管理します。
この領域はスピードと利便性が重視されるため、アクセス権限の適切な設定と定期的な整理が重要です。
一方、「保存(Archive)」領域は、更新されることは少ないけれど、長期的に保有が必要なデータを管理する場所です。
契約書のスキャンデータ、財務データの確定版、監査対応資料などが該当します。
これらは、改ざん防止やアクセス制限を施したうえで、クラウドのアーカイブ領域や低コストの長期保存ストレージに移すことで、安全かつ効率的に運用できます。
バックアップは「保存」の代替ではない
よくある誤解として、「バックアップを取っているから保存は不要」と考えてしまうケースがあります。
しかし、バックアップはシステム障害やデータ破損に備えて、同じデータを複製・復元できるようにする仕組みであり、保存(Archive)とは目的が異なります。
バックアップはあくまで「復旧用データのコピー」であり、法的・証跡的な観点から長期間保持する「保存データ」の代替にはなりません。
そのため、企業では「バックアップ」と「保存」を明確に区分し、バックアップは災害対策、保存は証跡管理という役割分担で運用することが求められます。
正しい保管方法(紙・データ別の実務)
「保管」は日常業務の効率と情報の安全性を左右する重要なプロセスです。
ここでは、紙文書とデータそれぞれにおける正しい保管の実務ポイントを解説します。
ポイントは、利用頻度や機密度に応じた整理と、誰が見ても迷わずアクセスできる仕組みづくりです。
紙:使用頻度×部門×機密度での分類・ファイリング
紙文書は、使用頻度・担当部門・機密度の3軸で分類し、整理・保管するのが基本です。
たとえば、日常的に利用する資料は「高頻度文書」としてデスク周辺のキャビネットに、定期的に参照する文書は「中頻度文書」として共用の書庫に、滅多に使用しないが一定期間保持が必要な文書は「低頻度文書」として書庫や外部保管に移します。
同時に、文書の機密レベルに応じてアクセス範囲を制限します。
たとえば、人事・経理・契約関連の書類は部門ごとにキャビネットを分け、鍵付き保管や持ち出し禁止ルールを設けると効果的です。
ファイリングの際は、文書タイトル・作成年月・担当者・保存期限を明示したラベルを付けておくことで、検索性と管理精度が大幅に向上します。
データ:命名規則・アクセス権限・版管理・ログ
電子データは、フォルダの構成やアクセス権限の設定を工夫することで、管理の秩序を保ちます。
まず、フォルダ階層を業務単位や部門単位で整理し、統一された命名規則を設けましょう。
たとえば「YYYYMMDD_案件名_バージョン番号」などの形式で管理すれば、後から見ても文書の更新履歴が一目で分かります。
また、アクセス権限は「閲覧」「編集」「管理」の3段階程度に分け、機密文書や人事・会計データなどは限定的に設定することが重要です。
さらに、文書の誤更新や上書きを防ぐために版管理(バージョン管理)を導入し、変更履歴を追えるようにしておくと安全です。
加えて、ログ(操作記録)を取得・確認できる体制を整えることで、不正アクセスや情報漏えいのリスクも防止できます。
共有と検索性を高める工夫(ラベリング/メタデータ)
保管の目的は、単に「しまっておく」ことではなく、必要なときに確実に見つけられる状態を維持することです。
そのためには、文書を探しやすくする仕組みを整えることが欠かせません。
紙文書では、フォルダやファイル背表紙に統一フォーマットのラベルを貼付し、分類ルールを全社的に共有します。
電子データでは、ファイルにメタデータ(属性情報)を付与するのが効果的です。
たとえば、「文書種別」「作成年月」「担当部署」「関連プロジェクト」などの情報をタグ化して登録しておくと、システム検索で瞬時に目的のファイルにアクセスできます。
このようなラベリングやメタデータ管理を行うことで、文書の検索性・共有性が高まり、属人的な管理から組織的な文書運用へと進化させることができます。
「保存」すべき文書と保存期間の目安
社内文書の中には、業務で直接使わなくなった後も、法律や社内規程に基づいて一定期間保存が必要な文書があります。
保存すべき文書の代表として挙げられるのは「法定保存文書」と呼ばれるものです。
法定保存文書の保存期間は、文書の種類や法令によって異なり、2年、3年、5年、7年、10年、永年など多岐にわたります。
なお、以下で紹介する保存期間は一般的な目安であり、法令改正や業種ごとの規制によって変更される場合があります。
経理:10年/7年/5年の代表例
経理部門で保存が必要な主な文書と保存期間は次の通りです。
- 10年保存:貸借対照表、損益計算書など
- 7年保存:仕訳帳、固定資産台帳、領収書・請求書・源泉徴収簿など
- 5年保存:監査報告、会計監査報告など
経理文書は税務調査や会計監査で参照されることが多いため、期間と保管方法を厳密に管理することが重要です。
人事:7年/5年/4年/2年の代表例
人事部門で保存すべき文書と期間の目安は以下です。
- 7年保存:じん肺健康診断記録など
- 5年保存:従業員の身元保証書、雇用契約書など
- 4年保存:雇用保険に関する書類など
- 2年保存:健康保険・厚生年金保険に関する書類など
人事文書は従業員の権利・義務に関わる重要書類が多いため、紛失や改ざんを防ぐ厳格な管理体制が求められます。
総務:永年/30年/10年/5年/3年の代表例
総務部門では、企業活動の証拠や法定書類など幅広く保存が必要です。
- 永年保存:定款、株主名簿、官公署への許認可関係の届出書類および重要文書など
- 30年保存:特別管理物質の製造や取扱作業場での作業概要等の定期記録など
- 10年保存:株主総会議事録など
- 7年保存:仕訳帳、固定資産台帳、領収書・請求書・源泉徴収簿など
- 5年保存:有価証券届出書、有価証券報告書など
- 3年保存:四半期報告書、半期報告書など
総務文書は、企業活動の履歴や法的証拠としての価値が高いため、保管期限だけでなく、取り扱いルールやアクセス制限も明確にする必要があります。
注意書き:法改正・業種規制に応じた最新確認の必要性
保存期間は法律や規制により変更される場合があります。
業種や会社規模によっては、追加の保存義務があるケースもあるため、法令改正や業界ガイドラインを定期的に確認し、保存ルールを更新することが重要です。
この確認を怠ると、法令違反や監査対応の遅れにつながる可能性があります。
保存文書は、単に長期間保管するだけでなく、必要に応じてすぐ取り出せる管理体制を整えることが理想です。
賢い運用のコツは「いつ廃棄するか」を先に決める
文書管理で効率と安全性を両立させるには、「作った文書をいつまで保管するか」をあらかじめ決めることが基本です。
保存と保管のルールを決めずに放置すると、書類やデータが無秩序に溜まり、探す手間やリスクが増えるだけでなく、法令遵守上の問題も生じかねません。
保管期限のルール化(例:作成後3か月など)
日常的に使用する文書(保管対象文書)でも、保管期限をあらかじめ設定して運用することが効率化のポイントです。
たとえば、社内連絡用の報告書や簡易議事メモであれば「作成後3か月で廃棄」とルール化することで、不要文書を放置せず整理できます。
ポイントは以下です。
- 文書の種類ごとに「保管期間」を明確にする
- 期限をカレンダーや管理システムに登録して自動通知を活用する
- 期限を過ぎた文書は速やかに廃棄または保存対象文書に移行する
このようにルールを統一すると、社内全体で保管・廃棄の判断基準が揃い、無駄な業務負荷を減らせます。
保存→廃棄の手順と承認フロー(証跡化)
法定保存文書や長期保存文書を廃棄する際は、手順と承認フローを明確にして記録を残すことが重要です。
単にゴミ箱に捨てるのではなく、社内規程に沿って次のステップで管理します。
- 廃棄対象文書を特定
- 上長や担当部署の承認を取得
- 廃棄日・担当者・廃棄方法を記録(証跡化)
- 廃棄の実施
このプロセスをルール化することで、法令遵守や監査対応に備えることができるほか、紛失・誤廃棄のリスクも大幅に低減できます。
機密廃棄は専門業者・サービスの活用が安全
機密情報や個人情報を含む文書は、自社でシュレッダー処理するだけでは十分とは言えません。
こうした文書は、専門業者や機密文書廃棄サービスを活用することで、安全に廃棄できます。専門業者では、文書を持ち出す前後の管理が徹底され、高度な裁断や粉砕処理によって情報漏えいのリスクを大幅に減らせます。また、廃棄証明書の発行により、法令遵守や内部監査の対応にも役立ちます。電子データについても同様で、物理メディアの破棄や完全消去を業者に依頼することで、情報漏えいリスクを最小限に抑えることが可能です。
よくあるNGとリスク
社内文書の保管・保存管理でありがちな間違いや放置は、業務効率の低下だけでなく、法令違反や情報漏洩など重大なリスクにつながります。ここでは特に注意すべきポイントを解説します。
「バックアップ=保存」と誤解してしまう
バックアップはデータの復旧手段であり、長期保存の代わりにはなりません。多くの場合、バックアップは最新の運用データを保護する目的で行われるため、法定保存文書や重要な記録の保存要件を満たすとは限りません。バックアップだけに頼っていると、必要な書類が期限内に取り出せなかったり、法的に必要な保存期間をクリアできない可能性があります。文書管理では、バックアップはあくまで補助手段と考え、保存対象文書は適切な場所で長期保管することが重要です。
私的クラウド・私物USBへの保管
業務用文書を個人のクラウドストレージや私物USBに保管することは、情報漏えいやセキュリティ事故の大きな原因になります。社内規程や法令で定められた保存場所以外に保存すると、アクセス権限の管理が不十分になり、第三者に流出するリスクが高まります。
機密性の高い文書は、必ず会社指定のストレージや管理システムで保管し、外部媒体を利用する場合も暗号化やアクセス制御などの安全対策を徹底する必要があります。
保存期間切れの放置(訴訟・漏えいリスク)
保存期限を過ぎた文書を放置することも大きなリスクです。不要になった文書を廃棄せずに長期間置いておくと、紛失や漏えいの危険が高まるだけでなく、万が一訴訟や監査が発生した際に必要な情報と不要な情報が混在し、迅速な対応が難しくなります。
また、保存期間を過ぎても整理されていない文書は、業務効率の低下や倉庫・ストレージ容量の圧迫にもつながります。文書は保存期限を明確にし、期限切れになったものは速やかに廃棄または適切な処理を行う運用ルールを徹底することが必要です。
運用をラクにする:文書管理クラウドの活用
社内で文書が増え続けると、日々の保管や保存状況を把握するのが難しくなります。特に紙と電子データの両方を管理している場合、必要な書類を探す手間や廃棄作業の負担が大きくなることも少なくありません。
そんなときに便利なのが、日本パープルの文書管理クラウドサービス「MAMORU ONE」です。
クラウド上に文書を集約することで、社内外の文書を一元的に把握できるようになり、検索や参照、廃棄依頼などの操作もネット上で簡単に行えます。これにより、手作業で書類を探したり、時間をかけて廃棄作業をする必要がなくなります。紙とデータを統合管理できるため、社内全体の文書運用を標準化し、業務効率やセキュリティを同時に高めることが可能です。
MAMORU ONEでできること(検索・廃棄依頼・一元管理)
https://www.mamoru-kun.com/ehokanlp/
「MAMORU ONE」では、文書をクラウド上で検索・閲覧できるだけでなく、保存期限が近づいた文書の廃棄依頼をオンラインで申請することも可能です。
また、紙文書のスキャンや電子データとの一元管理によって、文書の所在や利用状況をいつでも確認できます。部署や担当者ごとに分散していた文書も統合管理できるため、監査対応や情報共有もスムーズになります。
紙×データのハイブリッド管理を標準化する
紙の文書はスキャンして電子化し、クラウド上で管理することで、紙とデータの両方を一つのプラットフォームで扱うことができます。この仕組みにより、保管・保存・廃棄のルールを社内全体で統一でき、誰でも同じ運用ルールに沿って安全かつ効率的に管理できます。
文書の検索性や可視性も向上し、日常業務や監査対応を迅速に行えるようになります。
保管と保存の違いでよくある質問
社内文書の管理では、「保管」と「保存」の違いについて疑問を持つケースが多くあります。ここでは、よくある質問に対して整理してお答えします。
データのアーカイブは「保存」扱い?
電子データを長期的に保管するためにアーカイブ化する場合、基本的には「保存」として扱います。アーカイブは通常の運用データとは分けて管理され、必要に応じて取り出せる状態にしておくことが求められます。ただし、単にバックアップとしてコピーしているだけでは「保存」とはみなされず、法定保存や社内ルールに従った管理が必要です。
電子帳簿保存法の保存は物理保存と何が違う?
電子帳簿保存法に基づく保存では、紙での物理保存とは異なり、データの真正性や可読性を担保する仕組みが求められます。具体的には、タイムスタンプや改ざん防止措置、検索性の確保などが必要です。つまり、電子保存は単にデータを保管するだけでなく、法的に有効な形で文書を長期間管理するためのルールを整備することが重要です。
保管から保存へ切り替えるタイミングの目安は?
文書の利用頻度が低下し、今後は主に法令や監査対応のために保持する必要がある場合、保管から保存へ切り替えるのが一般的です。具体的な目安としては、業務上ほとんど参照されなくなったタイミングや、保存期間が3年以上必要な文書が対象となります。保存対象文書として登録し、適切な管理ルールを適用することで、後からの取り出しや廃棄の手間も減らすことができます。
まとめ|「保管」と「保存」を正しく分けて、ムダとリスクを減らそう
社内文書の管理では、保管と保存を正しく理解して運用することが、業務効率化と法令遵守の両方につながります。日常業務で使用する文書は「保管」、長期的に保持が必要な文書は「保存」と区別されており、この分類に沿って管理することで、不要な書類の蓄積や情報漏えい、訴訟リスクを防ぐことができます。
また、紙とデータの両方を統合管理できる仕組みやクラウドサービスを活用すれば、文書の検索性や可視性が向上し、保管・保存の運用がさらにスムーズになります。こうした管理体制を整えることで、社内文書の取り扱いが安全かつ効率的になり、安心して日々の業務に臨めるでしょう。