2018年4月10日お役立ち情報

初めてのオフィス移転をスムーズに!項目別にみる注意点とチェックリスト

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「オフィスの移転を任されたけれど、初めての経験で何をどうすればいいのかわからない…。」

そんな悩みを抱える総務の方は少なくありません。実は、オフィス移転の際には、担当者一人当たり平均320時間という膨大な時間と労力が必要だと言われています。そこで重要になってくるのが、きちんと段取りを組んで、計画に沿って作業を進めていくこと。

では、どのようにスケジュールを組み、作業をこなしていけば、一大行事である「オフィス移転」を円滑に進め、完了することができるのでしょうか。ここでは、オフィス移転を初めて経験する総務担当者の方に向けて、移転の際の注意点と、必要な作業項目を網羅したチェックリストをご紹介します。

オフィス移転の際の注意点

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オフィス移転に伴う作業が難しい理由の1つに、以下に記す1~4までの作業を“同時進行で”こなさなければいけないことが挙げられます。それぞれの注意点をみてみましょう。

1、現オフィス関連
現在入居中のオフィスについて、契約解除の意思表示(解約予告)をする必要があります。解約予告は、新しいオフィスへの入居時期から逆算しますが、賃貸契約上、通常は移転の6か月前となります。この期間内に解約予告をしないと、新しいオフィスに移転しても、賃料の重複が生じかねません。必ず契約書を読みかえして解約予告期間を確認しておきましょう。

次に、原状回復工事の手配をします。マンションなどの住居と異なり、オフィスは原状回復工事を契約期間内に行う必要があります。したがって工事のために、現在のオフィスと新しいオフィスを重複して契約する期間が生まれることも少なくありません。重複期間を最短にとどめるためにも、効率的に設定しましょう。

一方、最近では居抜きオフィスも増えています。居抜きとは、設備や什器備品、家具などがついたままで売買、あるいは賃貸借されることを言います。現オフィスや新オフィスが居抜き物件である場合、退去時の原状回復費や入居時の内装工事費に、そこまでとらわれる必要はありません。

参考までに、居抜き物件の仲介サービスを行っているTSUNAGARU OFFICEによると、居抜き物件での入退去費用は、そうでない場合と比べて約4分の1にまでコストダウンするそうです。

2、新オフィス関連
ザイマックスグループのアンケートによれば、オフィス移転に関する業務で一番苦労した点として、約4割の回答者が「レイアウト」だと答えました。移転の目的や効率性、社員の満足度などを総合的に考え、ベストと思われる設計を行う必要があるからでしょう。

レイアウトが決定すると、これをふまえて、内装工事の業者選定や什器の追加手配など、以降のすべての計画を具体化していくことになるため、慎重に作成する必要があります。市販の図面作成ソフトや、業者からのアドバイスも上手に活用しましょう。

また、新オフィスに早くなじめるよう、全社員への周知を図ることも大事です。マニュアルを作成し、館内規則や安全管理システム、鍵の管理方法など、ポイントをおさえて理解と協力を求めましょう。

3.移転作業関連

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実際の作業は業者に任せるケースが多いため、ポイントは、梱包と、処分すべき物の扱いです。社内向けに、各自の荷物梱包・搬入に関するマニュアルと、タイムスケジュールを作成しておくと、作業がスムーズに進みます。

梱包にあたっては、開梱する際にかかる手間まで意識することが、スムーズな搬入につながります。廃棄処分については、家電や重要書類など、処分方法に注意が必要なものもあるため、オフィスの移転が決まったら早めに仕分けを行いましょう。

同時に、関係先への移転通知も漏らさず行う必要があります。通知とともに、電話やインターネット、プロバイダーなど通信関係の住所変更や、コピー機や電話機といった情報端末の名義変更、挨拶状の印刷といった作業を進めます。

特に移転の挨拶状は、業者を選定しデザインを決めることに加え、送付先リストを作成してから印刷を依頼し、納品されてから発送するなど、時間のかかる作業となります。移転前に送付する必要があるため、早めに動き出しておくと安心です。

4、各種手続き関連
オフィス移転の際にはいくつもの届出が不可欠です。手続きごとに期限が定められているので、移転前にチェックしておき、計画性をもって準備しましょう。

移転完了後の届出でよいものがほとんどですが、移転前に届け出なくてはならないものもあります。また郵便物届出変更届のように、手続きに最大1週間程度かかるものもあります。余裕をもって早めに手続きを終えるようにしましょう。

オフィス移転に伴う作業のチェックリスト

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■現オフィス関連

□ 解約予告
□ 原状回復業者の選定・手配
□ 預託金(保証金)の返還 など

■新オフィス関連

<間取りやプランニング>
□ プロジェクトチームの編成
□ 移転目的、条件の明確化
□ スケジュール立案と社内への周知
□ コストの試算
□ レイアウト計画(下記を検討しつつ決定する)

a. 収容人数の試算
b. 内装会社の選定
c. 1人当たりの面積の算出
d. 受付・会議室・応接室などのプランニング
e. 電話・コピー機等の移設、引越作業などとの調整
f. 間仕切りなど、法規上の問題の確認(防災関連)
g. 企業イメージとの合致

<設備面の確認・手配>
□ 内装工事・什器手配
□ 電話会社・ネットワーク会社への連絡・手配
□ 電話・コピー機等の移設業者への連絡・手配
□ 空調追加の有無
□ 電気容量の確保 など

■移転作業関連

□ 作業リストおよび引越マニュアルの作成
□ 移転作業説明会の実施
□ ビル管理会社との打ち合わせ
□ 作業可能時間の確認
□ 荷物用エレベーターの確認(容量や重量制限)
□ 廃棄物のリスト作成と処理方法の確定
□ ラベリングの統一化:誰がみても何が入っているかをわかるようにしておきましょう。
□ 荷物の行き先(部署、フロア)ごとに色分け
□ 荷物の中身、担当者の名前(個人の荷物は個人名も)を記載
□ ラベルはダンボールの側面と上蓋それぞれに貼るのが理想

<会社移転に付随する各種作業>
□ 顧客・取引先への移転案内作成と送付先リストの作成
□ 各種印刷物(封筒、伝票類、パンフレットなど)の変更や、住所変更シールの作成
□ 社判やゴム印、名刺の変更
□ 社員の通勤定期の変更 など

■各種手続き関連

<移転前>
□ 郵便物届出変更届:近隣の郵便局窓口で提出する必要があります
□ 自動車保管場所証明申請書(提出期限なし):保管場所(車庫)の所在地を管轄する警察署の交通課に「車庫証明窓口」を提出する必要があります。

<移転後>
□ 事業所所在地変更届:5日以内に、変更前の事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出する必要があります。
□ 名称所在地変更届:10日以内に、変更後の事業所の所在地を管轄する労働基準監督署または公共職業安定所に提出する必要があります。
□ 雇用保険事業所変更届:10日以内に、変更後の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所に提出する必要があります。
□ 本店移転登記:2週間以内変更前の事業所の所在地を管轄する法務局に提出する必要があります。
□ 防火・防災管理者選任届:なるべく早く変更後の事業所の所在地を管轄する消防署の予防課に提出する必要があります。
□ 異動届:なるべく早く変更前と変更後の事業所の所在地を管轄する税務署、そして変更前の事業所の所在地を管轄する都税事務所に提出する必要があります。

まとめ

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一連のオフィス移転にかかる期間は、6ヶ月程度が一般的といわれます。とはいえ、移転までの期間は会社の規模によって異なるもの。自分の会社の規模からすると、どれくらいの人員と期間が必要なのかをあらかじめ想定しておくことも大切です。

初めてのオフィス移転、不安に思う気持ちもあると思います。しかし、一つひとつを確実にこなしていくことで、滞りのない移転を実現することができるはず。まずは、できることから始めてみてはいかがでしょう。

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