2020年11月11日文書管理

電子署名とは?仕組みやメリット から電子署名法まで徹底解説!

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日本企業は長らく「紙&ハンコ」の文化を重んじてきましたが、近年のビジネス文書は「データ化&ペーパーレス化」の動きが盛んになっています。新型コロナウイルスの流行によってテレワークが拡大したことも、文書のデータ化&ペーパーレス化に拍車をかけており、今後は「電子契約」「電子取引」が一般化していくと言われています。この電子契約・電子取引において欠かせないのが「電子署名」という仕組みです。今回は、これからますます利用機会が増えていく電子署名についての基礎知識を解説していきます。

電子署名とは

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電子署名とは、電子文書にほどこされる電子的な署名のことで、紙の書類における「印鑑」や「サイン」の代わりになるものです。

紙の書類の場合、印鑑やサインが「改ざんされていない原本であること」を証明する役割を果たしていました。一方、電子文書の場合は紙の書類のように、印鑑を押したりサインをしたりすることができません(電子文書に押印できる電子印鑑もありますが、簡単に偽装されてしまいます)。そのため、電子文書には「電子証明書を用いた電子署名」をおこなうことで、その電子文書が本物の原本であることを証明します。

なお、電子証明書は紙文書における「印鑑証明書」に該当するもので、認証局と呼ばれる第三者機関において本人認証と厳しい審査を経て発行されます。

●タイムスタンプとは?
電子署名された電子文書は、間違いなくその人によって作成されたものだと言えます。このように、電子署名は「誰が」と「何を」の2つの要素を担保することができますが、「いつ」を担保することはできません。その電子文書が「いつ」作成されたものであるのかを証明するには、タイムスタンプが必要になります。

タイムスタンプは、電子データの「いつ」と「何を」の2つの要素を客観的に証明できます。電子署名をした電子文書にタイムスタンプも付与することで、「誰が」「何を」「いつ」のすべてを証明でき、電子文書の原本性を確実に確認できます。

電子署名の仕組み

以下の図をもとに、AさんとBさんが電子文書をやり取りする手順をご説明します。

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※ 出典:「電子署名・認証・タイムスタンプ その役割と活用|総務省」を参考に作成

「電子証明書」の発行

Aさんは最初に電子証明書を取得する必要があります。電子証明書を発行するのは認証局です。

(1)Aさんは、認証局に対して電子証明書の発行申請をおこないます。
(2)認証局は、本人確認などの所定の手続きを経てAさんに電子証明書を発行します。
(3)Aさんは、認証局から電子証明書を取得します。

電子文書に「電子署名」

Aさんは作成した電子文書に電子署名をおこないます。電子署名は通常、電子署名に対応したアプリケーションを使っておこないます。

(a)Aさんは、電子文書をハッシュ関数によって変換してハッシュ値を生成します。
(b)Aさんは、電子文書に電子署名をします(ハッシュ値を電子証明書で証明されている公開鍵に対応する秘密鍵で暗号化する)
(c)Aさんは、電子文書と電子署名を結合し、(d)認証局で取得した電子証明書とともにBさんへ送信します。

電子署名の「検証」

電子署名された電子文書を受け取ったBさんは、電子署名の検証をおこないます(その電子文書は本当にAさん本人によって電子署名されたものなのかを確認します)。電子署名の検証は通常、署名検証が可能なアプリケーションを使っておこないます。

(e)Bさんは、電子証明書が失効していないかなど、電子証明書の有効性を確認します。
(f)Bさんは、受信した電子文書からハッシュ値を取得します(データを電子データと電子署名に分け、電子データからAさんと同じハッシュ関数を用いてハッシュ値を生成)。
(g)Bさんは、Aさんの公開鍵を用いて電子署名を復号し、ハッシュ値を取得します。
(h)Bさんは、(f)と(g)で得たハッシュ値を比較します。一致していれば、電子文書が途中で改ざん・偽造されておらず、Aさんが作成した電子文書であると判断できます。

電子署名・電子契約書のメリット

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電子署名・電子契約書を利用するメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。

メリット①:ペーパーレス化を促進できる

企業は、契約書を一定期間保存する義務がありますが、紙の契約書で保存する場合は書庫やキャビネットなどの保管スペースが必要になります。

一方、電子契約書は電子署名を使ってオンラインで契約を締結できるうえ、保管すべき原本も電子データなので保管スペースが要りません。契約書をペーパーレス化できるため、印刷代やインク代、郵送費などを削減できるのはもちろん、保管コストの削減や契約書管理の効率化にもつながります。

メリット②:収入印紙が不要なのでコストを削減できる

紙の契約書で契約を交わす場合、印紙税法によって取引金額に応じた収入印紙を貼ることが義務付けられていました。一方、電子契約による電子契約書には印紙税が課されません。収入印紙が不要になることからも、大きなコスト削減につながります。

メリット③:契約業務をスピーディーに進められる

紙ベースの契約業務は、契約書の作成、印刷、押印、封入、郵送、返送といった煩雑な流れで進めざるを得ず、契約締結までに早くても1週間程度は要していました。

一方、電子署名による電子契約書を使えば、契約業務をスピーディーに進められます。契約書は電子データなので、やり取りはすべてメールや電子契約システム上で完結します。テレワーク環境下でも即時に電子契約・電子署名ができ、契約業務は最短1日で完了することもあります。

電子署名・電子契約でよりスマートなビジネスを!

今後、電子契約はますます普及し、紙の契約書は廃れていくはずです。契約は相手のあることなので、「取引先は電子契約を求めているのに、こちらが対応できない」ということになると、ビジネスのスピード感が失われ、取引先にも「前時代的な企業」という印象を与えてしまいます。できるだけ早い段階で電子署名を導入し、電子契約へのシフトを検討すべきでしょう。

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