自主調査レポート / 2026年8月13日〜14日実査
企業の防災備蓄品管理に
関する実態調査 2026
~「備えているつもり」と
「機能する備え」の距離~
- 本調査 有効回答数
- 1,202名
- 期限切れ・廃棄の経験
- 68.8%
- 管理上の問題を経験
- 83.4%
調査概要
| 調査対象 | スクリーニング:全国の就業者 本調査:勤務先で防災備蓄品を保管しており、その管理実務または意思決定に関与している担当者 |
|---|---|
| 調査地域 | 全国 |
| 調査方法 | インターネットによるアンケート調査 |
| 調査期間 | 2026年8月13日〜14日 |
| 調査主管 | 株式会社日本パープル |
| 有効回答数 | スクリーニング 10,000名 / 本調査 1,202名 |
回答者の絞り込み
全体に対する残存率(%)/スクリーニング10,000名ベース
本調査の対象範囲について
- 本調査(1,202名)の対象は、防災備蓄品を保管する企業のうち管理に関与している担当者である。全国の企業・就業者を代表する標本ではない
- スクリーニングの構成比は、備蓄状況を回答した9,473名がベースである。全回答10,000名のうち、勤務先の従業員数を把握していない527名には、設問の分岐により備蓄状況を尋ねていない。4,801名を10,000名で割った48.0%は、備蓄状況を回答していない527名を分母に含めた値になる(上の絞り込みグラフの「残存率」がこれにあたる)
- 従業員規模は99名以下が28.1%を占める。多拠点の大企業に限定した調査ではない
- 期限に関する経験(Q5)と管理上の問題(Q8)は、設問の対象外を除いた1,172名がベース。選択肢ごとの構成比も、複数選択肢を合成した「いずれか該当」の指標も、同じ1,172名で統一している(Q5は「期限のある防災備蓄品は保管していない」12名・「わからない」18名を除く/Q8は「わからない」30名を除く)。他の設問は1,202名ベース。各図表に明記している
- 複数回答の設問について、「1つ以上該当」は回答者単位で算出している。選択肢の割合を足し合わせた数値は使用していない
- 管理方法(Q6)は複数回答のため、深掘りの層分けは排他分類とした(専用システム→汎用システム→表計算・紙→記憶・未整備の順に、最初に該当した層へ割り当て)
- 構成比は小数第1位まで表示している。四捨五入のため合計が100.0%にならない場合がある
回答者プロフィール
従業員規模
単一回答/n=1,202
管理への関与
単一回答/n=1,202
業種
単一回答/n=1,202
年代・性別
- 年代:40代 41.1% / 50代 33.3% / 30代 20.5% / 20代 5.2%
- 性別:男性 73.3% / 女性 26.7%
本調査の問い
防災備蓄品は、置いておけば機能するものではない。期限が来れば入れ替えが必要で、数量は増減し、担当者は変わる。
管理方法をシステム化すれば、期限切れや在庫の不一致は減る。表計算や紙、担当者の記憶で管理している企業ほど実害が多い。
検証のため、①備蓄の保管状況と管理への関与 ②期限に関する経験 ③現在の管理方法と負担 ④管理上の問題 ⑤専用ツールへの意向と障壁 を測定した。
要点
POINT 162.5%
備蓄品がある企業でも、62.5%が管理に関与していない
勤務先が防災備蓄品を保管しているのは50.7%。ただしその4,801名のうち、管理や意思決定に関わっていない人が3,000名(62.5%)を占める。備蓄はあっても、見ている人がいない状態が広く存在する。
POINT 268.8%
管理に関与している層では、68.8%が期限切れまたは廃棄を経験している
「期限切れの状態で保管されていた備蓄品に後から気づいた」34.9%、「期限が切れた備蓄品を廃棄した」33.4%、「期限前に入れ替えたが消費・配布できず廃棄した」32.1%。管理課題を感じている担当者は77.3%に達する。
POINT 380.1%
仮説は支持されない。専用システムで管理している層のほうが、実害の経験率は高い
期限切れ・廃棄の経験は専用システム層80.1%に対し、表計算・紙層63.6%、記憶・未整備層60.6%。管理上の問題も専用システム層90.4%に対し記憶・未整備層68.2%。管理していない層は「問題がない」のではなく、見えていない可能性がある。
防災備蓄品の保管状況
保管しているのは50.7%。ただし管理に関与している人は限られる
- 勤務先で防災備蓄品を保管しているのは50.7%。「保管していない」23.8%、「わからない」18.6%
- 「現在は保管していないが、導入・整備を検討している」7.0%
- 保管している4,801名のうち、管理や意思決定に関わっていない人が62.5%。「一部の指示・支援のみで詳しい状況は把握していない」10.3%を加えると72.8%
単一回答/備蓄状況を回答した9,473名ベース(従業員数を把握していない527名には未質問)
管理課題の認識
77.3%が管理課題を感じている。うち31.2%は「強く」
- 「ある程度感じている」46.1%、「強く感じている」31.2%。合計77.3%
- 「あまり感じていない」6.8%、「まったく感じていない」1.7%。合わせて8.5%にとどまる
- 管理に関与している担当者にとって、備蓄品管理は課題として認識されている状態が標準である
単一回答/n=1,202
期限に関する経験
68.8%が期限切れまたは廃棄を経験。一方で43.9%は廃棄を避けられている
- 「期限前に社内で消費・配布したり、外部へ寄付したりして廃棄を避けた」43.9%が最多
- 「期限切れの状態で保管されていた備蓄品に、後から気づいた」34.9%
- 「期限が切れた備蓄品を廃棄した」33.4%、「期限前に入れ替えたが社内で消費・配布できず廃棄した」32.1%
- 回答者単位で見ると、期限切れまたは廃棄のいずれかを経験したのは68.8%(期限切れの発生54.4%/期限を理由とした廃棄52.0%)。廃棄を避けられたのは43.9%
複数回答/設問の対象外を除いた n=1,172
現在の管理方法
表計算・紙が40.1%。専用システムは18.4%にとどまる
- 単独で最も多いのは「保管棚に貼ったラベル・シール」27.2%、次に「Excelなどの表計算ソフト」25.7%
- 回答者単位でまとめると、表計算または紙の台帳で管理しているのは40.1%。防災備蓄品専用の管理システム・サービスは18.4%
- 「担当者の記憶や個人の予定」16.0%、「特に管理方法を定めていない」5.6%。合わせて21.5%が記録に依存していない
- 「拠点・部署・担当者ごとの個別ファイルや台帳」20.6%。管理が分散している状態も2割ある
複数回答/n=1,202
管理業務の負担
最も重いのは「期限の確認」。上位3位以内34.4%、1位指名11.3%
11の管理業務から負担の大きいものを上位3つまで順位付けで選択させた設問である。
上位3位以内1位に指名
上位3つを順位付けで回答/n=1,202
- 上位3項目(期限の確認34.4%/現物確認27.8%/入れ替え時期の管理27.6%)はいずれも期限と在庫を「把握する」工程である
- 「購入先の選定・発注」16.7%は最下位。調達より、調達後の維持に負担が集中している
- 「特に負担は感じていない」を選んだのは14.9%
管理上の問題
83.4%が管理上の問題を経験。最多は属人化・引き継ぎ
- 単独で最も多いのは「特定の担当者しか管理状況を把握していなかった」23.4%
- 回答者単位でまとめると、問題を1つ以上経験したのは83.4%
- 内訳の上位は属人化・引き継ぎ36.4%(特定担当者のみ23.4%/引き継げなかった19.2%)、情報の不一致・未更新32.8%、在庫の過不足29.3%
- 「他の拠点や部署を含めた備蓄状況を把握できなかった」16.4%。拠点をまたぐ把握は限られた企業の問題ではない
複数回答/「わからない」を除いた n=1,172
専用ツールの導入・見直し意向
67.3%が導入・切り替え・見直しを検討したい
- 「ある程度検討したい」39.3%、「積極的に検討したい」28.0%。合計67.3%
- 「あまり検討したいと思わない」8.1%、「まったく検討したいと思わない」3.8%。合わせて11.9%
- 「どちらともいえない」20.8%。判断材料が不足している層が2割ある
単一回答/n=1,202
導入・切り替えの障壁
費用より「導入時の作業負担」が上に来る
- 単独で最も多いのは「導入費用や月額利用料がかかること」17.1%
- 回答者単位でまとめると、導入時の作業負担が40.2%(初期登録11.1%/データ移行12.0%/運用変更13.5%/操作習得10.6%)で最上位。費用・社内承認34.5%(費用17.1%/費用対効果12.2%/承認11.2%)を上回る
- 「どのサービスを比較・選定すればよいかわからない」14.0%、「自社に必要な機能や条件を整理しにくい」10.8%。選定の入口でつまずく層がある
- 「必要性を感じていない」23.3%(自社規模では不要13.0%/現状で十分11.6%)。一方「特に障壁になることはない」は7.7%にとどまる
複数回答/最大3つまで/n=1,202
深掘り① 管理方法と実害の関係
専用システムで管理している層のほうが、実害の経験率が高い
管理方法で4層に分けて比較した。複数回答のため、専用システム→汎用システム→表計算・紙→記憶・未整備の順に最初に該当した層へ割り当てた排他分類である。
| 経験した内容(%) | 全体 | 専用システムn=221 | 汎用システムn=171 | 表計算・紙n=338 | 記憶・未整備n=157 |
|---|---|---|---|---|---|
| 期限切れ・廃棄のいずれか | 68.8 | 80.1 | 74.3 | 63.6 | 60.6 |
| うち期限切れの発生 | 54.4 | 65.6 | 64.9 | 50.3 | 47.1 |
| 廃棄を避けられた | 43.9 | 60.6 | 44.4 | 48.2 | 31.6 |
| 管理上の問題を1つ以上 | 83.4 | 90.4 | 90.1 | 85.2 | 68.2 |
| 属人化・引き継ぎ | 36.4 | 47.9 | 36.3 | 41.7 | 23.6 |
| 情報の不一致・未更新 | 32.8 | 42.9 | 40.4 | 33.7 | 20.4 |
| 他拠点を含む把握不足 | 16.4 | 29.2 | 17.5 | 15.1 | 8.9 |
1,172名ベース/濃淡は行ごとに層別の値で正規化
- 期限切れ・廃棄の経験は専用システム層80.1%に対し、記憶・未整備層60.6%。仮説と逆の向き
- 管理上の問題も専用システム層90.4%に対し記憶・未整備層68.2%。差は22.2pt
- 他拠点を含む把握不足は専用システム層29.2%に対し記憶・未整備層8.9%
- 一方で「廃棄を避けられた」も専用システム層が60.6%で最も高い(記憶・未整備層31.6%)
読み方は2つある。①システムでは実害が減らない ②実害を経験した企業がシステムを導入した、あるいは管理が精緻な層ほど問題を検知できている。②を支持する材料が複数ある。記憶・未整備層は「問題を1つ以上経験」が最も低く、他拠点の把握不足も最少だが、これは問題が起きていないのではなく記録がないため検知されていない可能性が高い。専用システム層で他拠点の把握不足が最も高いのは、拠点数の多い企業が導入している構造を示す。廃棄を避けられた比率が専用システム層で最高である点も、成果が出ていることを示唆する。本調査は横断調査であり、因果は示せない。
深掘り② 課題認識と実害の関係
課題を強く感じている層は、実害も多く経験している
| 経験した内容(%) | 全体 | 強く感じているn=367 | ある程度n=548 | それ以下n=257 |
|---|---|---|---|---|
| 期限切れ・廃棄のいずれか | 68.8 | 77.5 | 69.8 | 53.6 |
| うち期限切れの発生 | 54.4 | 65.2 | 54.4 | 38.5 |
| 管理上の問題を1つ以上 | 83.4 | 89.4 | 87.6 | 66.1 |
| 属人化・引き継ぎ | 36.4 | 41.4 | 39.1 | 23.7 |
| 他拠点を含む把握不足 | 16.4 | 22.3 | 15.9 | 8.9 |
| 障壁:導入時の作業負担 | 40.2 | 45.6 | 41.5 | 30.0 |
1,172名ベース/濃淡は行ごとに層別の値で正規化
- 期限切れ・廃棄の経験は「強く感じている」層77.5%に対し「それ以下」層53.6%(差23.9pt)
- 管理上の問題は89.4%対66.1%(差23.3pt)
- 導入の障壁として作業負担を挙げる比率も45.6%対30.0%。課題を強く感じている層のほうが、移行の手間を具体的に見積もっている
- 「必要性を感じない」を障壁に挙げる比率は、強く感じている層22.4%/それ以下層21.6%でほぼ差がない
課題認識は実害の経験と連動している。深掘り①と合わせると、「管理課題を感じていない」「問題は起きていない」という回答は、備蓄が良好に管理されている状態と、管理されていないため問題が見えていない状態の両方を含んでいる可能性がある。この2つは調査上は区別できない。
まとめ
1. 備蓄の保管と管理の分離
- 勤務先が防災備蓄品を保管しているのは50.7%。「わからない」も18.6%ある
- 保管している企業でも、管理や意思決定に関与していない人が62.5%
- 管理に関与している層では77.3%が管理課題を感じている
2. 期限
- 68.8%が期限切れまたは廃棄を経験。期限切れの発生54.4%、期限を理由とした廃棄52.0%
- 一方で43.9%は期限前の消費・配布・寄付により廃棄を避けている
- 負担ランキングの上位3項目はいずれも期限と在庫を把握する工程
3. 管理方法と問題
- 表計算・紙が40.1%、専用システムは18.4%。記憶・未整備が21.5%
- 管理上の問題は83.4%が経験。最多は属人化・引き継ぎ36.4%
4. 導入意向と障壁
- 67.3%が導入・見直しを検討したい
- 障壁の最上位は導入時の作業負担40.2%で、費用・社内承認34.5%を上回る
- 「必要性を感じない」23.3%は課題認識の高低とほぼ無関係に存在する
所感(考察を含む)
当初の仮説は「管理方法をシステム化すれば期限切れや在庫の不一致は減る」であった。調査結果はこれを支持しない。 ただし後述のとおり、これは検知の差である可能性が高く、因果は示せない。
期限切れ・廃棄の経験は専用システム層80.1%、表計算・紙層63.6%、記憶・未整備層60.6%。管理上の問題も同じ順序で並ぶ。数字をそのまま読めば「管理すればするほど問題が起きる」ことになるが、これは成立しない。
より妥当な読み方は、問題の経験率が管理の精度を反映しているというものである。記憶や個人の予定で管理している層は、問題を1つ以上経験した比率が68.2%と最も低く、他拠点の把握不足も8.9%と最少だった。しかし記録がなければ、数量の不一致にも期限切れにも気づけない。気づかなかったことは経験として報告されない。
この構造は、スクリーニングで見えた事実と一致する。備蓄品を保管している4,801名のうち62.5%が管理に関与しておらず、勤務先の保管状況を「わからない」と答えた人も18.6%いた。備蓄は存在するが、状態を見ている人がいない。その状態では問題は発生しないのではなく、記録されないだけである。
負担ランキングの上位3項目が「期限の確認」「現物確認」「入れ替え時期の管理」であることも、同じ論点を示す。負担が集中しているのは調達ではなく、調達後に状態を把握し続ける工程である。ここが人の記憶に依存している限り、担当者が変わった時点で履歴は途切れる。管理上の問題の最多が属人化・引き継ぎ36.4%であることと符合する。
導入の障壁として費用(34.5%)より作業負担(40.2%)が上に来る点は、実務側の関心が「いくらか」より「移行できるか」にあることを示している。しかも課題を強く感じている層ほど作業負担を挙げる比率が高い(45.6%対30.0%)。必要性を理解している層が、移行の手間で止まっている。
備蓄の点検は「足りているか」を数えることから始めがちだが、この調査が示すのは、その前に「見えているか」を確認する必要があるということである。
本レポートの利用条件
- 本レポートの調査結果は、株式会社日本パープルが実施した自主調査に基づく
- 引用・転載の際は、出典として調査名および実施主体を明記すること
- 数値の改変、文脈を変える部分引用は行わないこと
- 本調査の対象は、スクリーニングが全国の就業者10,000名、本調査が防災備蓄品の管理に関与する担当者1,202名である。「全国の企業の◯%」等の表現への読み替えは行わないこと
発行
- 発行元:株式会社日本パープル(1972年設立/東京都港区六本木7-15-7)
- 本調査は、防災備蓄品管理サービス「ソナエバ」(2026年9月1日正式リリース予定)の提供にあたり実施した
引用時のクレジット表記 株式会社日本パープル「企業の防災備蓄品管理に関する実態調査」(2026年8月13日〜14日実査)