倉庫の温湿度管理とは?必要な物品や管理方法・保管先の選び方を解説

倉庫で精密機器や原料、紙製品などを保管する際、「温度や湿度はどの程度まで管理すればよいのか」「一般的な倉庫にそのまま預けても問題ないのか」と悩んでいませんか。保管環境が物品に合っていないと、結露やカビ、サビ、変形などが生じ、品質や性能に影響するおそれがあります。
今回の記事では、倉庫で温湿度管理が必要な理由や、管理が求められる主な物品、適切な温度・湿度の考え方、空調・除湿・測定などの管理方法を解説します。あわせて、外部倉庫へ保管を委託する際に見ておきたい設備や管理体制、入出庫・配送への対応についても紹介します。
保管中の品質低下のリスクを抑えたい方や、自社での温湿度管理に負担を感じている方は、物品に合った保管環境や外部倉庫を選ぶ際の参考にしてください。
この記事でわかること
- 倉庫で温湿度管理が必要な理由
- 温湿度管理が必要になりやすい物品
- 倉庫内の温度・湿度を管理する方法
- 温湿度管理に対応する外部倉庫の選び方
倉庫で温湿度管理が必要な理由

温湿度管理がされていない倉庫では、保管物そのものが劣化します。急激な温度変化による品質・性能の低下や、湿気によるカビ・サビなどの発生を防ぐためには、適切な環境管理が不可欠です。特に温度変化や湿気の影響を受けやすい物品では、保管環境を適切な範囲に保つことが品質管理の一部となります。まずは、温湿度管理が必要となる主な理由を見ていきましょう。
温度変化による品質・性能低下
物品によっては、高温・低温や急激な温度変化によって素材の状態や性能が変化します。たとえば電子機器や精密機器では、使用されている部品や素材に応じて保管時の温度条件が定められていることがあります。原料や各種資材でも、温度によって性状が変化する場合があります。
温度変化による劣化を防ぐためには「屋内倉庫だから問題ない」と判断するのではなく、メーカーや供給元が示す保管条件に合った環境を用意することが大切です。長期間保管する物品では、日中と夜間、夏と冬の温度差も踏まえ、継続して適切な範囲を維持できる環境を選ぶ必要があります。
湿気によるカビ・結露・サビ
湿度が高い状態が続くと、紙や布などにはカビが発生しやすくなり、金属部品では腐食やサビにつながることがあります。また、倉庫内外の温度差が大きい場合は、物品や壁面に結露が生じ、濡れや腐食の原因となるため注意が必要です。
一方で、湿度は低ければ低いほどよいわけではありません。素材によって適した範囲は異なり、温湿度の変化そのものが状態へ影響する場合もあります。高湿度だけを避けるのではなく、保管物の特性に合わせた範囲を定めて管理することがポイントです。
保管場所による状態のばらつき防止
同じ倉庫の中でも、出入口付近や外壁に近い場所、空調設備の周辺などでは、温度を中心に環境差が生じることがあります。保管場所によって環境が大きく異なれば、同じ商品や備品でも保管後の状態に差が出るおそれがあります。
企業が複数の物品を長期間保管する場合は、「倉庫全体がおおむね同じ環境」と感覚だけで判断しないことが大切です。実際の保管場所で温湿度を測定し、必要に応じて配置や設備を見直すことで、物品ごとの保管条件をそろえやすくなります。
温湿度管理が必要な主な物品
すべての物品に厳密な温湿度管理が必要なわけではありません。重要なのは、保管する物品が温度や湿度の影響をどの程度受けるのかを事前に知ることです。メーカーや供給元から保管条件が指定されている場合は、その内容を基準にします。法人が倉庫へ預ける物品の中から、環境への配慮が必要になりやすい代表例を紹介します。
| 物品 | 受けやすい影響 | 管理のポイント |
|---|---|---|
| 精密機器・電子機器 | 高湿度による腐食、温度変化による結露 | 製品仕様書やメーカー指定の保管条件を基準にする |
| 紙製品・書類・印刷物 | 伸縮による波打ち・変形、高湿度でのカビ | 床や壁からの湿気を避け、適した湿度を保つ |
| 化粧品・原料・各種資材 | 高温や直射日光、温度による性状の変化 | 製造元・供給元が示す条件で常温か厳密管理かを分ける |
精密機器・電子機器
精密機器や電子機器には、金属部品や基板、樹脂部品など、さまざまな素材が使われています。高湿度による腐食や、急激な温度変化によって生じる結露は、機器の状態に影響する要因です。デモ機や測定機器、予備のIT機器などを長期間保管する場合は、保管環境にも注意が必要となります。
ただし、適切な条件は機器ごとに異なります。「精密機器ならこの温湿度」と一律に決めるのではなく、製品仕様書やメーカーが示す保管条件を基準にしてください。外部倉庫を利用する場合も、必要な条件を事前に伝え、対応可能な環境かを確認したうえで預けましょう。
紙製品・書類・印刷物
紙は周囲の温度や湿度の変化に伴って伸縮するため、波打ちや変形が生じることがあります。また、高湿度の状態が続くとカビの発生リスクが高まり、紙同士の貼り付きや状態の悪化につながる場合もあります。
契約書などの重要書類だけでなく、カタログ、パンフレット、ポスター、商品パッケージといった販促物も保管環境への配慮が必要です。大量に印刷した資材を長期間保管する企業では、必要なときに使用できる状態を保つため、床や壁からの湿気にも注意しながら保管方法を考えましょう。
化粧品・原料・各種資材
化粧品や原料、製造に使用する資材などには、製品ごとに保管条件が指定されているものがあります。高温や直射日光を避ける必要がある物品や、一定の温度範囲での保管が求められる原料など、必要な環境は内容物によってさまざまです。
外部倉庫へ預ける際は「原料だから温湿度管理が必要」と一括りにせず、製造元や供給元が示す条件を基準にします。常温環境で対応できるのか、より厳密な条件が必要なのかを分けて考えましょう。冷蔵・冷凍が必要な物品や危険物などは、一般的な常温倉庫とは異なる設備や法令上の対応が必要になる場合があります。
倉庫の適正な温度・湿度の考え方

倉庫の温湿度管理では「何℃・何%にすれば、すべての物品を安全に保管できる」という共通の基準はありません。適切な条件は物品の材質や用途、メーカー指定、保管期間などによって異なります。また、同じ倉庫内でも季節や場所によって環境差が生じるため、保管物と倉庫の両面から基準を決めることが重要です。
保管物ごとの基準設定
温度・湿度の管理基準は、まず保管する物品の仕様から決めます。製品仕様書や取扱説明書、供給元から提示された保管条件などを確認し「使用時の条件」ではなく「保管時に求められる条件」が定められている場合は、その内容を基準にしてください。
複数種類の物品を同じ倉庫へ預ける場合は、それぞれの条件を一覧にすると管理しやすくなります。条件が大きく異なる物品を同じ空間で管理するのが難しい場合は、保管エリアを分ける方法もあります。温湿度だけでなく、直射日光、ほこり、水濡れなど、物品ごとに必要な保管条件をまとめておきましょう。
季節・保管場所による温湿度差
倉庫内の環境は、季節や天候だけでなく、建物内の位置によっても変わります。出入口は扉の開閉によって外気の影響を受けやすく、外壁や屋根に近い場所では外気温や日射の影響が大きくなる場合があります。空調設備の吹き出し口付近も、ほかの場所とは異なる環境になることがあります。
そのため、倉庫内の1ヶ所だけを測定して「全体が同じ状態」と判断するのは適切ではありません。実際の保管場所を含む複数地点の温湿度を確認し、環境差が大きい場所を把握することが大切です。季節が変わった際にも測定結果を見直すことで、年間を通じた管理につながります。
倉庫で行う温湿度管理の方法
倉庫の温湿度を適切な範囲に保つには、空調設備を導入するだけでなく、外気の影響を抑える対策や継続的な測定が必要です。また、管理範囲から外れた場合に誰がどのように対応するかも決めておかなければなりません。設備・建物・測定・運用を組み合わせ、保管物に合った管理体制を整えます。
- 空調・除湿・加湿設備による調整
- 換気・断熱による外気の影響への対策
- 温湿度計・センサーによる継続的な測定
- 記録の保存と異常時の対応ルール
必要な対策は保管物や倉庫の構造によって異なります。それぞれの方法を組み合わせながら、設定した管理基準を維持できる状態を目指しましょう。
空調・除湿・加湿設備の活用
倉庫内の温度を一定の範囲に保つには、空調設備を使って室温を調整します。湿度が高くなりやすい環境では除湿設備、乾燥への配慮が必要な物品では加湿設備を利用するなど、保管条件に応じた調整が必要です。
ただし、設備を設置しただけで倉庫全体が均一な環境になるとは限りません。物品の積み方によって空気の流れが妨げられたり、棚の奥と通路側で環境差が出たりすることがあります。設備の設定値だけを見るのではなく、実際の保管場所で測定した結果も踏まえて、運転方法や物品配置を見直しましょう。
換気・断熱による外気対策
倉庫内の環境は、外気温や日射、扉の開閉などの影響を受けます。建物の断熱性能が低いと、夏は外部から熱が入りやすく、冬は室内の熱が逃げやすくなります。屋根や外壁から受ける熱の影響も、倉庫内の温度差につながります。
断熱材や遮熱対策を取り入れることで、外気の影響を抑えられます。また、換気は倉庫内にこもった熱気や湿気を外へ逃がす方法の1つですが、高温多湿な外気を大量に取り込めば、かえって倉庫内の湿度が上がる場合もあります。外部環境を見ながら、空調や除湿と組み合わせて運用することが大切です。
温湿度計・センサーによる測定
温湿度管理では、設備の設定値だけでなく、実際の保管場所がどのような環境になっているかを測定します。温湿度計やセンサーを設置すれば、時間帯による変化や季節ごとの傾向を数値として確認できます。
広い倉庫では、環境差が生じる可能性を踏まえて複数地点で測定する方法があります。通信機能付きのセンサーを利用すれば、離れた場所から温湿度を確認したり、設定した範囲を外れた際に通知を受けたりする運用も可能です。使用する機器については、測定精度や校正方法も含めて管理しましょう。
測定記録と異常時の対応
温湿度を測定しても、データを保存するだけでは十分な管理とはいえません。定期的に記録を見返し、管理基準から外れた時間帯や場所がないかを確認します。記録を残すことで、保管物に異常が見つかった際に、過去の保管環境をさかのぼって確認する材料にもなります。
あわせて、基準を外れた場合の対応方法を決めておきましょう。空調や除湿設備の設定変更、物品の移動、設備の点検など、状況に応じた対応をあらかじめ定めておけば判断がぶれません。担当者と報告先も決め、異常の発見から対応までの流れを明確にすることが大切です。
温湿度管理に対応する倉庫の選び方

外部倉庫へ保管を委託する場合は、空調設備ありという表示だけで判断せず、自社の物品に必要な条件へ対応できるかを見極めることが大切です。温湿度の範囲だけでなく、設備や運用体制、保管後の入出庫まで含めて比較します。契約後の認識違いを防ぐため、必要な条件を委託先へ事前に伝えておきましょう。
- 保管できる温度・湿度の範囲
- 物品に合った保管設備
- 温湿度管理の運用・報告体制
- 入出庫・配送への対応
保管環境だけでなく、預けた後の使い方まで想定することで、日常業務にも合った外部倉庫を選びやすくなります。
保管できる温度・湿度の範囲
最初に確認したいのは、倉庫側がどの範囲の温度・湿度を管理できるかです。「空調倉庫」「定温倉庫」などの名称だけでは、具体的な管理範囲までは分かりません。自社が求める条件を伝え、その範囲を継続して維持できるかを確認します。
また、年間を通じて同じ条件に対応できるかも重要です。夏季・冬季など季節によって倉庫内の環境は変わるため、必要な保管条件をどのような方法で維持するのかも聞いておきましょう。厳密な条件が指定されている物品では、製品仕様や保管条件を提示し、対応の可否を事前にすり合わせることが大切です。
物品に合った保管設備
必要な設備は、保管する物品によって異なります。空調や除湿設備だけで足りる場合もあれば、専用区画や防塵対策、ラック・パレットなどの保管設備が必要になることもあります。大きさや重量によっては、搬入・搬出に使う設備も選定条件に含まれます。
精密機器や原料などを預ける場合は、温湿度以外の条件も洗い出しておきましょう。直射日光を避ける必要があるのか、床への直置きを避けるのか、ほこりへの対策が必要なのかなど、物品の仕様に沿って考えます。必要な設備を先に明確にすることで、自社の条件に合わない倉庫を候補から外せます。
温湿度管理の運用・報告体制
設備が整っていても、日常的な測定や記録が行われていなければ、実際の保管環境を判断できません。温湿度をどのように測定しているのか、記録をどの程度残しているのか、異常が発生した場合にどのような対応を行うのかを確認します。
保管物によっては、温湿度の記録を荷主側でも確認したい場合があります。その際は、データの提供や定期報告に対応できるかも選定項目です。また、設備故障や管理範囲からの逸脱が起きた際に、荷主へ連絡するルールが決まっているかも確認しましょう。設備だけでなく、人による運用まで含めて保管体制を評価することが重要です。
入出庫・配送への対応
法人が外部倉庫を利用する場合、保管中の環境だけでなく、必要なときに物品を取り出せるかも重要です。入出庫の依頼方法や対応日数、配送可能な地域などを事前に確認しておけば、実際の運用に合ったサービスかを判断できます。
イベント用品やデモ機、販促物のように複数の場所で使用する物品では、倉庫から利用場所へ直接配送できれば、いったん本社へ戻す作業を省けます。一方、輸送中にも一定の温湿度条件が必要な物品は、通常配送では対応できない場合があります。必要な輸送条件まで伝え、保管と配送の両方に対応できるかを確認してください。
倉庫の温湿度管理に関するよくある質問
倉庫の温湿度管理では、用語の違いや測定場所、配送中の取り扱いなど、実務に入ってから疑問が生じることがあります。特に「定温倉庫」という名称だけでは湿度管理の有無や具体的な管理範囲までは判断できません。最後に、外部倉庫を検討する際にも押さえておきたい疑問へ回答します。
定温倉庫と温湿度管理倉庫は同じですか?
「定温倉庫」という名称だけでは、湿度管理の有無までは判断できません。一定の温度帯を保つ施設を定温倉庫とする例がある一方、温度と湿度の両方を一定の範囲で管理する施設もあります。事業者によって名称や管理内容が異なるため、言葉だけで保管環境を判断せず、管理できる温度帯・湿度管理の有無・測定方法・記録体制まで個別に確認しましょう。保管する物品に温度・湿度の指定がある場合は、必要な数値を具体的に伝えたうえで対応可否を確認する方法が確実です。
温湿度は倉庫内のどこで測ればよいですか?
測定場所は、倉庫の広さや構造、空調設備の配置、実際に物品を置く位置などを踏まえて決めます。出入口や外壁付近、高い位置などでは温度を中心とした環境差が生じることがあるため、代表的な1ヶ所の測定値だけで倉庫全体を判断するのは避けましょう。特に広い倉庫や棚が多い倉庫では、複数地点を測定することで環境の偏りを確認できます。センサーの設置位置は、実際に物品を保管する高さも考慮します。
まとめ:物品に合った温湿度管理と保管環境を選ぼう
倉庫の温湿度管理では、一律の温度・湿度を目標にするのではなく、保管する物品の仕様に合った基準を設定することが大切です。精密機器や紙製品、原料などは温度変化や湿気の影響を受ける場合があるため、空調・除湿・換気などの設備と、温湿度の測定・記録を組み合わせて管理します。
外部倉庫を利用する際も、管理できる温湿度の範囲だけでなく、測定・記録体制や設備、入出庫・配送まで確認する必要があります。自社で保管環境を整える負担が大きい場合は、必要な条件に対応できる外部保管サービスを検討する方法もあります。
ストックマモルでは、法人向けに物品の集荷・保管・Web管理・配送までまとめて対応しています。精密機器や美容品原料などの保管実績があり、庫内温度25度以下・湿度50%以下の空調設備付きの保管環境もご相談いただけます(当社計測による値です)。物品の種類によってはお預かりできないものもあるため、必要な温湿度条件や物品の内容をお知らせいただければ、保管方法や運用方法も含めてご提案します。