AI時代の情報セキュリティについて徹底解説!リスクや対策を紹介
AI時代の情報セキュリティは、リスクの変化に伴い、対応方法も進化しているといえるでしょう。そのため、AI時代のリスクに合わせた情報セキュリティの対応が求められます。
そこで本記事では、AI時代の情報セキュリティリスクやその対応方法について解説します。併せて、AIを活用した新たな情報セキュリティ対策についても紹介するので、最後までご覧ください。
企業の大切なデータをリスクから守りたい方は必見です。
AI時代の情報セキュリティの重要性
AI時代の情報セキュリティリスク
AI時代に必要なセキュリティ対策
AIを活用した情報セキュリティ対策
AI時代に合わせて情報セキュリティを強化しよう
AI時代の情報セキュリティの重要性
AI技術は社会やビジネスのあらゆる分野で急速に浸透し、利便性や効率性を飛躍的に向上させています。一方、AIを悪用した新たなサイバー攻撃も増加し、情報資産やプライバシーへの脅威が高まっているのです。そのため、AI時代に適した情報セキュリティ対策の重要性は大きくなっています。
そこで、AI時代の情報セキュリティの重要性について以下2つの観点から解説します。
- AIの急速な普及とビジネス変革
- AIの進化がもたらす新たなセキュリティリスク
AIによる影響を確認しましょう。
AIの急速な普及とビジネス変革
近年、生成AIや機械学習モデルの普及により、企業は業務効率化や顧客体験の向上・新規事業創出など、多方面でビジネス革新を実現しています。AIによる自動化やデータ解析の精度向上によって、ビジネスはこれまでにないスピードで変化しているのです。
しかし、この急速な変革は新しいセキュリティの課題を生み出し、従来のセキュリティ対策では対応しきれないケースが増えています。そのため、リスクマネジメントの強化が求められます。
AIの進化がもたらす新たなセキュリティリスク
AIの進化は、新たなセキュリティリスクをもたらしています。例えば、ディープフェイクによるなりすましやAIによる自動化された攻撃スクリプト生成、高度なフィッシングメール作成など、人間では容易に見抜けない攻撃が可能になっているのです。
さらに、AIモデルそのものを標的としたデータ改ざんや学習過程への介入といった手口も増えています。これらは検知や防御が難しく、被害が深刻化しやすいため、従来以上に多層的なセキュリティ対策が求められます。
AI時代の情報セキュリティリスク
AI時代のセキュリティリスクとして、主に以下のものが挙げられます。
- ディープフェイク
- AIマルウェア
- DDoS攻撃
- 自動エクスプロイト
- フィッシングメール
- 機械学習ポイズニング
- 回避攻撃
AI技術はセキュリティ対策にもサイバー攻撃にも利用できるため、悪用されれば今までよりも巧妙かつ高速な攻撃が可能になります。
ディープフェイク
ディープフェイクとは、AIを使って人物の顔や声をリアルに合成し、偽の動画や音声を生成する技術です。これにより、なりすまし詐欺や偽情報の拡散が容易になり、企業や個人の信用を低下させるおそれがあります。
特に、経営層や著名人を装ったフェイク動画は、金融詐欺や株価操作に利用される可能性もあります。そのため、情報を安易に信頼せず、真正性を確認することが重要です。
AIマルウェア
AIマルウェアは、攻撃者がAIを組み込んで作成した高度なマルウェアです。従来型のセキュリティソフトを回避しながら行動するのがAIマルウェアの特徴です。
環境に応じて動作を変化させる適応性を持ち併せているため、検知が難しいといわれています。また、自己学習によって防御策を回避する能力も向上し、長期にわたって見つからないケースもあります。
AIマルウェアに対抗するには、AIを活用したリアルタイム監視と異常行動検出が効果的です。
DDoS攻撃
DDoS攻撃とは、特定のサーバーに過剰なアクセスを送り、サービスをダウンさせる手法です。
AIを活用したDDoS攻撃は、膨大なネットワークトラフィックデータを分析し、攻撃のパターンやタイミングを変化させながら行われます。これにより、AIによって攻撃の規模や頻度が最適化され、効率的にサーバーへ負荷をかけられます。
AIによるDDoS攻撃に対しては、従来のシグネチャベース防御だけでは対処困難です。そのため、AIを活用したトラフィック解析が必要になります。
自動エクスプロイト
自動エクスプロイトとは、AIが脆弱性の情報を収集・解析し、自動的に攻撃コードを生成して攻撃する方法です。これにより、脆弱性が発見されてから攻撃が行われるまでの時間が大幅に短縮されます。人間が脆弱性を修正した更新プログラムを適用する前に被害が広がる危険性が高く、迅速な脆弱性管理が欠かせません。
自動エクスプロイトに対しては、仮想パッチの活用が有効です。通常、脆弱性が発見された場合には更新プログラムの配布を待ちますが、その間にWAFやIPS、プラグインなどで脆弱性の悪用を防ぐ手法を仮想パッチといいます。
フィッシングメール
AIが生成したフィッシングメールは、言語の自然さや文脈の的確さが向上し、従来の怪しい文面ではなく本物そっくりの内容になっています。個人のSNSや公開情報を解析してターゲットに合わせたカスタマイズが可能なうえ、自動化によって大量のフィッシングメールを作成できるため、被害が広まりつつあるのです。
フィッシングメールに対応するには、メールフィルタの高度化や従業員への訓練が不可欠です。
機械学習ポイズニング
機械学習ポイズニングは、AIモデルの学習データに悪意あるデータを混入させ、意図的に誤った学習をさせる攻撃です。これにより、AIモデルの精度低下や特定条件下での誤動作が引き起こされます。
機械学習ポイズニングは、自動運転や医療診断など、高精度が求められる分野では重大事故の原因となる可能性があるのです。また、データの管理権を奪われたり、情報の盗聴や改ざんに利用されるケースもあります。そのため、データの品質管理と異常値検出が重要です。
回避攻撃
回避攻撃は、AIによる判定をすり抜けるために、入力データを微妙に加工する手法です。例えば、画像認識AIにノイズを加えて誤認識を発生させるなどし、防御メカニズムを無効化します。回避攻撃は、画像認識以外にも、音声認識や物体検知などさまざまなAIモデルに対して有効です。
特に、セキュリティ検知システムや顔認証の突破に悪用され、不正アクセスや情報漏えいを引き起こすおそれがあります。
AI時代に必要なセキュリティ対策
攻撃手法は日々変化しているため、AI時代にセキュリティ対策が必要です。具体的には、以下の方法が挙げられます。
- ゼロトラスト
- 多要素認証
- アクセス制御
- 暗号化
- データの監視
- エンドポイント保護
- セキュリティソリューション
- 組織体制・ガバナンスの構築
- 従業員教育
これらの対策を総合的に実施して、大切な情報を守りましょう。
ゼロトラスト
ゼロトラストは「誰も信用しない」を前提に、ネットワーク内外を問わずすべてのアクセスを検証するモデルです。
従来の境界防御型セキュリティでは、社内ネットワークが安全であるとの認識に基づいていたため、内部ネットワークへの侵入後は脆弱でした。しかし、ゼロトラストでは社内外すべてのアクセスを疑い、端末・ユーザー・アプリケーションごとに継続的な認証を行って不正アクセスのリスクを低減します。
特にAI時代では、自動化された権限悪用やなりすましへの有効な対策となります。
多要素認証
多要素認証(MFA)は、パスワードに加えて生体認証やワンタイムコードなど複数の認証手段を組み合わせ、アカウント乗っ取りを防ぎます。
AIがパスワードを推測・解析する速度は高速化しており、単一の認証情報に依存すると突破されやすく、非常に危険です。多段階認証を導入することで、単一の認証情報が漏えいしても攻撃者は不正ログインを行えなくなります。
アクセス制御
アクセス制御は、情報やシステムへのアクセス権限を必要最小限に制限する仕組みです。
AI時代では、攻撃者が一度侵入すると迅速に権限昇格を狙うため、厳格な権限管理が不可欠です。そのため、動的アクセス制御の導入が有効なセキュリティ対策となります。
動的アクセス制御とは、アクセスの都度・状況やユーザー属性・デバイス状態を評価し、許可や拒否の判断を行う方法です。
これにより、利用状況やリスクレベルに応じたリアルタイムな権限変更が可能となり、侵害範囲を最小限に抑えられます。
暗号化
暗号化は、データが不正に取得されても内容を解読されないように保護する基本的な対策です。暗号化により、暗号キーを所有する人のみがデータを元に戻して解読できるようになります。
AI時代では、攻撃者が高度な解析能力を持つため、より強力な暗号アルゴリズムと暗号鍵の管理が不可欠です。通信経路や保存データの暗号化に加え、機密性の高いAI学習データやモデルも暗号化することが推奨されます。
データの監視
データの監視は、情報の不正アクセスや改ざんを早期に検知するための重要な施策です。システム内のデータ・ネットワーク・サーバーなどの稼働状況を常に監視します。
AIの活用により、大量のアクセスログやファイル操作記録をリアルタイムに分析し、通常とは異なるパターンを即座に検出可能です。これにより、内部不正や外部侵入の兆候をいち早く把握し、被害拡大を防げます。
エンドポイント保護
エンドポイント保護(EDR)は、パソコンやスマホ、IoT機器などの末端デバイスを守る対策です。
AIが生成するマルウェアは従来の不正検出を回避するため、振る舞い検知やAIによる解析を取り入れた次世代型のエンドポイント保護が重要です。振る舞い検知とは、デバイスやネットワーク上のプログラムやユーザーの行動を監視し、怪しい挙動を検知する仕組みを指します。
デバイスごとのセキュリティ強化は、侵入経路を遮断する第一歩です。
セキュリティソリューション
企業やシステムをサイバー攻撃などの脅威から守る製品やサービス全般を、セキュリティソリューションといいます。包括的なセキュリティソリューションは、複数の防御技術を統合し、脅威の検知・分析・対応を効率化します。
SIEMやSOARといったセキュリティ運用を支援するツールにより、AIを活用してインシデント対応の自動化や高速化が可能です。多様化する攻撃に迅速に対処するためには、単一製品ではなく統合的な仕組みの導入が求められます。
組織体制・ガバナンスの構築
組織全体でAIの適切な利用とリスク管理のためには、ガバナンスや体制の構築が必要です。具体的には、AIポリシーの策定や役割・責任の明確化、具体的なAI利用ルールの策定、定期的な監査、従業員教育などが必要となります。
AIのリスクを考慮してAIを上手に活用するためには、組織全体として体制を整備し、ポリシーやルールを明確にすることが重要です。
従業員教育
従業員は最前線の防御壁である一方で、最大の脆弱性にもなりえます。実際に情報を取り扱うのは主に従業員であるため、従業員のひとりひとりのリスクやセキュリティに関する知識が不足している場合、知らず知らずのうちに被害にあってしまう可能性もあります。
AIを用いたフィッシングメールやソーシャルエンジニアリングは、人間の判断力を巧妙に揺さぶります。そのため、定期的なセキュリティ研修や疑似攻撃演習を実施し、従業員が脅威を見抜き、適切に対応できる能力を養うことが重要です。
AIを活用した情報セキュリティ対策
AIは、悪用されると企業にとって大きなリスクとなりますが、正しく活用すれば防御側にとっても強力な武器となります。そこで、AIを活用した情報セキュリティ対策について、3つ解説します。
- 異常検知
- 自動インシデントリスポンス
- 脆弱性予測
AI特有の分析力とスピードを活用して、従来よりも迅速かつ正確に防御を強化しましょう。
異常検知
AIによる異常検知は、膨大なシステムログやネットワークトラフィックを解析し、通常と異なるパターンを即座に発見します。
従来のルールベース検知では見逃される未知の攻撃や内部不正も、高精度で把握できます。ルールベース検知では、定められた基準を逸脱したものを検知する仕組みであり、柔軟性に欠けるのが特徴です。しかし、AIによる異常検知は自動で学習を行うため、柔軟性にも優れています。
AIによる異常検知とリアルタイム監視を組み合わせることで、被害が発生する前に対策を講じられるようになります。
自動インシデントレスポンス
AIを活用した自動インシデントレスポンスは、脅威を検知すると即座に隔離・遮断・通知などの初動対応を実行します。例えば、ランサムウェア攻撃を受けた際、速やかに以下の対処を行います。
- 感染範囲の特定
- データの隔離
- ネットワークセグメントの遮断
- バックアップデータの復旧
これにより、人的対応の遅れによる被害拡大を防ぎます。特にAI時代の攻撃は高速化しているため、即応性が非常に重要です。
脆弱性予測
脆弱性予測は、AIが過去の攻撃データやソースコードを分析し、将来狙われる可能性の高い部分を事前に特定する方法です。パッチ適用や設定変更を攻撃前に行えるようになり、ゼロデイ攻撃のリスクを大幅に低減します。
さらに、AIはパッチ適用の際に優先順位をつけたり、副作用を予測したりするためにも活用されています。AIの予測力は人間の直感を超えるため、セキュリティ運用の効率化と精度向上に直結するのです。
AI時代に合わせて情報セキュリティを強化しよう
情報セキュリティは、時代とともにリスクや対応方法が変化しています。そのため、AI時代のリスクに合わせて情報セキュリティを強化する必要があります。
特に、現場で判断を下す従業員へのセキュリティ教育は重要です。日本パープルが提供するCoach Mamoru(コーチマモル)は、情報セキュリティ分野に精通した講師によるコンサルティングを行っています。300社以上のコンサルティング実績があり、お客様のご要望や状況に合わせた、オーダーメイド型のコンサルティングや従業員研修をご提案いたします。ぜひお気軽にご相談ください。